「真夜中の弥次さん喜多さん」DVD イッちゃってる・・・

このところねえねがグループ魂から、クドカン×サダヲに熱中するあまり、クドカン作品を全て見させられている毎日。
鬼のようにDVDを借りているのだ。
公開当時は、どうしても観る気になれなかった「真夜中の弥次さん喜多さん」
ちょっと変わった時代劇ロードムービーと思いきや、
こんなに、はじけまくって、おバカ全開なのに、シュールで、深い映画だなんて全く知らなかったのだ・・・


画像
真夜中の弥次さん喜多さん」公式サイト原作のしりあがり寿の絵が、シュールでかわいい。


公開当時は、金髪のちょんまげの中村七之助が、どうしても生理的に許せなくて・・・
なんだか、‘えのき‘や‘こけし‘に見えちゃうんだもん。
しかし本当は、そこぢゃなかったんだ・・・・
私の中で、どうしても拒絶していた何かが、明らかになる時がきた。


<ストーリー>

江戸でディープに愛し合う、バリバリの江戸っ子 弥次郎兵衛(長瀬智也)と、役者の女形 喜多八(中村七之助)。
喜多さんのヤク中を治すべく、お伊勢参りの旅に出ることにした。

ちょっとしたことですぐに薬を飲もうとする喜多さんの大量の薬を没収した弥次さん、なだめたりすかしたり愛したりしながら、箱根の関所まで来た。
ここでは、面白いギャグができないと、関所が通れないばかりか、ひどい時にはお奉行(竹内 力)にお手打ちにされてしまうのだ。
ギャグを気に入られた弥次さんは、関所を通過するが、ヤク中がバレた喜多さんは、追い返されてしまう。

途方に暮れた二人は、それぞれ上方漫才のコンビで、やはり離れ離れになった浪速ホット(板東創路)とサンド(桑幡壱真)にそれぞれ出会うが、彼もひどいヤク中で、息子を一人残しあの世へと旅立ってしまうのだった。

なんとか再会した弥次さんと喜多さんだったが、‘喜びの宿‘‘歌の宿‘‘王の宿‘で様々な人に出会い、幻想と現実の間を行ったり来たりしながらも、いろんな葛藤を乗り越え、互いの愛情(!)を確かめ合いながら旅を続けていく。
しかし‘王の宿‘でとろろ汁を配っているアーサー王(中村勘九郎)の、DNAを断ち切るという伝説の剣、エクスカリバーでついに弥次さんは事切れてしまい・・・
果たして、ひとりぼっちになった喜多さんは、無事お伊勢参りを済ませることができるのか・・・・?




何しろ長瀬くんの体当たりの演技は、すごい~
ある意味、ビッグな役者を平気でチョイ役に使ったり、今回なら中村七之助とディープキスをさせたり・・・・こんなことをチョチョイとやってしまうクドカンがすごいのかもしれない。

今回は‘クド監‘として、監督・脚本担当の宮藤官九郎や、同じ劇団の松尾スズキ作品は、ジャニーズ系や旬でビッグな役者を使いながら、その実どれも劇団「大人計画」が実は中心になっている(脇役だけど)。
『木更津キャッツアイ』しかり、『恋の門』しかり、『クワイエットルームへようこそ』しかりである。

今回も伊勢丹の屋上で、観光地の写真スポットで喜んでいるほんのチョイ役を、あの妻夫木くんがやっているが、『クワイエットルームへ~』でも、眉毛をつなげたおかしなメイクで、ほんのちょっとだけ登場するのだ。
いいのか?そんなことで・・・・・


妻夫木くんはともかく、自分たちの脚本作品に、身内ばかりを登場させるのは、なんだか『渡る世間~』みたいであまり好きではないのだけど・・・




画像
まだ見ぬ憧れの清水の次郎長が、この峠を通るという掲示板の書き込み(立て看板)を見て、待ち伏せている女子高校生たち。
次郎長が誰かも知らないのに・・・・・

ネットだけで相手に会ったこともないのに、憧れたりする女子高生をみごとに風刺している。
このほか、初の親子出演を果たした中村官九郎の、ぜったいに抜けないアーサー王の剣を、DNAを断ち切るという伝説がありながら、喜多さん役の息子の中村七之助がやすやすと抜いてしまうなど、いたるところに、笑いと絶妙な風刺がある。



時にブラックで、時に切ない、
時に江戸時代、時に現代、
脳みそが溶け出すような幻覚の世界と、現実との境目がもう分からない。



弥次さんと死んでしまった妻(小池栄子)とのエピソードは泣かせる。
切なくて泣かせるシーンなのに、死んだ魂が集まる‘魂の宿‘では、全てが荒川良々で笑わせる。
素直に泣かせないのは、クドカンの照れ隠しなのか、へそ曲がりなのか・・・・???







いい話で、うまくまとめて欲しかったのに、最後にマタンゴはないでしょー

結局、弥次さんを失った喜多さんが、薬でラリって、死んだはずの弥次さんと旅を続ける幻想をみているのか、マジックマッシュルームでラリった弥次さんが、伊勢まで喜多さんとラリラリ旅をするのか、本当のところはよく分からなかった・・・・

よく分からないまま終わらせてしまったところが、実に残念である。
薬を絶ったら、次はマジックマッシュルームで・・・みたいな結論が、私の拒絶の根源になっているのかもしれない。




『クワイエットルームへようこそ』を観た後だったからかもしれないが、我が家では、クドカン ヤク中説が勃発。
勿論、この映画の原作は、しりあがり寿なのだから、クドカンがそんなわけはないのだけど・・・

この記事へのコメント

  • サリー

    いいでしょ、これ?
    最初「なんじゃこりゃあ?!」と思ったのですが、なんかものすごく「残る映画」になってしまって。(貸してくれた友人自身は、なんだかかなりダメらしく、買って損したくらいに悩んでましたが。)

    長瀬がすごくかっこいい。情けなくてかっこ悪いところが、かっこいい。マジぼれです。
    どっこも魅力を感じられない(私には)喜多さんにどうしてあんなにディープラヴなのかさっぱり分からないけど、そのしょーもないところが「愛」なのかなーなんて、納得しちゃったり。
    クドカンは、照れ屋さんで「愛」をまじめに語るのが恥ずかしいから、こんな映画を作ったのだと、わたしは思いました。(あれ、作文っ?!)
    2008年04月29日 01:42
  • ノルウェーまだ~む

    サリーさん、長瀬は本当に格好良かったよねっ!
    確かに内容的には、かなりの好き嫌いがある映画だけど。
    しりあがり寿の原作では、かなりシュールなところが、微笑ましいかんじなのだけど、実写にするとグロテスクと言うか、スパン!と切った腕の断面とか、ちょっと…

    めちゃくちゃイケメンでもないヤク中の喜多さんに、振られてしまったにもかかわらずそれでも愛す。愛は深いんですなぁー
    2008年04月30日 13:18
  • ひらりん

    こういうぶっ飛び映画は好きなほうなんですが、
    ちょっとかっ飛びすぎてて、後半よくわからなくなっちゃいました。
    まあ、深く考えず、ぶっ飛び具合を楽しむのが得策ですね。
    2008年05月01日 01:29
  • cyaz

    ノルウェーまだ~むさん、こんにちは^^
    TB&コメント、ありがとうございましたm(__)m
    まあ、ここまでクドカン流にくずされると、これはこれでエンタテインメントだなぁと納得してしまいますね(笑)?
    たまにはこういう作品は映画鑑賞の中でもリフレッシュできる作品のひとつですよね~♪
    2008年05月01日 08:27
  • ノルウェーまだ~む

    ひらりんさん、トラ&コメありがとうございます~
    かっとび具合と上手に付き合うのがコツですかね。
    後半、クドカン自体が収拾つかなくなっちゃったかんじでしょうか。
    それともあえて、収拾つけなかったのかもしれませんね。
    2008年05月01日 13:34
  • ノルウェーまだ~む

    cyazさん、こんにちは~~
    クドカンエンタテイメントですね、まさに!
    昔はちょっとそういうのが苦手だったのですが、笑いだけを狙っているのではなく、その陰に風刺や重いテーマも潜んでいるのが最近わかってきて、興味深くなりましたよ。
    様々なタイプの映画の中で、リフレッシュできる映画も貴重ですよね。
    2008年05月01日 13:34
  • ミチ

    こんにちは♪
    この映画を見たときはクドカンがマイブームだったせいでしょうか、★4つなんて点数つけてますけど、今冷静に考えたら★3つほどの好き度でございます(爆)
    そういえば妻夫木君出てましたっけ?
    彼もチョイ役をいとわない人ですね~。

    監督って使いやすい俳優さんがいるんでしょうね。
    俗に「クドカン組」みたいな。
    三谷幸喜の作品でも使う人っていつも同じ。
    そういうのを見ると安心すると同時に「またか・・・」という気分にもなります。
    観客はわがままだ~(笑)
    2008年05月02日 09:48
  • ノルウェーまだ~む

    ミチさん、こんばんわ♪
    妻夫木くん出てたっけ?ってかんじでしたよ、まさに。
    彼は伊勢丹の屋上で、観光地の記念写真を撮る、あの顔のところだけくり貫いてある‘はりぼて‘のシーンで、はしゃいでいる人の役でしたね。
    ほんっとうにチョイしか出てないのです~
    クドカン組は、グループ魂から大人計画まで、ほとんどいっしょなので、ここのところ、アレもこれも見させられているせいか、ちょっと飽きぎみなのでした。
    2008年05月02日 22:46

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