「GOTH」乙一原作 世界観そのままに

ハリウッドでも同時期に制作をしているというウワサを聞いて、心待ちにしていた作品。
ねえねの敬愛してやまない乙一の、特にこの「GOTH」に出てくる主人公は、彼女にとってのバイブルでもあるらしい。
入れ込み度の激しいねえねが、それはそれは大絶賛のこの映画。
世界観は原作そのままで、更にビジュアル的にも美しい、ダークファンタジーとしてはかなりの出来ばえだ。


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 「GOTH(ゴス)」 公式サイト 


原作の内容はかなりグロイ描写もある、属性は‘黒乙一‘である。
しかし本作は、凝りに凝った「銀残し」という技術をフィルムに使って、全体的にグレーがかった渋みがあったり、ぼやけた光に包まれ、ファンタジー色の強いものになっているため、‘白乙一‘にも通じるものを感じる。


<ストーリー>

青白いが美しい顔をした高校2年の森野 夜(高梨 臨)は、クラスで誰とも口をきかない浮いた存在だった。
対照的に友達も多く、笑顔のかわいい神山 樹(本郷奏多)は、実は一目見た時から、彼女が自分と同じ趣味を持つ者だということを見抜いていた。

図書館でいつものように、死体の写真集を見ていた二人だったが、いつしか変わり者ばかりが集う喫茶店で、最近頻発している手首のない死体についての情報交換をするようになっていた。

ある日、その喫茶店で手帳を拾った森野は、中に書かれていたことから、これが犯人の物だと結論する。
その中に、まだ発見されていない死体について書かれていると知ったふたりは、その死体を見に、山奥へと出かけて行くのだった。

死体が持っていた買い物袋の衣類を、こっそり着ていつもの喫茶店に現れた森野。
犯人が好む被害者になりきったつもりの森野だったが、そのあと彼女はこつぜんと姿を消してしまい・・・・・・





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「テニスの王子様」では主役、「K-20」では小林少年を演じている本郷奏多
K-20では甘すぎるマスクに、どうよ?と思っていたけど、今回は原作の神山そのもと言っても過言ではないくらいのぴったりのハマリ役。
友達とはしゃぐ仮の姿と、本来のダークな部分を持つ彼を上手に演じ分けている。


ただのワイシャツと言うなかれ。
彼が着ているのは、世界で一着のオーダーメイドなのだそうだ。
シワをつけたり汗をかくだけで怒られて、そのたびにン脱いでアイロンをかけなくてはならなかったらしい。(真夏の撮影なのに・・・)


同じく森野 夜の制服も、今回のために作られたオリジナルオーダーメイド。
今、その現物が渋谷シアターTUTAYAに、展示されているので、ファンの方はお見逃しなく!
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原作では、森野と神山が遭遇するいくつかの事件と、森野がトラウマとなっている自分の過去の謎を、神山が解き明かすストーリーが、繋がっていく展開になっている。
二人のコンビが人気になり、シリーズになった作品だ。
大岩ケンヂが作画したコミックも出ている。

原作に出てくる、犯人が死体を‘美しく‘飾り立てるか~な~り~グロいシーンと、森野の過去を探る過程と、理科の先生の話が、本作ではバッサリと切られている。
こちらの犯人は、別の形で‘美しく‘死体を飾っているのだが、これはこれである意味充分、作品の世界観を表現できているのでーーっていうか、そのままグロイようじゃ、誰も観れないし~

とはいえ、マネキン人形のような美しい死体の、その手首が真夏だと言うのにハエの一匹もたかっていないのは、あまりに不自然では??
血も出てないし・・・・




森野の過去については、「かくかくしかじか」的に済ませてしまっているのは、ちょっと残念。
それぞれのシーンが、取り過ぎるほどたっぷり間を取っている分を、このあたりのエピソードの時間に充ててもよかったような気がする。
どんだけ溜めるん?っていうところも・・・・



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死体があった場所に、同じように寝てみる森野
神山が彼女を撮った写真に写っていたのは、白い手首に残されたリストカットの痕だった・・・・


6年生で乙一作品に出会ってから、「GOTH」の森野と、「死鬼」の沙子が、自分の理想として、以来今年の11月まで黒髪のストーレートヘアをかたくなに守ってきたねえね。
守ってきたのはヘアスタイルだけでなく・・・・(死体は好きじゃないよ)


そんな理想の森野 夜を、いったい誰が演じるのか、以前から相当にうるさかったねえねだが、かなり気に入った様子。
合格点どころか大絶賛で、森野 夜のGOTHポスターを買っていた。
(普通、本郷クンのを買うんじゃ?)







本来なら言うことなし!といきたいところだけど、一番期待していた大切な台詞がなかった!!!

ポスターにも書かれている『君が死にたくなったときは、きっと僕が殺してあげるよ』


原作を深いところまで知りすぎて、期待しすぎたのかな?
それとも、ちゃんとどこかで言ってたのを、聞き逃したのか??





神山 樹が、森野 夜を助けたのは、彼女に生きていて欲しかったからではなく、彼のコレクションにしたかった森野の手首が、犯人によって間違ったところから切り取られたら困るからだ。
神山 樹が気に入っているのは実は、森野の手首に残るリストカットの美しい傷跡なのだから・・・・

という部分が、映画では伝わったかどうかちょっと疑問。
(何しろ私はそれを知っているので、そういうつもりで見てしまったから、実はよくわからなかった)



いずれにしても監督をはじめ、制作に携わった人たちが、原作をこよなく愛していたことだけはよーく分かった。
映画が初めてな人も、是非原作を読んでほしい。

この記事へのコメント

  • 蓮霞

    初めましてー☆
    私も「GOTH」見ましたっ。
    「君が死にたくなったときは、きっと僕が殺してあげるよ」という台詞は、確かに無かったように思います。聞きたかったのに・・・笑
    神山が森野を助けたのは、そういう理由なんですかー?!全然分かりませんでした・・・。
    神山がリストカットの傷跡が残る森野の手首を気に入っているというのは、言われれば納得です。確かに気に入っていた。でも、なぜ森野を助けたのかが分からなかったんです。今、スッキリしました笑 ありがとうございます☆
    2008年12月25日 15:08
  • ノルウェーまだ~む

    蓮霞さん、はじめまして~♪ようこそ!
    あの台詞は是非、彼の口から聞きたかったですよね。
    DVDには、そのあたりの泣く泣くカットしたものが収録されているらしいですね。
    映画でそのあたりをこだわっていたかどうかは、分からないけど、あんなに死体が好きな神山クンが、どうして森野を助けたかは、この台詞があってこそ生きてくるように思えるのですけどね…
    2008年12月25日 17:31
  • ふるふる

    こんばんわ。
    こちらも一緒でしたね~。
    本郷くんはああいう役が似合うなぁと思いましたし、
    何より高梨臨ちゃんが予想外に美し過ぎて、
    満足しました。
    内容的には足りない部分もあったけれど
    映像はこだわりの綺麗さでしたね。
    『君が死にたくなったときは、きっと僕が殺してあげるよ』は、私も聴きたかった!と思いました。
    感想書いてて、あれ?と思いましたもの。
    残念。
    2008年12月29日 22:09
  • ノルウェーまだ~む

    ふるふるさん、趣味が全く一緒でうれしいです~
    ポスターに書かれているのに、あえて使わなかった‘その‘台詞には、何か訳があるのでしょうかね?
    原作を知っていると、その辺が当然と思って観ているので、案外気になりませんが、知らない人には、神山クンの森野に対する想いっていうのが伝わってはいないみたいですよね…そこは本当に残念です。
    2008年12月30日 14:20

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Excerpt: 20日の夜は、こちらも公開初日を迎えた「GOTH」の 舞台挨拶つき上映を見に行きました。 乙一原作で、そして本郷奏多くん出演!ダブルで嬉しいこの作品。 世界観が独特なので、どうなるのか期待と不安があり..
Weblog: ふるふる好楽
Tracked: 2008-12-29 22:06

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