ダイアナ元皇太子妃の事件直後の7日間のエリザベス女王を描いた作品。
そして明日、故ダイアナの息子でありエリザベス女王の孫であるウィリアム王子が、母の葬儀を行ったウエストミンスター寺院で結婚する。
「The Queen(クィーン)」(2007年)
なんと!英国王室のオフィシャルサイトを発見
<ストーリー>
1997年、イギリス総選挙で勝利したブレア首相(マイケル・シーン)がバッキンガム宮殿の女王(ヘレン・ミレン)のところへ挨拶に来た。
格式にこだわる挨拶に、ブレア首相の妻は皮肉を言う。
8月、パリの大使館から深夜に起こされたロイヤルファミリーは、ダイアナの死亡を知らされる。
チャールズ皇太子(アレックス・ジェニングス)は、王室機でパリに向かおうとするが、女王は「王室の浪費と国民から非難される」として王室機の使用を一旦は禁止する。
人々は哀しみに暮れ、多くの花束がバッキンガム宮殿に手向けられ、半旗も掲げず静養地のスコットランドから戻りもしないロイヤルファミリーに次第に国民の反感はつのっていき・・・
ブレア首相は次第に女王の気持ちに寄り添って・・・・
ブレア首相はちょっといい人に描きすぎでは?と思いつつも、初めはロイヤルファミリーに批判的な妻と同様、政治的野心から、自らの評判を上げる手段として利用してきた女王に対して、彼女の気持ちを次第に汲み取っていくようになるところは、自然で上手く見せている。
映画的にはブレア首相のおかげで女王の立場を守れたように描かれているけど、ある意味国民の目を代表しているのが彼とも言える。
テキパキと仕事をこなすエリザベス女王をヘレン・ミレンが実に巧く演じている
よく見たら違うのに、まるで女王の生き写しのようなヘレン・ミレン。
アカデミー賞主演女優賞他、多くの映画祭で最優秀主演女優賞を獲っただけのことはある☆
どちらかというと今のチャールズ皇太子に似ているエジンバラ公(ジェームズ・クロムウェル)
チャールズ皇太子役のアレックス・ジェニグズよりも、おでこが似ているジェームズ・クロムウェル。
仕事をするエリザベス女王の後ろで、「お茶がさめちゃったよ・・・」と愚痴るところが、なんとも~
実際のところ、エジンバラ公の仕事って何なんでしょう?
やたら気晴らしに鹿撃ちに孫を連れ出すって・・・・・
子どもに鉄砲を撃たせるとは思えないので、気晴らしになるのは自分だけのような?
女王が健在のうちは、チャールズ皇太子にも仕事が無いということなら、働き盛りの年齢にそのような立場でしかいられない彼も、やや可哀相な気もする。
ショッキングな事故は、ニュース映像を盛り込んで
実際のニュース映像や、ダイアナ妃の姿を映しているので、とってもリアル。
しかし、本当のエリザベス女王の気持ちは、実際のところどうだったのかな?
いろいろな意味で、自身の事を映画化されても構わないというのは、英国王室の懐の深さなのかも。
チャールズ皇太子の説得で、王室機で棺が輸送され・・・
「生きていても、死んでも厄介」とアン王女なら言うね・・・・と、さらりと言っちゃうエジンバラ公。
表舞台では、『公の人』の発言しか出来ない彼らも、家の中では一人の人間なんだよね。
エリザベス女王をかげながら支える良き夫と言う、いいイメージが強かっただけに、何となく違和感あるけど、女王を人間味のある人物としてクローズアップさせるには、効果大☆
チャールズ皇太子が、「少なくともダイアナは、子どもたちにとって、いい母親でした。」とエリザベス女王に言うシーンは、女王として揺ぎ無い自信を持って生きてきた彼女にとって、きっとはじめて揺らいだ一瞬だったのかも。
ふっと母の顔を見せるヘレン・ミレンの絶妙な演技に拍手!
人として母として、命を慈しむ本当の彼女に戻る一瞬
誰もいない大自然の中でしか、素の自分に戻る事ができないエリザベス女王。
素直に涙を流す姿は、思わす胸を打たれる。
自分でジープを直したり運転したり、道も分らないのに歩いて帰ると言ったり、チャーミングな一面も見せてくれる。
一国の女王としての立場と人としての立場に揺れる
今まで自分を律する事が最も重要として、人間の部分を押し隠すことで女王として生きてきたエリザベスも、国民との板ばさみで痛烈な批判を受けている事を知って苦悩する。
自分のしてきたことは何だったのか・・・・?
すべて国民のために、この身を捧げてきたと言うのに・・・・・

バッキンガム宮殿の室内のシーンはロンドンのゴールドスミス・ホール。
女王の寝室と応接間のシーンはハートフォードシャーのプロケット・ホール。

口には出さないけど、バッキンガム宮殿前にうずたかく供えられた花束の、添えられたダイアナへのメッセージを読むときの表情と、振り返って弱々しく笑顔を国民に見せるときの表情が、彼女の気持ちを雄弁に語っていて秀逸☆
そして、小さな子どもから、「あなたに」と花束を受け取ったシーンでは思わず涙してしまう。
英国民は女王としてではなく、『英国民の母』としての自分を求めていると気付いたエリザベス。
周囲の人たちから、マミーと呼ばれていることからも分るように、日本での皇室のあり方ともやや違う位置づけなのだと解る。
結婚式の時も葬儀の時も、多くの国民がウエストミンスター寺院にみっしりと集まっていたけど、野次馬的に集まっているのではなく、本当に心から祝福し、死を悼んでいたのだと納得。


ウエストミンスター寺院 見学者入り口(左) 正面入り口(右)
サークルライン ディストリクトライン ウエストミンスター駅 徒歩2分
ロンドン観光地めぐり☆ウエストミンスター寺院

ロンドン観光地めぐり☆ユダヤ財閥の邸宅ワデスドンマナー
さて、今回のロイヤルウエディング。
英国民が家族として祝福するのだから、外国人の私は家でTVを見ているのが正解なのかな☆
この記事へのコメント
みすず
これ観よう観ようと思って機会を失ってたのよね^^
ヘレン・ミレン、似てるよね!ほんと、よく見ると全然似てないのに・・・でも、すっごく似てる!(どっちや^^;)
「マミー」って呼ばれてるんだ^^
結婚式の時、ケイトさんのご友人などが女王に出会ったら「女王」じゃなく「マム(マミーかな)」と呼ぶようにって説明書にあるらしいね^^
勿論、自分から話しかけちゃダメらしいけど・・・
ノルウェーまだ~む
へー、ご学友たちにもマミーと呼ぶようにってことなのね。
でも自分から話しかけちゃダメって、親しみがあるのかないのか…(汗)
すごい似てるのに全然似てないで、どっちや?(爆)