今回はねえねオススメ映画のほかに、ダークファンタジーの傑作とシュールレアリズム映画に挑戦☆(★はまだ~む採点 満点が★5つ)
共通して言えるのは、どれも「おとぎ話」であること。イッてる作風はそれぞれ違えども、内面を深くえぐって忘れる事ができない。
「PICNIC」(1994年)ねえねオススメ映画 ★★★

主演はこれがスクリーンデビューとなったCharaと、浅野忠信。二人はこれがきっかけで翌年結婚した。
グロいシーンをカットして翌年公開されたらしい。
精神病院で出会ったココ(Chara)ツムジ(浅野忠信)サトル(橋爪浩一)の3人は、世界の終わりを探しに施設と外界の境界線である塀の上を歩いてピクニックに出かける。
途中はぐれてしまったサトルは塀から落ちて死んでしまい、ココとツムジはついに埠頭の端まで行くと・・・・
当時まだCGが普及して無かったのか、毎夜現れる先生の亡霊があまりに人形でちょっと笑えるのが余計に切なさをかきたてる。
イッちゃってる演技が自然なCharaと、シュールな世界観。
ラストの切なさは心に余韻を残す・・・・
「パンズ・ラビリンス」(2006年) ダークファンタジーの傑作 ★★★

内戦がまだ激しい地に駐屯しているフランス軍のビダル将軍のもとへ再婚した母と一緒にやってきたおとぎ話が好きな少女オフェリア(イバナ・バケロ)。
冷酷な義父になじめない彼女は、時々現れる妖精にいざなわれ、迷宮の扉をあけるのだが・・・・
確かに傑作☆
生き延びるために迷宮へ降りていくしかなかった健気な少女が最後に見せた微笑に、胸をぐわしっと掴まれる事請け合い。
でも監督ギルレモの美的センスが、「ヘルボーイ」でもどうしても馴染めなかった私。ちょっと期待しすぎたかなぁ。
オテサーネク -妄想の子供-(2001年) シュールレアリズム★

チェコの童話がもとになっている。
子供の作れないことで憔悴しきった妻を励ますつもりで、掘り起こした木の根っこで赤ん坊の人形を作ったホラークは、本当の子供のように世話を始めた妻に困っていた。
周囲の人にまで祝福され、子育てに励む妻だったが、オティークと名づけた木の赤ちゃんはどんどんと食欲を増し、ついには訪ねてきた人間まで食べ巨大化していった・・・・・
『シュール』という言葉は便利に出来ているものだ・・・・と思う。
エロでもグロでも許容範囲の広い私が、さすがに引いてしまった。童話を基にしているだけに、他の映画に比べたらよっぽどエロでもグロでもない。例えて言うなら『ゲロ』
食事のシーンを何度も見せるが、食べ物をここまで不快に映すのをはじめて見た。
実際チェコの料理はあまり彩りを気にしない、茶色くてドロッとしたものが多いので、この映像で気持ち悪くなるのは失礼なのかな?とかなり葛藤しながら見ていたけど、これは正しい反応らしい。
監督本人が子供の頃食事が嫌いだったらしい。
スープだけの貧しい夕食でさえ、登場する子供はいつも残してしまうのだ。そのわりにデブちゃん
ただしシュールレアリズムの観点からいっても、監督が料理で表現するのはエロティズムと思われる。
人間まで食べちゃう恐ろしい木の赤ちゃんは、その見た目は不気味なのだけど、料理に対する不快感と戦っている間に、次第に可愛いと思えてくるのだから、シュヴァンクマイエル監督の手腕はたいしたものである・・・・
サンタサングレ 聖なる血(1989) サイコ ★★★

メキシコシティのサーカス団長の息子フェニックスは、繊細な少年だった。
父が刺青の女と浮気をしている時、目撃した母コンチャは女の下腹部に硫酸をかけてしまう。
激高した父に両腕を切り落とされた母、自殺をする父を目の当たりにしたフェニックスは精神に異常をきたす。
成長したフェニックスは、腕の無い母に操られ病院から逃走し、彼に近づく女を次々と殺めていくようになる。
母を溺愛するあまり、母に縛られ生きていくフェニックスだったが、幼馴染の口の利けないアルマに再会したことで、彼はついに・・・・
相当にイっちゃてるけど、主人公の青年が周囲から愛されているのが唯一の救い。
彼が我に帰って、自らの手を上げたことで喜びを感じるラストは胸を打つ。
全編手押しオルガンの切ないメロディーが、より一層物哀しさを演出する。
母との二人羽織で見せるピアノの演奏は見事!
いずれもつわものの作品。
これを一度に見た日には、自分もあっちの領域にいってしまうので要注意!
体調と精神状態の良い時に、ゆったりとした気分で鑑賞しよう。
この記事へのコメント
mig
まぁ!名作ばかりじゃない♪
初シュヴァンクマイエルはまだーむダメかぁ。残念だわ。
私もレビュー書いてるからTBあとでするね。絵本が基なのよ。
これ、シュヴァンクマイエルの中では一番受け入れやすいはずなんだけどなー(笑)
佐吉は「オテサーネク」も大好きなんだよね。
サンタサングレも強烈な映画ね、マリアでは泣く人倒れる人もいたよ
ねえねの岩井俊二のは観てないけど、、、
マリー
『パンズ・ラビリンス』は私が二度と観れない映画にランクインされてます。。。ちなみに1位は『グリーン・マイル』
migさんが名作ばかりと言っているぅ~(笑)
『オテサーネク』はmigさんのとこでレビュー観たなぁ。
『サンタサングレ』も凄そう・・・
岩井監督作は『スワロウテイル』が好き。あれもCharaだったような・・・私は三上博史が出てるから観たはず~。
みすず
面白そうだけど、怖そー^^;
特に最後の。
気になるから観てみようかな^^
ノルウェーまだ~む
さすが!佐吉一族はこの強烈なラインナップもへっちゃらどころか大絶賛だものね。
でも倒れるのもわかるよー
「オテサーネク」でちょっとびびっている私。もしかしたら私にはちと衝撃に慣れないかも。
ノルウェーまだ~む
「グリーン・マイル」はまだ見てないわ・・・
マリーさんそれなら「縞模様のパジャマ~」も入れて!笑
岩井監督の「スワロウテイル」は傑作だよね!私も好きだし、ねえねも大絶賛なのよ。
ノルウェーまだ~む
これらは、全てR指定になるんじゃないかな?
決して子供の目に触れさせないよう、気をつけてね☆
・・・よけい怖くなった?
SGA屋伍一
オテサーネクの食事シーンかあ。とりあえずお母さんが必死こいてたくさんのご飯を作るのが大変そうだったなあと。大喰らいのお子さんを持つとお母さんは苦労しますね
あんだけのモンスターを一体どう始末するのかと思ったら実に意外な人物がw その辺のあっけらかんとした感じが笑えたので、後味はあんまり不快じゃなかったです。ま、主人公のご夫婦は本当にお気の毒でしたけどね~
パンズラに関してはまた感想書きに来るかも
ノルウェーまだ~む
いやいや、オテサーネクの食事シーンじゃなくてね。
女の子の家の食事のシーンがゲロかったの。
オテサーネクがムシャムシャと人を食べて、バラバラの猟奇殺人現場みたいになっているのは、別に平気なのさ。
どちらかというと、本当の食事があまりに不味そうで、この家のお母さん、スープしか作らなくていいなんて楽でいいなぁ~って思いながらも、これじゃ不味そうで残したくもなるよねって。
パンズラはまたよろしく。
SGA屋伍一
デルトロのセンスあいませんか。そうですねえ。彼の世界って全体的に薄暗いというか土臭いというか。その辺がむかないひとはいるでしょうね。わたしは『ヘルボーイ』二部作とか大好きですけど
この映画はビダル大尉のセルフ縫合シーン我一番インパクトあったかな… その直後お酒を飲んでぶっと吹き出すシーンは大爆笑でしたが
『サンタサングレ』のホドロフスキー監督作品では一昨年『エル・トポ』というのを観ましたよん。カルト的に大人気を誇る映画ですが、あまりにぶっとんでてちょっとおすすめできません(^^;
ノルウェーまだ~む
『ヘルボーイ』がねぇ、ちょっと苦手なの。
あの造形美にとてもファンも多いけど、私はデザインがどうしても馴染めないのでした。
ホドロフスキー監督はぶっとんでいるのですね。納得です。
かなりぶっ飛んでいました。