「帰ってきたヒトラー」☆ブラック過ぎて笑えねぇっ!

ドイツでベストセラーとなった原作小説の表紙の、ちょび髭の部分にもデザインされているように『笑うな危険』なのである。
ブラックすぎて顔が引きつってくるけど、どうしても笑っちゃう。
だけどこれはブラック過ぎて笑っちゃダメだろー?な自分や、いやそこ笑うところだから!と場内がドン引きしている様子とも戦わなければならないややこしい脳内第三次大戦が勃発!


こんなヤバイ映画でいいの?ドイツ人?


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「帰ってきたヒトラー」 公式サイト(6月17日公開)

<ストーリー>

自殺を図ったヒトラー(オリバー・マスッチ)は気が付くと2014年にタイムスリップしていた。
空腹で倒れたヒトラーを拾ったキオスクの店主は、テレビ局でお払い箱になったフリーのカメラマンのザヴァツキ(ファビアン・ブッシュ)に面白いおっさんがいると連絡。
ザヴァツキはヒトラーの真似をする芸人で再び仕事を得ようと、彼を連れてドイツ全土を回り、街行く人の反応を撮ってテレビ局に持ち込む。
野心家のクリストフ(クリストフ・マリア・ヘルプスト)は、彼をお笑い番組に出演させたところ・・・・


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気付くとタイムスリップしていた

正直、似ていない。
ただ、この「ちょっと似てるけど違う」というかんじは大切かもしれない。

タイムスリップものに付き物の、勘違いネタも十分笑えるけれど、近代的な設備にもっと驚くシーンも欲しかったかな。

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その後の歴史やヒトラーの事はウィキペディアで勉強

ハンドルネームを決めるところが笑える~
細かいネタが散りばめられているので、見逃さないように。

このテレビ局の受付の女性↑とザヴァツキが彼女の家で唐突に恋人に発展するシーンで、椅子に押し倒すと棚から燭台が落ちてくるところは重要。
ここでひとりド派手に反応してしまった私だけど、実はこの7分岐燭台はユダヤ教の象徴的なものなのだ。

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お笑い番組で、あっという間に人気者になる

ドイツを全国行脚したことでネットで大人気となり、ついにお笑い番組に出演。
最初はただのモノマネ芸人と思っていたら、人々の気持ちを掌握する物凄い力があることが判明してくるあたりから背筋が寒くなり、単なるコメディではないことが判ってくる。
本人はドイツの未来に対して、真摯に前向きに本気で演説しているだけなのだけど・・・・

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彼が熱く語る事が理にかなっていて、ついには制作会議にまで参加するようになる

彼の演説は当時のままなのに、今現在のドイツが抱える問題にも直結していて、その過激な演説に人々が賛同していく様子は、笑いながらぞっとせずにはいられない。

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ラストのシーンはコスプレをしたマスッチが、実際にドイツを廻り、道行く人と交流した時のドキュメンタリーになっている

サインをもらう人、ツーショットを撮る人、ハグする人、中指を立てて暴言を吐く人(映像上少年Aのように目を黒くしたりボカシたりしている)と人々の反応は様々だ。

実際こうして演説の力で大衆の心を掴んでいくヒトラーを見ていると、『絶対悪』のように描かれてきたヒトラーが実は大衆の代表であった事実を明確に突き付けられることになり、背筋が凍る思いがする。


笑えるけど笑えない、今だからこそこの映画は全世界の人が必ず観なくてはいけない課題図書的映画と言っても過言ではない。
絶対、観るべし!

この記事へのコメント

  • 風情☭

    こんにちは♪

    ブラックなのは知ってはいたけれども、思いのほか
    以上のブラックさでしたね。
    ヒトラーの言動は当時そのままなのに今の世に合致
    するわ理に適ってるわだし、世が不安定になるとヒ
    トラーのような過激ながらもカリスマ性のあるリー
    ダーが求められるんだなぁと何か怖くもなりました。
    ラストのヒトラーのセリフはホント考えさせられま
    した。
    ドイツのヒトラーを多角多面的に扱った作品を観る
    たびにドイツ映画界ってスゲェ!と思わされます♪
    (゚▽゚)v
    2016年06月19日 21:14
  • ノルウェーまだ~む

    風情さん☆
    本当に仰る通りですよね。
    最近ではアメリカ大統領選挙に何か通じるものを感じます。
    その後の歴史の行方を一人一人が慎重に考えて行かなくてはいけませんよね~~
    2016年06月19日 23:40
  • にゃむばなな

    ヒトラーの名言ってある意味現代から見るとまるで予言でもあるんですよね。
    それだけ彼は政治家として有能だったけれど、暴走しすぎてしまったのも事実。
    昨今自ら好んで敵を作っては自己アピールする政治家が増えている背景には、ヒトラーみたいな強い意志と言葉を持った政治家がいない裏返しなのかも知れませんね。
    2016年06月20日 22:34
  • ノルウェーまだ~む

    にゃむばななさん☆
    カリスマ性に富んだ指導者の元で強くなっていっているISなど、カリスマ性=過激性な図が無きにしも非ずなのが大きな問題なのですよね。
    カリスマ性があるということが、政治家として有能でもあるとは言い難い気もします。
    でも現代にも通じるところが多々あって、ぞくっとしますねぇ~
    2016年06月21日 23:55
  • ここなつ

    おー!課題図書!
    全くその通りかと思います。
    ヒトラー一人が狂人なのではなくて、周りの気持ちが巧みに利用されたに過ぎないのかもしれないですしね。
    しかし、減退゛の世の中でも、彼の演説って有効なのだな、と、その手腕に驚かされました。
    2016年06月22日 17:27
  • ノルウェーまだ~む

    ここなつさん☆
    工に誘導されてしまったとはいえ、人の深層心理を見事に突いた演説で惹きつけてしまう手腕は本当に見事でしたよねぇ。
    ある意味、何気に心の奥で思っていたことを代弁しているだけだったりも…
    「ヒトラー一人が狂人なのではない」ここがミソですね。
    2016年06月23日 00:03
  • ノラネコ

    ヨーロッパの危機感をストレートに表した作品ですね。
    この作品が出てくるまで、彼らの社会は追い詰められているのかという感じを受けました。
    ギャグなんだけど、ギャグで終わらせられないというか、背筋がゾクゾクします。
    これが笑い話のままギリギリ留まっていてくれると良いのですけどね。
    2016年06月30日 23:08
  • ノルウェーまだ~む

    ノラネコさん☆
    ヨーロッパだけでなく、リアルにアメリカあたりもこのような風潮で、本当に笑えないところまできてますよね。
    実際、イギリスもEUを離脱していきなり、差別発言などが横行したりして、恐ろしいことです。
    2016年07月07日 17:32
  • とらねこ

    これ素晴らしかったですよね。
    もう一度見ようかどうしようか、と思ってますw
    モキュメンタリー風(ドキュメンタリーを装った映画の作り)に作られてる箇所もあることが余計、恐ろしく感じちゃって。
    今年の新作の中でも出色の出来でしたね。
    2016年07月17日 14:11
  • ノルウェーまだ~む

    とらねこさん☆
    ほんと、出色の出来!
    いかにも地味なかんじでヒットしそうにないけれど、口コミで是非広げて行って欲しい映画よね。
    あくまでもコメディなのに、物凄く深くタイムリーなところが見事だったわ☆
    2016年07月18日 09:53

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