まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり 島崎藤村「初恋」より
深夜の誰も居ないお風呂でパチリ♪島崎藤村『初恋』をモチーフにした『初恋りんご風呂』は10月から5月まで
ほのかに香るリンゴは初恋の香り~♪
中棚荘 小諸駅より徒歩15分
起伏のある美しい庭園の向こうに入口が。藤村記念館よりも凄い藤村の初版本や貴重な直筆の手紙などが書棚に飾ってあるロビーには、自由にくべられる暖炉があり、まずはここでそば茶とクッキーのウエルカムドリンクが供される。
平成館と大正館があり、事前にお願いして島崎藤村が足繁く通った人気の大正館の『藤村の間』(藤村が実際に『千曲川旅情の詩』を執筆した部屋を復原)に宿泊!!緑に囲まれて素敵~♪
平成館(バス・トイレ付)と違ってお風呂へ行くのも一旦外へ出なくてはいけないし、トイレも共同、床は軋み、壁が薄いのでお隣の部屋の声が筒抜けだけど、何といってもこの情緒あふれるお部屋はこの旅に必須でしょう?
リンゴが赤く美しく見える夕陽いっぱいの温泉を堪能したあとは、宿のお食事処『はりこし亭』にてお夕食。
この宿の何が良いって、食事がかつて経験したことないほど美味しいno☆
『はりこし亭』は参勤交代が通った北国街道沿いにあった染物屋の旧家を移築したもので、登録有形文化財に指定されている建物。
天井の高いこちらの二階はかつて蚕だながあったのだそう。
座ると先ずお釜に火が入れられ、目の前でたけのこご飯を炊きはじめる。
左からじゅんさいと海老などの冷製、中央は「千曲川いざよふ波の岸近き宿にのぼりつにごり酒 にごれる飲見て草枕しばし慰む」(島崎藤村『千曲川のスケッチ』)と藤村が中棚荘を歌い愛飲したにごり酒、右がコリッコリの鯉のあらい。(お品書きを持ち帰るのを忘れてしまったのが、とにかく悔やまれる)
左上 白身のお魚に雲丹あんとそら豆、穴子とそばもちの2品がとにかく絶品!!!
右上 別注文の馬刺し、下左 ホタルイカと山菜の天ぷら、右下 冬瓜と海老芋の煮物
このあとに炊きあがったたけのこご飯と赤だしのしじみ味噌汁、高菜等香の物(写真なし)
デザートはフルーツあんみつと、草餅。
バナナの色が良くない事以外は、今までの人生でいただいた和食の中で最も美味しかったお料理たち!!
これは私がちゃんとした和食を食べてこなかったからという訳では無く、会社の接待でいくらでも高い料亭で食事をしているパパンでも同じ感想だったくらいに極上のお料理。
特別に高級な食材を使ったりするわけでもないのに、これだけのクオリティーでお料理を作られる料理長はさぞ腕のある方なのでしょう♪
部屋のある大正館へ戻り、パパンとねえねは早くも就寝(≧▽≦)
真夜中近くになってようやく二人が起きたので、長い長い階段を上って温泉へ・・・・・・・!!!!?なんと!階段の途中にタヌキがぁ!!
階段から転落してしまったのか、どうやら前足を怪我している様子。ねえねがそっと近づいて柵の外に逃がしてあげたけど、その後大丈夫だったかな??
真夜中で誰も居なかったのでパチリ♪
脱衣所とお風呂場にガラスの仕切りが無いという、面白い作りになっている。手前は畳で、湯上りもとっても気持ちよい~♪
温泉はあまり広くないけれど、リンゴを浮かべたお風呂はとにかくほっこりする♪
施設も古いし(平成館は新築)、お風呂まで階段が長いし、ロビーも庶民的だけれど、田舎の家に帰ってきたような心持にさせてくれて、この宿にして本当に良かったと思える心温まる温泉宿☆
翌朝の朝食も楽しみだわ~~☆
「信州☆文豪の足跡を巡る旅」水明楼から蓼科牧場~上田 へつづく
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この記事へのコメント
セレンディピティ
「初恋リンゴ風呂」なんてロマンティックなお風呂なの~
りんごがぷかぷか浮いているお風呂は見た目のかわいらしさもさることながら、きっと香りもすばらしかったでしょうね。
野趣あふれるお料理もとってもおいしそう!
そして何より、お部屋が情緒があってすてきですね。藤村と時を越えて語り合えそうです。夢に出てきませんでしたか?(笑)予約できてよかったですね。
私もいつか行くことがあったら是非こちらに泊まりたいです。
この後は山梨ルートで帰られたのかな?
続きを楽しみにしています。
ノルウェーまだ~む
毎回コメントありがとうございます!!
藤村はさすがに夢には出ませんでしたが、このあとタヌキさんが…(爆)
バストイレ付の新築のお部屋で快適を追求しても、お食事は同じ「はりこし亭」でいただけるのが本当に良いですよね☆
ねえねのような文豪ファンには、この不便さも堪らなく魅力的だったようです♪
お風呂は柚子湯と同じで、お風呂場全体に香りがするところまではいかなくて。ちょっと拍子抜けしたのですが、手に持ってクンクンと香りを楽しむと、暫く手がリンゴの香りで、とても満たされた気分でした~