ヒトラーという絶対悪の存在があるが故に、気持ちよいほどに潔く罪を認め謝罪をするドイツ人に対し、ポーランドの人々は複雑だ。
ナチスのポーランド侵攻により致し方なかったとはいえ、多くの市民が隣人のユダヤ人を密告し、ゲットーの彼らを差別してきたことに対する後ろめたさ。
しかしそれ以上に多くのポーランド人が彼らを匿ったり逃がしたり、レジスタンスとして戦ったり、ユダヤ人と同等に収容所へ送られ虐殺された事実を、私たちは正しく認識しなくてはいけないのだ。
「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」 公式サイト
<ストーリー>
ワルシャワで大きな動物園を営んでいたヤン(ヨハン・ヘルデンベルグ)とアントニーナ(ジェシカ・チャスティン)は、ドイツ軍のポーランド侵攻が始まり、動物たちが殺され、友人のユダヤ人たちがゲットーへ強制移住させられるのを目の当たりにし、彼らを動物園の地下へ匿う事にする。
ドイツ兵の為の豚を飼育する為に、生ごみを回収すると見せかけて少しずつゲットーからユダヤ人を脱出させてきたが、アントニーナに恋心を寄せるヒトラー直属の動物学者ヘック(ダニエル・ブリュール)が毎日のようにやってくるので生きた心地がしなかった。
戦況は悪化しレジスタンスとして戦いの中にいたヤンはついに…
ヨーロッパで一番大きな動物園を経営しているだけあって、夫婦は相当な資産家であったと思われ…
多くの資産家がこのように心正しき人であったなら、もっと沢山の困った人たちが助かったでしょう。
映画では数えられるくらいの人数のユダヤ人を匿っていた設定だったけれど、実際は300人近くを助けたのだと言う。
本当に素晴らしい人たち!!
儚気だけど芯が強く、全ての命を慈しむ女性をジェシカ・チャスティンが見事に演じている
しかし本当に動物好きじゃないと、なかなかあそこまでの演技は出来ないよね(≧▽≦)
大切な動物たちを愛する気持ち、同じ命を尊ぶ気持ち、ある意味彼女だからこその行いだったのかもしれない。
ナチスのヒトラー直属の動物学者にダニエル・ブリュール、どうしてもドイツ人=ナチス役が回ってきがちだけれど、彼の人の好さそうなキャラクターが救いになって、完全な極悪非道キャラではないところがミソ
アントニーナが好きすぎて毎日のようにやってくるヘックに、地下のユダヤ人たちはヒヤヒヤ
動物が暮らしていた檻で、息をひそめて暮らすのはさぞ大変だったことでしょう。
アンネの日記にしてもそうだけれど、幼い子供たちに強いる過酷な生活を思うと心が痛むばかり。
それにしてもアントニーナはいつ寝ていたのかしら??
それと300人もの人たちをどうやって食べさせていたのかな?
それでも多くのユダヤ人たちはゲットーを焼かれ、列車で強制収容所へと・・・・
14歳以下の幼い子供たちはアウシュビッツへ着いた途端ガス室へ送られていたのを知っているだけに、アウシュビッツで実際に見た列車が思い出され胸が苦しくなる。(アウシュビッツへの道☆強制収容所) (アウシュビッツへの道☆絶滅収容所ビルケナウ)
映画では列車の横でカバンが焼かれていたけれど、実際はこの荷物はドイツへ送られ再利用されていたのだ。
一方的ながらアントニーナに恋心を寄せるヘック~~ジェシカも言い寄られてちょっと困り気味の演技が絶妙に上手♪
権力を振りかざしてアントニーナをどうこうすることも出来たのかもしれないけれど、あくまで真剣に彼女を想い、恋心を募らせていく姿は逆に胸が苦しくなる一面も。
アントニーナの息子を撃たなかったのは彼女を本当に愛していたからなのね…と感動するより、息子が戦時中なのにぽっちゃりしているのが気になって仕方なかった私(≧▽≦)
世界情勢が不穏な今日この頃。
どうか全ての人がアントニーナ夫婦のようでありますように☆
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ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命
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ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命
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ユダヤ人を救った動物園 ~アントニーナが愛した命~
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Tracked: 2018-02-10 18:21
この記事へのコメント
ボー
しかも、ゲットーから脱出させることもしていたとは!
アントニーナって、ポーランドの人ではないのでしょうか? 外国人っぽい喋り方じゃなかったですか?
ノルウェーまだ~む
まさに灯台下暗しですね~
綱渡りの生活をずっとしていたなんて、本当に心休まる時が無かったでことでしょう。
アントニーナの喋り方はそんな特徴を出していたなんて、気付きませんでした。多分ポーランドの人という設定だと思うのですが…
セレンディピティ
昨日何度かコメントを入れようとしたのですが、なぜかはじかれてしまいました。今回は大丈夫かな?
ポーランドもドイツに支配され、誰もが自分のことでせいいっぱいのはずなのに、さらに虐げられていたユダヤ人のために命がけで救っていたご夫婦の勇気がすばらしかったですね。
戦死したとばかり思っていたヤンがもどってきた時にはほっとしました☆
まっつぁんこ
zooey
この作品の中ではポーランド訛りの英語をつかっていたようですね。
ポーランドの映画かと思ったら
アメリカ・イギリスの映画なのねえ。
あちらのユダヤ人の資本力の強さを思い知らされるようで少々鼻白みますが
それでも良い映画でしたね~
ノルウェーまだ~む
何度も申し訳なかったデス。昨日はbiglobeのほうでメンテナンス中だったみたいですよ。
ポーランドの人たちがユダヤ人と同じくらい実は虐げられたり、収容所へ入れられていたなんて知らなかったのですが、こちらではドイツ兵の為の豚を飼うことでそういったところも免れていたのかもしれないですね。
最後は本当にホッとしました~♪
ノルウェーまだ~む
ありがとうございます!
両親が殺された…と言うのはどこかで話していたように思いました。
ロシアから移住してきた人なのですね~
ノルウェーまだ~む
ユダヤ人は財力があるからヒトラーに狙われたというだけあって、一番最初のホームパーティーのシーンでも皆さん優雅でしたよね☆
しかしユダヤ人=お金持ちと私も思い込んでいたのですけど、実際彼らは実に堅実なんですよね~~
それこそ爪に火を灯すように暮らしてそうして財をなした事を思うと、それを根こそぎ巻き上げるための民族殲滅作戦をしたナチスは本当に恐ろしいと思うのでした。
Nakaji
ポーランド人の中でも、本当にこんな素晴らしい人もいたんだなって思います。
自分たちの命もどうなるかわからないのに、
彼らを匿ったり逃がしたり戦ったりした人がいたってこと正しく認識しなくてはいけないですね。
ノルウェーまだ~む
ポーランドだけに限らず、ドイツの周辺国では様々な事が起きたと思うのですが、特にポーランドはユダヤ人の次はポーランド人的にナチスには狙われていたみたいですね。
戦後のドイツの目覚ましい発展に比べ、ポーランドは今でも結構素朴なままで、あまり豊かな国では無いところからも(ヨーロッパで出稼ぎに出てるのはポーランド人というイメージがあります)色々大変だったのだろうなぁと思います。
そんな中でも勇気のある行動をとった彼らは本当に素晴らしい人たちでしたね~