トランスジェンダーで容赦ない差別を受けながらも、愛を貫き強風に立ち向かっていく姿を描く。
自身もトランスジェンダーのダニエラ・ベガが演じている。
不必要にオネエ言葉も使わない。必要もなく豊胸手術をしない。
華美に着飾らない。
柔らかくしなやかな手足と、穏やかな物腰は、その辺によくいるハスキーな女性と何ら変わりなくまさにナチュラルに女性だ。
「ナチュラルウーマン」 公式サイト (2月24日 公開)
<ストーリー>
誕生日を二人で祝った晩、突然倒れた年の離れた恋人のオルランド(フランシスコ・レジェス)が亡くなった。
マリーナ(ダニエラ・ベガ)は、警察の事情聴取でも疑いを掛けられたり、取り調べで過剰な反応をされるなど、愛する人を失ったショック以上に辛い目にあわされていた。
特に元妻や、彼の息子からは罵倒され、彼と住んでいた家も車も彼からもらった犬でさえも取り上げられ、しまいにはお葬式に来るなと告げられるのだが…
カフェでバイトし、クラブで歌い、ごく普通の女性の生活をしている様は何の違和感もない
周りの人たちも彼女の素性を知ってか知らずか、普通の女性として接してくれる。
ただ警察官ほか取り調べをする人たちは、すぐに彼女をトランスジェンダーと気付き、あけすけな質問をしてくるのだ。
恋人を失った哀しさを凌駕する辛い仕打ちに、たった一人で立ち向かっていかなくてはならないマリーナを想うと辛くて…
次第に風が強まって、前に進むのも大変~~なシーンで彼女が困難に立ち向かっていく姿を表現している
オルランドの息子から酷い差別を受けるシーンはいたたまれなくて、仕返しに殴ってやれ!!と心の中で何度叫んだことか…
鏡やガラスに姿が映る象徴的な演出を多用して、自らを見つめ直し、認識して行こうとする姿が印象的だ。
お葬式が終わった後、火葬の前にオルランドが迎えに来てくれるシーンは、号泣する人続出!
私は正直、まだ7歳の娘がいるオルランドが家を出て息子と同じくらいの年の恋人と住んでいるという事が判った時点で、完璧マリーナ目線だったのが逸れてしまい、大切な号泣シーンでは泣くことができなかった。
それは相手が男であろうと女であろうとトランスジェンダーだろうと「家族」だった者からしたら、葬式に来ないでと言いたい気持ちも判るから。
『ただお別れを言いたい』と願う純愛を、トランスジェンダーの大きな枝に守られて美しく描いた作品ではあるものの、今まであまりなかったトランスジェンダーを真摯に描いている点で大変評価できる。映像も美しい。
きっと若い女性には心揺さぶられ感動できる作品なんじゃないかな☆
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この記事へのコメント
セレンディピティ
LGBTへの理解が少しずつ広まっているとはいっても、まだまだこういうことはあるのでしょうね...
ただオルランドの家族にとっては、マリーナのジェンダー云々ではなく、受け入れがたい思いはあるかも。そのあたりがなかなか難しいですね。
それにしてもダニエラ・ベガさん、ほんとうにきれいですね~
ノルウェーまだ~む
そうなんです!
ダニエラさんは見た目にも女性らしいのですが、その奥ゆかしさや恋人に対する一歩引いた「日陰の女」感までもが、まさに女性そのものなのです☆
恋人を一途に愛する想いまでもが本当に美しかったですyo
セレンさんなら結構気に入っていただける映画と思います。
にゃむばなな
ジェンダーを理由にしているところが逆に目立っていたため、私は元妻目線で見ることは出来なかったですね。
まぁ製作陣が描きたかったのは、ジェンダーであるがゆえに受ける差別ですから、ある意味仕方ないのかも。
ノルウェーまだ~む
そうなんですよね~
映画のテーマがジェンダーなので仕方ないのですが、逆に言ったら、7歳の娘がお葬式に現れたオルランドを見て泣いたシーンは、実に正直で公正だと思うのです。
7歳の子供ですから、父親を自分から奪った人が来たから泣いたわけで、元男だから泣いたわけではないはずなんです。
父の、夫の愛人がノコノコ葬式にやってきたら、それが男だろうと女だろうとジェンダーだろうと私でも追い返します(笑)
つまり『愛人』である点では性別は関係なく等しく同等の扱いを受ける可能性があるわけなので、最終的にオルランドに共鳴することができなかったのでした…