生まれてきた赤ん坊を見ると大抵は「なんて(可愛い)チャーチルみたいなの!?」と言われるほど、イギリスの人々にとって彼はアイコンなのだとか。
後ろ姿の白黒写真を見ても、それがチャーチルだと理解できるほどに人気者なのだそう。(登壇者のハリー杉山 談)
日本で言うとビジュアル的には愛されキャラのひふみんで、政治的にはクセのあって不動の人気を誇る田中角栄か?
「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」 公式サイト(3月30日公開)
<ストーリー>
第2次世界大戦、ダンケルクでは英国軍が退路を断たれて窮地に陥っていた。
そんな最中、政治的戦略から首相へ就任することになったチャーチル(ゲーリー・オールドマン)は、ナチスドイツとの和平を推す前首相や外相に非難されながらも、徹底抗戦を譲らなかった。
内心迷いながらも、妻に叱咤激励され、逡巡しながら言葉を選びそれを新人タイピスト(リリー・ジェームス)に打たせる日々。
決断を迫られたある日、チャーチルはついに街へ飛び出し生まれて初めて電車に乗って、市民の生の声を聴くのだが・・・・
Vサインを世の中の広めたのはチャーチルなのだそう
冒頭から議会に丁々発止の会議に演説にと、とうとうとしゃべり続けるシーンの連続に、字幕を目で追っていても頭に入ってこないことが数回。
チャーチルがどんなにイギリス人にとってアイコンであったとしても、正直のめり込むほどの歴史的思い入れが無いため、ストーリーは凄く面白いと言う訳ではないのだ。
風呂に入りながら、朝のベッドの中で・・・・喋るチャーチルの聞き取りにくい言葉を全てタイプするエリザベス
彼女がこの男だらけの議会ばかりのシーンで唯一緩和剤となっている。
それだけでなく途中、貴族出身のチャーチルが知らずに『裏Vサイン』をして新聞に載ってしまい、エリザベスからそっと教えてもらって二人で大笑いするなど、国民との懸け橋になっているのがポイント。
もうひとつ、チャーチルの人となりを表すのは妻とのユーモアいっぱいのやりとり
妻には頭が上がらない普通のオジサン。
不安もあり迷い、緊張もするこの一見傲慢で型破りで変わり者のチャーチルの本当の心を見抜いて、陰からそっと支えているというのが実に良い☆
二人のやり取りを見ていると、いつも怒鳴り散らしているチャーチルが一挙に可愛らしくみえてくるのだから不思議(≧▽≦)
やっぱりウエッジウッドでお食事する国王
多くの戦死者を出す戦いを避けて和平の道を探ろうとする国王の考え方も間違ってない。
観客も国王と同様、無茶な強硬姿勢を崩さないチャーチルの真意を次第に知ることとなっていく展開はなかなかに秀逸。
それにしても国王のスケージュール無視で、自分のお昼寝タイムを優先して、ちゃっかり毎週宮殿のお食事を国王と摂るチャーチルって!(笑)こんなところにも、チャーチルの自由気ままさが表れている。
実は子供の頃は勉強が出来ずに落ちこぼれで、弟と人形の兵隊ごっこばかりしていたチャーチル
レベルの低い学校への入学試験にさえ2度も失敗し、予備校へ通って3年目でやっと合格、入学してからも成績悪く、よく先生からムチ打ちにあっていたのだとか(汗)
街へ突然飛び出していって、地下鉄で一般市民の生の声を聴くシーンでは、いかにチャーチルが市民から絶大な人気を博していたかがよく判る。
けれど戦争で何度か失策をしてきたチャーチルが何故そこまで市民に厚い支持を受けているかは、イギリス人じゃないとちょっと理解しにくいかな。
全編、戦時中のくすんだ茶色い映像は、辻一弘氏がせっかく獲ったアカデミー賞メイクアップ&スタイリング賞の見事なメイクも薄暗くてちょっと見えにくい。
それでもたるたると頬を揺らして喋るチャーチルは、本当に自分の顔であるかのように演じるゲイリーの演技力あってこそ、さすがオスカーを獲るべくして獲ったと言えよう☆
猫背で太った体でのすのすと歩くチャーチルが、最後、歴史的に有名な4分間の演説を終え、議場を去るときのシルエットが実にすっくとして堂々とした姿だったのがとても印象的だった。
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この記事へのコメント
セレンディピティ
ダンケルクを別の視点から見た作品なので、私も気になっています。
どちらかというと淡々とチャーチルの人となりを追った作品のようですね。
それにしてもゲイリー・オールドマンが、こんなにあごたぷたぷのお顔になってしまうなんて...メイクの力はすごい!!
ノルウェーまだ~む
淡々と言うか…常に口頭筆記のために喋り続け、激しく激論を交わし合ったり、演説をぶったりするシーンが続くと、抑揚のないブリティッシュイングリッシュにどうもやられちゃうのですよね(≧▽≦)
ゲイリーのメイク凄いですよね。いったいどんな素材を使ったら、本物の皮膚の様に表情をそのまま映し出すほど柔らかくできるのか不思議でした☆
zooey
チャーチルの生家、ロンドン郊外のブレナム宮殿に行きました。
あの見渡す限りの敷地、広大な湖つきのお城が個人の家とは驚くばかりでした。
この映画、楽しみにしています。
ノルウェーまだ~む
凄いですね!オックスフォード郊外のブレナム宮殿もご覧になっていらっしゃるとは☆
私は行ってないのですが、写真を見ると相当に大きな宮殿ですよね~~
彼がどれだけ浮世離れしていたか、それで納得できました♪
映画は試写会が当たったので行ってきました~~
一橋ホールの環境ではこの映画のくすんだ色味のせいでせっかくの特殊メイクもよく観えなくてちょっと残念でした。普通の映画館ならきっと大丈夫かな…
風情☭
一時期、ちょいとチャーチルと仏のド・ゴールに興味を
もったことがあって、いつか関連本を読もうと思うも未
だで今に至ってることもあって、手っ取り早くチャーチ
ルに関して映像で学べるってぇこととで、飛びついたし
だいです。
それはそれとして、もっとゴリゴリのやり手の人かと思
ったら全然だったりで見応えがありました。
>ウエッジウッドでお食事する国王
こういうところに目が行くってぇあたりは女性目線でさ
すがですわ♪ (゚▽゚)v
ノルウェーまだ~む
ふふふ…お皿もさることながら、イギリスの国王は何を食べているのかな?ってお料理にも目がいっちゃいました。
そこそこキチントしているかんじで、さすがにフィッシュアンドチップスじゃないんだなぁなんて(爆)
にゃむばなな
やっぱり叩き上げの政治家はチャーチルのように個性的なところに人間味を感じるからなのでしょうね。
ノルウェーまだ~む
チャーチルの個性的なキャラクターにびっくりしました。
やはり後世に名を残すような人は、人間的にも規格外の個性を持っているのかもしれないですね☆
ノラネコ
彼女の視点で見てるから、あの横柄なチャーチルがだんだん可愛く見えてくるんですよね。
もちろんゲイリー・オールドマンの懐の深い演技あってですけど。
ノルウェーまだ~む
確かにゲイリー・オールドマンの演技あってですね。
ワガママ放題好き放題言っているけど、よく観察したらただの可愛いおじいちゃんみたいな?
だんだんと人を惹きつけていくパワーを感じました。
ボー
重要人物ではある。しかーし、私には秘書さんのほうが重要人物です。
ノルウェーまだ~む
秘書さんとってもチャーミングでしたものね♪
物語としても秘書さんは大事な位置づけでした。
ごみつ
私もかなり前に見たのですが、さっきようやっと記事にしました。(;'∀')
もうたまりまくっててにっちもさっちもいかなくなっております。(笑)
映画、ドラマとしてとても良く出来てましたよね。チャーチルの決断の重さとか、もしもこの決断が間違っていたらとか、あれこれと考えさせられました。
とにかく戦争はしちゃいかん・・と痛切に思いました。
「レディ・プレイヤー・ワン」も見ましたが、記事はもうちょい後になりそう。
レディプレの悪い奴、どっかで見た事あるな~って思ってたら、この映画のジョージ6世でした。(;^ω^)
ノルウェーまだ~む
あ!!!そうですね!確かに~~っ
まさかの国王だったとはっ(爆)
チャーチルの決断は本当に綱渡りで、勿論戦争の行方なんて誰にも分らないけれど、いい方向へ行って本当に良かったですよね。
ごみつさんお忙しそうですが、お身体大切になさってくださいね☆