まさに本日、アカデミー賞主演女優賞を獲得したオリヴィア・コールマン。
確かに醜女(しこめ)をここまで思い切って出来る女優がはたして他にいる??!「バイス」のクリスチャン・ベイルも20Kg増やして頑張ったけど…(≧▽≦)
ポスターが地味だしと思っていたら、こんなに面白い作品だったとは…
「女王陛下のお気に入り」 公式サイト
<ストーリー>
アン女王(オリヴィア・コールマン)の幼馴染のレディ・サラ(レイチェル・ワイズ)は、痛風で気まぐれ・決断力と学のない女王に替わってイギリス国内の全てを掌握し、絶大な権力を握っていた。
そこへ没落貴族のアビゲイル(エマ・ストーン)が従姉妹のサラを頼ってやって来た。
元貴族でも女中の下働きから始めることになったアビゲイルは、サラに取り入り次第にアン女王にも気に入られていき…
夫婦仲が良く17回も妊娠して、全て流産・死産・幼少期に子を失くしたのも史実のとおりだそう
ウイスキーが好きで実際に太っていて、亡くなった時は棺桶が正方形だったとか…
幼馴染のサラが全て権力を握っていたのも史実の通り。二人の女性と本当に愛憎劇があったかは別として、この驚くべきドラマは全て実話に基づいているというのにまず驚き、300年前のこととはいえ王室の恥部をここまで赤裸々に描いているとういうのも驚き☆
「ウォーム・ボディーズ」の白塗りゾンビメイクもびっくり、ニコラス・ホルトの化粧に「この映画はコメディ?」って思っちゃうけど、当時はそれこそ大真面目に男性は化粧をしてカツラを被っていたわけで…
今でも裁判の時には皆こんなカツラをつけている英国。この映画がコメディだったら、英国自体がコメディってことになっちゃうne
特に苦笑したのは裸でカツラだけは着けてフルーツ投げをして遊ぶ男たちのシーン。民に税を倍額払えといいながら、宮殿ではこんなことをしていたのかと思うと情けなくて…
それより気になったのは、貴族がふざけて投げ合うフルーツやウサギのフンで床が汚れる事!
実はこの映画は15世紀に建てられた本物の宮殿でロケしているのだ。
エマ・ストーンのやんちゃな演技は見もの!彼女の高慢でない自然体の演技がこの役にピッタリ~
思わずラスト近くまでアビゲイルの応援をしながら観てしまうのだけど、実は物凄い野心家な事が発覚するラストは『本当の愛情って?』と考えさせられてしまう。
実際サラの歯に衣着せぬ発言は女王にとって厳しいものだったかもしれないけれど、アビゲイルが権力を乗っ取ったあとに、どんどん痛風が悪化していくアン女王の姿を見ると、実はサラは母親のように厳しいけれど本当に彼女の為を想っての事だと気付くのだ。
さて、ロケが行われたのはハットフィールドハウス 公式HP(2011年撮影)➡ロンドン観光地めぐり☆映画撮影はハットフィールドハウス
15世紀に建てられた宮殿で最近では「パディントン」や「トランスフォーマー最後の騎士王」など多くの映画が撮影されたらしい。
私がロンドンに住んでいた時に見たお邸の中では群を抜いてゴージャスな宮殿で私にとってもお気に入り♪手前のメイズも素晴らしい!
女王の部屋は額が沢山飾られている部屋が使われた(室内は撮影禁止だったのでHPから拝借)
舞踏会や夕食会のシーンなどで使われた部屋。
サラが楽しそうに踊っているところを見つめるアン王女の目に涙がジワリと滲んで、そこに華やかな舞踏会の様子が映っているシーンは秀逸!思わず私も泣きそうに…
アビゲイルが度々本を読んでいたサラの寝室
流石に図書室が寝室っていうのは、やや不自然かな。
特徴的な暖炉がとっても優美☆
サラ役のレイチェル・ワイズは聡明で時に厳しく、時に優しく母親・父親そして恋人となってアンを導く役柄にぴったり!最後の国を追われる時まで、凛として貴族然としている姿に感服してしまったwa
劇中何度も行き来する天井が金色の大広間!ここまでゴージャスな宮殿は他には無いyo
表の廊下の他に真っ暗な裏の廊下を通って隠し扉から室内へ入るのも、バッキンガム宮殿でも見られる本当の話。
身体まで張ってのし上がっていく女を怖いと見るか?貴族でも没落したら女中か娼婦の道しかないと思ったら、何だってするよね?
ワガママ放題に見える女王の不安・懇願・甘え・決意・失望・苦痛を瞳だけで表現するオリヴィア・コールマンの圧巻の演技はとにかく見事。おススメです☆
#女王陛下のお気に入り
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この記事へのコメント
ここなつ
宮廷の描写が、登場人物の衣装に至るまで素敵でした。
私はアビゲイルよりもむしろサラの方に(割と最初の方から)肩入れしておりました。レイチェル・ワイズが好きというのもあったけれど(笑)、ほぼ生まれた時から一緒にいるのに、後から来た若い女に寵愛も自分の身分も全て剥ぎ取られてしまうのって哀し過ぎるじゃありませんか!!
zooey
女優3人の演技は凄かったし、
特にコールマンは、主演女優賞も納得でした。
でも私はこの映画、ちっとも好きになれなかったのです。
誰にも肩入れできないし、誰も好きになれなかった。
登場人物が好きになれなくてもそれなりに楽しめることもあるのですが
この作品はどうして全く面白いと思えなかったのか、
自分でも不思議です。
セレンディピティ
皆さんおもしろいとおっしゃるけれど、私はユーモアのセンスがないのか、なかなか受け入れられなくて…フルーツ投げもダメだったの。だからちょっと辛辣な感想になってしまいました。
でも三人三様の演技バトルや、お屋敷や衣装は楽しめました。
レイチェル・ワイズの男装もかっこよかった~☆
ノルウェーまだ~む
あ~確かに!揺ぎ無い幼馴染みの心を許し合った仲ですものね。うんうん。
色々な見方がありますね~
監督の意図としては、エマ・ストーンを起用した時点で狡猾さが薄いイメージだったのかな?と思ってました。
女王もサラも最後切なかったですよね☆
ノルウェーまだ~む
あらま!本当ですか~?
王族の物語は数多いですが、大奥ものとしてこの作品が実はコメディのようでいてリアルなのではないかと実は思っています。
そう言う意味で大変興味深く面白く見れましたけど、zooeyさんはお好みでは無かったのですね…
私はそれこそ女王に肩入れしておりました。自由なようで不自由なストレスを抱えた女王が夫に先立たれてから、本当の愛情を欲する心の寂しさがよく出ていたと思うのです…
ノルウェーまだ~む
レイチェル・ワイズの男装素敵でしたね~~
女性が男装して、男性がお化粧して本当に変な世界です。
しかし当時は大真面目にそれをやっていたのですものね(笑)
フルーツ投げ私もダメでしたよ~~ひでーなあれ!って思って。
しかしあれも重税を平気で民に課そうとしておきながら、自分たちは好き放題な捻じれた王室を表すのに重要な部分かなと思いました。
yukarin
エマ・ストーン怖っ 笑
本物の宮殿で撮影したんですね~ウサギのフンのにおいはつかなかったのかな 笑
オリヴィア・コールマンの受賞は納得です。
ノルウェーまだ~む
バイスのクリスチャン・ベイルも変貌を遂げたけど、オリヴィアのあの醜女ぶりは役者魂を感じるわ~
本物の宮殿でしかも15世紀の物なのに、フルーツやフンで汚して大丈夫だったのか?ヒールでコツコツ歩いて大丈夫だったのか?古そうな車いすで走り回って大丈夫だったのか?めちゃくちゃヒヤヒヤしながら観てました(笑)
にゃむばなな
だってお互いに手加減とか一切しないんだもん。
個人的にはサラが本を探しながらアビゲイルに本を投げまくるシーンに女性の恐ろしさを痛感しました。
あれだけ普通に会話しながら、あんな怖いことが平気で出来るんだと…。
ノルウェーまだ~む
サラのようにいつも冷静な人ほど、かっとなるとそんな行動に出るのかもしれないですね。
昔は相続争いで兄弟で殺し合ったり、残酷な事が平気で行われてきた時代ですから、手加減なしで上等!ってところなのではないでしょうか。
それに比べて男性陣の無邪気と言うか情けないと言うか、その辺の対比も面白かったデス。
ボー
失われたものを取り戻すべく陰謀をめぐらせる…こわいけどエマちゃんだから、いいのさ!(…やっぱり怖い)
ノルウェーまだ~む
お気に入りのエマちゃんでも怖かったですか~?
生きるためには何でもするって感じでしたね。
元々平民だったらその生活に甘んじるところなのでしょうが、貴族へ返り咲く為に必死だったのでしょう☆
ノラネコ
貴族社会を笑い飛ばしたシニカルなブラックコメディ。
欲望むき出しの人間模様が気持ち悪くて、ランティモスらしく良い感じに狂ってました。
ノルウェーまだ~む
かなりのブラックなコメディでしたが、毒を盛ったことによる結果は別として血で血を洗うような事になってない分、欲望むき出しの大奥宮中絵巻なかんじでしたよね。
確かに!良い感じに狂ってました!!