「ロケットマン」☆自分を抱きしめて

「ボヘミアン・ラプソディー」の時は意にも介さなかったパパンは、かねてからエルトン・ジョンの半生を綴った映画「ロケットマン」なら観に行く!と言っていたので、満を持して二人で鑑賞。
何にでも寛容なパパンが「ゲ○だから嫌だ」と差別発言をしておきながらエルトンならOKというのが、今一つ理解に苦しむけれど、要するに楽曲が好きかそうでないかっていう違いなのかな?
鑑賞後のパパンの感想は今年一番の作品!100点満点といってもいいくらいの95点だそうで。(今年まだ2本しか見てないパパンだけど)

ロケットマンポスター.jpg
「ロケットマン」公式サイト
<ストーリー>
不在がちで厳格な父と不仲の母は子供に無関心、唯一祖母だけが彼の音楽の才能を見抜きピアノを習わせてくれた。
両親から愛されていないと寂しさを募らせていたが、ライブハウスでバックバンドをつとめるようになるとその才能を発揮していった。
音楽事務所で渡された1通の歌詞に心惹かれ、作者のバーニーと意気投合したエルトンは次々と作品を発表し、一気にスターダムにのし上がる。
バーニーに女性の恋人が出来て傷つくエルトンに、マネージャーのジョン・リードは恋人としてもパートナーになるが、派手な生活とハードワークに次第に生活は乱れ・・・


ロケットマン遊園地.jpg
ライブハウスでノリノリ演奏からの~~⇧の遊園地でのミュージカルシーンはワンテイクで撮影されたものらしい。
とにかくエルトンを演じたタロン・エガートンの歌声が素晴らしい!全て本人が歌っているというのだからその多才ぶりにビックリする。
しかも記録として残っている写真や映像のエルトンの再現率がヤバイ☆衣装から仕草、次第に太って髪が薄くなっていくところなんか、もうそのものなのだ!

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「ジェラシックワールド」のブライス・ダラス・ハワードがむっちり太って子育て放棄の母親を好演

確かに不仲の両親からハグもして貰えない幼少期は涙なくしては見られない。
特に父親が再婚した家庭で腹違いの息子たちを抱っこしている様子を見て、ロールスロイスの中で涙するシーンは胸が痛い。

でも?
祖母は優しいし、才能をいち早く認めて5歳の時からピアノを買い与え、レッスンにも通わせて貰えている。それほど裕福でない家ならば尚、王立音楽院にまで通わせて貰えたのは大事にされていた証拠では?(息子の同級生がイギリスの王立音楽院に週1回通っていたけれど、かなりお金は掛かると話していた記憶が…)
食事中ピアノを弾いていたら普通怒られるし、ファッション誌に夢中の母もスマホばかり見ている現代のヤンママと何ら変わりないように思うのだけど・・・「誰からも愛されなかった少年」だなんて、ご両親がこの映画観たらなんて言うのかな?
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作詞家のバーニーとの出会いが彼の人生を一転させる

初めて会った日に朝まで語り合ったり、「君の歌は僕の歌」が生まれた瞬間などエルトンの歌がそのまま彼の感情そのものとして表現されているのが素敵。
私個人としては年代的にも、この映画で登場する楽曲はあまり知らないのだけど、じっくり歌詞を見ると本当に胸を打つものばかり。
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私生活でも実際、泥沼の愛憎劇があったようだけど、結局エルトンを食い物にしたこのマネージャーのジョン・リードのことをこんな風に暴露して大丈夫なのかな?
いずれにしても蜜月の日々を赤裸々に描けるのも、今だからこそなのかも☆

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冒頭の不思議なミュージカルシーンが実は伏線になっている

ど派手な衣装は、コンプレックスを隠すためのアーマー。
リハビリ施設に通って少しずつその鎧を脱いでいき、最後幼少期の自分を自らの手でギュッとハグするシーンは繊細過ぎるエルトンが自分の本名レジー・ドワイドを認めた瞬間。ようやく自分を愛せるようになったシーンは、あまりに感動的で思い出すだけでも泣けてくる。

せっかく歌が素晴らしいのにオカシナ衣装を何故着るのかしら?と常々思っていたので私もようやくここで納得。

ロケットマンツアー.jpg
「ボヘミアン・ラプソディー」もこの作品も、どちらも容姿にコンプレックスを持っている孤高の天才が愛を失って堕落するけれど乗り越えていく物語。
富も名声も才能もあって多くの人に愛されながら、誰からも愛されないと思い悩む。フレディにしてもマイケルにしても天才は皆そうなのかな・・・

ERのあとの幼少時代の写真がそっくりで最後までビックリ☆
帰宅してから調べたら、私の大好きな「ライオン・キング」の曲の半分はエルトン・ジョンが歌っていたのを知って2度ビックリだった(爆)

この記事へのコメント

  • セレンディピティ

    まだ~むさん、こんにちは。
    私も昨日、見に行きました!
    ボヘミアン・ラプソディのスタッフが携わっているということで、二匹目のどじょう狙い?と期待半分でしたが、今回はエルトン自身が製作を務めているということもあって、ぐっと本人の内面に踏み込む昨品になっていましたね。
    同性愛のことや、両親のことも、ずばりと描いていましたが、それも含めて彼自身が伝えたいメッセージだったのだと理解しました。
    ミュージカル仕立てになっていたのも楽しかった!
    エガートンと歌と演技に魅せられました☆
    2019年08月26日 17:01
  • きさ

    エルトン・ジョンの曲は大好きなので、楽しく見ました。
    ですが、自分を見失ったエルトンが過去を回想するという形式なので割と見ていてつらい部分も。
    特に後半は酒と薬物におぼれ、作詞の名コンビ、バーニー・トーピンも去っていきます。
    コンサートシーンはいいですし、エルトンが自宅で「僕の歌は君の歌」を作るシーンは大好きな曲なので涙、涙、でした。
    エルトンを演じるタロン・エジャトン始め俳優陣はみんな良かったです。
    色々あって最後にはバーニー・トーピンと和解して終わるのは良かったです。
    2019年08月26日 20:46
  • ノルウェーまだ~む

    >セレンディピティさん
    >
    エガートンは歌もピアノも本当に上手でしたねぇ。そしてむっくりした指から衣装・体形・髪型までまるで生き写しでした!
    実際、どのような状況であったとしても、繊細なエルトンがその時に感じた感情そのままに心情を吐露していて、それが全て歌で表現されていたのも素晴らしかったデスne☆
    2019年08月26日 21:44
  • ノルウェーまだ~む

    >きささん
    >
    バーニーと50年来の親友で一度も喧嘩したことが無いというラストも良かったですよね!
    これが世界で最も美しく貴重で唯一無二な友情であり得難い本物の愛情な気がします。
    2019年08月26日 21:47
  • BROOK

    「ボヘミアン・ラプソディ」とは違い、ミュージカル作品になっていたのも良かったですね♪
    そして、タロンの見事なまでの演技、歌声も素晴らしいものがありました!
    2019年08月27日 05:50
  • ノルウェーまだ~む

    >BROOKさん
    >
    内面の苦悩を描きながらも、明るく希望のある印象だったのは、ひとえにミュージカル仕立てだったことが良かったのかもしれないですね~
    タロンの歌素晴らしかったデス!!
    2019年08月27日 11:09
  • yukarin

    どうしてもボラプと比較されがちですけどこちらはミュージカルで全く違う感じで良かったと思いますね。
    とにかくタロン・エガートンの歌声が素晴らしかったです。
    ついサントラを買ってしまいましたモン。
    それとエルトンの再現率の高さはホントすごいですね。

    ジョン・リードがここでも怒鳴られてた 笑
    2019年08月29日 12:58
  • ノルウェーまだ~む

    >yukarinさん
    >
    ジョン・リードってきっと敏腕だったのかもしれないですけど、冷血な人だったのでしょうね。
    スターを商品としてしか見てなかったのかも…
    ミュージカル仕立てでタロンの歌が冴えていましたね~~
    2019年08月29日 21:53
  • zooey

    ジョン・リードはまだ生きているみたいですよ。
    ここまで全世界に暴露されちゃって生きて行けるのかいな?と
    余計な心配してしまいました。
    王立音楽院に関しては、奨学金が出るようなことを言ってた気がします。
    2019年08月31日 15:03
  • ノルウェーまだ~む

    >zooeyさん
    >
    ですよね~?私たちもジョン・リードここまで悪く描かれて、本人は大丈夫なのかな?って話してました。
    王立音楽院は通うのには奨学金でまかなえても、音楽の世界は演奏会から楽器から、相当お金が必要らしいですよ。
    2019年08月31日 16:51
  • ごみつ

    こんばんは!

    私も今日見て来ました!
    エルトン・ジョンは大好きなので、彼の歌を聴くだけで本当に楽しかったし、感動しました~。
    タロンは素晴らしかったですね~。
    ミュージカル仕立てになってるのも良かったです。

    ところで、今、気が付いたのですが、エルトンの恋人兼悪いマネージャーのジョン・リードって、クイーンのマネージャーでもあったのね!「ボヘミアン」の中で途中でクビになっちゃう人です。
    ビックリしました。( ゚Д゚)!
    2019年08月31日 22:09
  • ノルウェーまだ~む

    >ごみつさん
    >
    私もそこは気付かず見ていたのですけど、「ボヘミアン・ラプソディー」でソロデビューを持ちかけて怒鳴られていたのがジョン・リードだったらしく・・・
    どこまで冷血でビジネス優先なやつだーって益々思いましたよ。
    でもまだ存命だそうで、これらの映画を観てどう思うのでしょうね??(≧▽≦)
    2019年09月01日 11:20
  • ハッピーなのでしょうかね。ゲイである事をコンプレックスとしながらも、そのマイノリティとしての世界に対する思いとかが、歌に出ているのではないでしょうか。社会的な苦難というのは、それを痛みに対する報復感情として、吐露できれば、音楽家にとって肥しとなるかも知れませんが、誰かが聞いていてくれるという安心感というのは、まだ本当の苦労知らずで、たった一人、愛する人さえ振り向いてくれればいい、という、厨二病的な考え方もあると思います。リードが戦略的な恋愛関係であの酷さでさえ、ジョンは歌い続けましたから、ジョンの側にも、ビジネスとしてのパートナーという心構えとかは在ったんじゃないでしょうかね。

    無論、耐えて忍んで好きな歌を歌うという事なので、どこかで、息を付ける時間をリードが作ってくれないと、いくらジョンがプロでも辛いと思います。華やかなスターダムはそうなんですが、むしろ、リードと出逢っちゃった事による、エルトン・ジョンの苦労の前半生の物語では無いかと思いました。
    2019年09月01日 14:49
  • ノルウェーまだ~む

    >隆さん
    >
    様々なコンプレックスを抱えていたエルトンが、音楽活動と恋愛と・・・と苦悩しながら、ようやく自分自身を抱きしめる事が出来て、初めて何にも頼らずに成長していけるようになったのでしょう。
    相手が男性であろうと女性であろうと、それが癒しになり支えになり、また悩みの種になり傷つく・・・誰にでも共感できる物語なのかもしれませんね。
    2019年09月01日 18:01
  • にゃむばなな

    個人的にはノレなかったんですよね。
    QUEENの時みたいに客観的な物語を期待してしまったから。

    私もあれだけ祖母に愛されて、両親も何だかんだで息子の才能には金を掛けているし、これで愛されていないなんて、ちょっと視野が狭いんじゃない?と思っちゃいましたよ。

    でも本人がそう感じたのなら、他人は何も言えませんよね。
    2019年09月01日 23:33
  • ノルウェーまだ~む

    >にゃむばななさん
    >
    全く同じ気持ちです。
    それでも耐え難い寂しさを本人は感じていたのだから、終盤幼い自分を抱きしめて初めて乗り越えるまで、自分自身を愛せなかった精神的葛藤との戦いが続いたのですね。
    あれだけの才能がありながら、才能におぼれるどころか自己肯定が出来ずに苦しむなんて・・・
    2019年09月02日 15:56
  • 風子

    王立音楽院に通っていたのは聞いたことがあって、裕福な家なのかと思ってましたけど、労働者階級の出で奨学金で通っていたんですね。
    両親が不仲だったし、両親は幼いころから彼がゲイなのを気づいていたんではないかと思いますね。家庭内の空気に愛が感じられなかったのかなと思いました。
    コメディアンとかも、シャイで素の自分を見られたくない人が多いとか聞きますが、エルトンも素の自分を見せたくなくて、派手派手衣装で素とは別のキャラを演じていたんですね。
    2019年09月09日 12:08
  • ノルウェーまだ~む

    >風子さん
    >
    理由はともかく、あからさまに虐待に近い事をされたわけでもないのに、家庭内の空気で愛を感じられないと気付いていたのが、実は一番辛いかもしれないですね。
    そう言った部分がエルトンの「自分を愛せず別人になりたかった」ところにつながり、ハデハデ衣装で別キャラになっていたのだと私も思いました。
    2019年09月10日 10:29
  • ここなつ

    こんにちは!
    私も本作を観てエルトン・ジョンの奇抜な衣装の理由が少し判ったような気がしました。天賦の才能が多い人の方が、色々なことにセンシティブになってしまうものなのかもしれませんね…。
    しかし、このワンテイクのミュージカルシーン凄すぎ…タロン・エガートンもよくやった!天晴れ!と思いました。
    2019年09月11日 12:48
  • ノルウェーまだ~む

    >ここなつさん
    >
    天才的才能を持っている人は、やはり繊細なのでしょうね~
    この感情の豊かさが楽曲にも表れているのだと思います。
    タロンの演技も歌も本当にアッパレ!でしたね☆
    2019年09月11日 23:03
  • SGA屋伍一

    監督は一緒でしたがジョン・リードが2作品で全然違う風貌なのには笑えました。今回のリチャード・マッデンは最近ゲーム・オブ・スローンズやBBC版ボディガードなので苦労性の役を好演しておりますね
    友達が「今回はまだ存命中なので『ボラプ』の時ほど感動しなかった」とか言ってました。そういうこと言うたらあかんー
    2019年10月08日 11:23
  • ふじき78

    > 多くの人に愛されながら、誰からも愛されないと思い悩む。フレディにしてもマイケルにしても天才は皆そうなのかな・・・

    「エルム街の悪夢」と「13日の金曜日」を思いだしてしまう自分。
    2019年10月08日 12:24
  • ノルウェーまだ~む

    >SGA屋伍一さん
    >
    あっちのジョン・リードが思い出せないので比べられませんが、きっとこちらのジョン・リードは一度は愛した人なのでご本人がそう見えたように(?)容姿を決定したのかも・・・(笑)

    存命中とかで感動度合変わりますぅ?(爆)
    2019年10月08日 23:52
  • ノルウェーまだ~む

    >ふじき78さん
    >
    ええええ?!フレディとジェイソンって皆から愛される天才だったでしたっけ??
    2019年10月08日 23:56
  • ボー

    エルトン・ジョンから連想するのは、マリリン、「ムーラン・ルージュ」「オズの魔法使」、太っちょお笑いオジサン…。
    2020年06月06日 11:22
  • ノルウェーまだ~む

    >ボーさん
    >
    えー?マリリンも連想されるのですね?んー?
    2020年06月06日 23:39

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