長い事ホラーの傑作は「ペットセメタリー」だと思っていた。
家族を愛する切なさMAXの胸を打つストーリーは、ただ怖がらせるだけのホラーとは一線を画して、私の中で長い期間唯一無二の愛すべきホラーとなったのだった。
そして駄作だった「ペットセメタリー2」の存在を全く知らないまま、「ペットセメタリー2019」が公開される。
「ペットセメタリー 2019」 公式サイト(1月17日 公開)
<ストーリー>
新天地を求めて田舎に越してきたルイス(ジェイソン・クラーク)一家。
ある日飼い猫のチャーチルがトラックに轢かれてしまうが、娘のエリーの為に向かいに住む気の良い老人ジャド(ジョン・リスゴー)の言うままペットの墓地の更に向こうにある先住民の呪われた土に猫を埋めると、翌日猫が凶暴な姿に変貌して戻ってくる。
エリーが誕生日パーティーではしゃいでいると、家の前を通るタンクローリーに巻き込まれ死亡してしまう。
葬儀の後、妻レイチェルと息子を実家に帰し、ルイスはエリーを墓から掘り起こすのだが・・・
冒頭から結構なホラー色強くスタートする
そもそもルイス役のジェイソン・クラークがホラー顔だ。この風貌でしかも随所にホラーテイストを散りばめているので、最初からビクビクする羽目になる。
お向さんのジャドは呪われた墓地に埋めるとどうなるか知っているのに、何故ルイスにその存在を教えたか今回も謎
1983年版も小説に忠実だったけれど、今回は自殺しちゃうお手伝いさんのパートは無く、その分妻レイチェルの身体不自由だった姉とのエピソードが繰り返し登場する。
これはレイチェルの深層心理を強調してのこととしても、私個人としては奇形として不自由な姿で生まれた姉を化け物の様に描いている点で、不愉快極まりない。
1983年版では下の息子がトラックに轢かれるのだけれど、今回はお姉ちゃん。ポスターで判ると思うのでネタバレしちゃうけど、この改変が吉と出るのか凶と出るのかは微妙なところ。
良く見るとこの子もホラーテイストの顔立ち(笑)最初は結構可愛かったのに!!なかなか絶妙な変貌ぶりと演技に大きな拍手~!
わりとスティーブン・キング原作に忠実に作られたんじゃないかなと言う印象。例えば彼のどの小説を読んでも感じる『60年代70年代に当たり前のように公然と表していた差別的な気分』を隠さず描いている。
それでも「ペットセメタリー」が大好きだったのは、そこに抗いきれない家族への愛があったヵら。
なのに・・・私の好きな「ペット・セメタリー」じゃなくなってる!!
それはまるで今回の監督が1983年版の映画を禁断の土地に埋めしまって、それが凶暴になって帰ってきたかのようで・・・
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この記事へのコメント
セレンディピティ
ペットセメタリー、知らなかったです。
パットメセニーは知ってるけど。(ジョークです)
これもスティーブン・キング原作のホラーなんですね。
私もあらすじをうかがって、どうしてわざわざ呪われた土に埋葬したの?!と思っちゃいました。
動物の姿をした子どもたちからしてもう怖い。><
ジェイソン・クラークほか俳優陣の演技が見応えありそうですね。
ノルウェーまだ~む
>
セレンさんはジェイソン・クラークに確か興味がおありでしたね?
今作はかなりホラーちっくに作られていて、やっぱりキングが重きを置いている『愛する家族をなんとかして生き返らせたいと思う気持ち』の部分が弱くなっちゃっているのですけど、原作そして1989年のオリジナル作品のほうがその辺をよく描いていて傑作なのですよ~☆
先ずはオリジナル版をご覧になってみて~
っていうか、パットメセニー知りませんでした(笑
ごみつ
原作の「ペット・セメタリー」は、ニューヨークへ旅行に行く飛行機内で夢中で読みふけって、あっという間にNYに着いちゃった!っていうくらい面白い小説でした。
映画は1作目は見たんだけど、もう忘れちゃったので(確かラストが違ってた記憶)未見の2とあわせてまた見てみようかな。
新作も是非、見に行きたいな~。
キングの小説の中で私が一番好きなのは「呪われた町」です。読まれました?めちゃくちゃ怖くて面白いですよ!((;゚Д゚));
ノルウェーまだ~む
>
「呪われた街」はまだ未読です~
ざっとパパンの蔵書を見たけど見当たらないから、持っているか聞いてみますね♪
今は娘の「強い」勧めで十二国記の『魔性の子』を再読し始めているので、暫くキングと距離を置くことになりそうです(笑
私も未見の(多分)ペットセメタリー2(あまりに駄作で忘れたのかも)はアマプラでは有料でしたよ~
風情☭
>改変が吉と出るのか凶と出るのかは微妙なところ。
弟くんからお姉ぇちゃんに変えたのは個人的には失…
かなぁってぇところです。
幼さが怖くあったところが強くあったもんで。
中盤まではかなり原作に忠実でしたね。
いつも思うのですが、キング氏の作品は映画用にヘ
タにイジるよりも原作に忠実なほうが成功する確率
が高いように思えてます♪ (゚▽゚)v
ノルウェーまだ~む
>
私も全く同感です。
小説でもラストがイマイチな時も多々ありますけど、彼の表現したい事をしっかり描いた方が絶対成功すると思うんですよねぇ。
原作や1作目でキーとなる幼い弟ちゃんも、仰る通り幼いからこその怖さとかありますね。
ただ小さすぎると襲って来れないかな~とも思いますし、難しい所なのかな・・・
ここなつ
私も本作の妻の姉の扱いがちょっと嫌でした。というか私の場合の「嫌」はテーマが散漫になってしまう、という意味での「嫌」でもあるのですが。
ところで、私本作物凄く怖かったのですが(先住民の土地に纏わるオカルトの部分とか)原作の切なさを味わってから観るべきでしたねぇ~。
ノルウェーまだ~む
>
スティーブンキングって本来、人間の愚かしい部分・弱さや怖さ・浅はかな部分を描いて、切ない人間ドラマを生み出す作家なのに、何故かやたらホラーなところだけ映画で強調されちゃうからひずみが出てきちゃうのですよね。
是非、今からでも原作お読みになると良いですよ♪
割と短めなのでサクッと読めます。
ボー
母の姉の話って、オリジナル版にありましたっけ? 記憶がないのですが。原作にはあるのですか?
ノルウェーまだ~む
>
オリジナルにも原作にも母の姉の話は出てくるようです。
原作が一番切なさMAXなんですよねぇ。
「ペットせめたり」?そのダジャレ、奥の墓場に埋めてもいいですか?