「アイネクライネナハトムジーク」☆不器用だけど真っ直ぐな愛が胸にじゅわ~と染みてくる

基本浮かれた恋愛ものも、悲恋ものも純愛ものも壁ドン胸キュン系もドロドロ愛憎劇もあまり観ない私。
だけどこの映画はリアルでほっこり、そうそう☆あるある☆だよね~☆と誰もが思い、いつの間にか大切なものに気付かせてくれる胸にじゅわ~と染み入る映画。

だって胸掻きむしるような激しい恋愛も、学園一の王子さまが自分だけを気に入ってくれることも普通ないでしょう?
登場する人たちが全員主役、即ち見ている自分たちも主役になれるそんな温かい映画なのだ。
アイネクライネポスター.jpg
「アイネクライネナハトムジーク」公式サイト(9月20日公開)
<ストーリー>
劇的な出会いに憧れる佐藤(三浦春馬)は、美人で非の打ち所のない由美(森絵梨佳)を妻にもつ同級生の一真(矢本悠馬)にいつも恋愛の極意を指南されていた。
仙台駅前で街頭アンケートをしていた時に出会った紗季(多部未華子)と同棲するようになった佐藤は、出会って10年目ついに意を決してプロポーズするのだが、紗季は家を出て実家に帰ってしまい・・・

アイネクライネ駅前.jpg憧れていた劇的な出会いでは無いものの、佐藤は紗季と再会し・・・この映画の核となる二人の恋愛が、実は恋愛で盛り上がる期間はスッパリ描かれていない所もこの映画のミソ

伊坂幸太郎の原作でも他の登場人物はフルネームなのだけれど、三浦春馬演じる主人公だけが「佐藤」でしか扱われていないのだそう。
つまりこの平凡な名前の持ち主が見ている観客全てを主人公にさせてくれるというわけ。
アイネクライネ食卓.jpg分不相応な出来た美人妻を持つ一真は、このツラで(笑)亭主関白も甚だしい。
 
この映画は群像劇にもなっていて、互いにほんの少しずつ彼らの人生に関わってくる。
でもその関わりはほんのかすかなもので、あえて「関わっている事」を明確にぐいぐいと押し付けないところも良い。

美容院で働く美奈子(貫地谷しほり)が常連さんに紹介されたボクサーとの物語、公園でいじめられていた中学生とボクサーの出会い、妻に逃げられた先輩社員、10年経って高校生となった一真の娘に恋心を寄せる同級生・・・些細な関わりがあとで胸にじゅわ~っと染みてくることになる。
アイネクライネ高校生.jpg
いつもペコペコして尊敬できなかった父が、窮地に陥った同級生をさらりと助けるシーンなど笑えてほっこりするシーンもいっぱい。

ただし各群像劇を丁寧に描くことで、やや長くなりすぎたきらいもある。
少しダレたかんじになったのは勿体ないかんじがした。
アイネクライネ二人.jpg
実は今回の試写のあと今泉監督と小説家の燃え殻さんのトークセッションがあって、今まで行った試写会の中で最も楽しかった!!

例えば三浦春馬くんがちょい天然で、ポケットから指輪を出す時に向きを間違えて恋人に向けてパカッと蓋を開けられなかったのを、それいーね!と採用したり、役者と一緒に映画を作り上げて行ったのだそう。
特に出て行った紗季が家に戻ってきていて帰宅した佐藤と「おかえり」もぐもぐ「ただいま」「ただいま」もぐもぐ「おかえり」のほっこり×10のシーンも春馬くんのアドリブなのだとか!!

イケメンの彼が「あともう一息」な男性を実に真面目に演じることで、ちゃんと格好悪い男に見えてきて、この映画がぐっと観客に近寄ってきているというのも素晴らしい。

ひょろっとしてキョドっていて、最後出口にいらしたので握手を求めたらオドオドしていた今泉監督。
実は今まで今泉監督の作品(最近で言えば「愛がなんだ」とか)は見た事が無かった私だけど、見た目も性格もイマイチなのに美人にモテる男性の映画ばかり撮ってきた彼も、その実映画監督もやっている奥様との間に3人のお子さんがいるのとか(笑)

とても男性が撮ったとは思えないほど女性の気持ちをパーフェクトに理解しているこの映画。
不器用でもブサメンでも、女性の心を捉えるのは、もしくは女性が心が離れてしまうのは何なのかが見えてくる。世の男性必見!!

この記事へのコメント

  • セレンディピティ

    まだ~むさん、こんばんは。
    日本の若い俳優さんには疎い私ですが、
    三浦春馬くんと多部未華子ちゃんは大好き。
    2人とも清潔感がありますよねー。
    たしか以前にもこの2人は共演していましたよね。
    春馬くんは、キリアン・マーフィにタイプが似ている
    と個人的には思っていますが、キンキー・ブーツの影響かしら?
    今回は髪型もがらりと変わって、別人みたいですが
    3枚目の春馬くんも見てみたいわ。^^
    2019年09月03日 23:51
  • ノルウェーまだ~む

    >セレンディピティさん
    >
    監督によるとちょい天然な春馬くんだからこそピッタリの役だったみたいですよ。確かに真面目だけど器用そうには見えませんよね~

    清涼感溢れるふたりだからこそ成立する映画だったように思います。伊坂さんの原作も読んでみたくなりますね。
    キリアン・マーフィー??うーん、あくの強い役もする彼とはちょい違うような?
    2019年09月04日 01:13
  • セレンディピティ

    まだ~むさん、こんばんは。再び失礼します。
    ちょっとことば足らずでしたが、
    「キンキーブーツ」の春馬くんと
    「プルートで朝食を」のキリアンの写真を見てみて♪
    キリアンは大好きな俳優さん。
    春馬くんのキンキーブーツの舞台はいつか見てみたいです。

    春馬くんが天然...ってわかる気がします。^^
    2019年09月04日 22:07
  • ノルウェーまだ~む

    >セレンディピティさん
    >
    春馬くんてそういうところも含め可愛いですよね♪
     
    キンキーブーツもプルートで~も見た事なかったですが、画像を見ると確かにそっくり!!
    キリアンは私の印象ではかなりあくの強い人を演じるようなイメージでしたのでプルート~の女装は意外でした。
    今度映画見てみます♪
    2019年09月04日 22:53
  • にゃむばなな

    既婚者や結婚を意識したお相手がいる方には、この肉まん関白亭主の言葉は凄く分かると思います。
    そうなのよ、劇的な出逢いじゃないのよ。この人と出逢えたこと自体が劇的なのよ。それがどれだけ幸せなのか、分かる日が来た時の幸せはたまりませんよ。

    ちなみに私にとって昨年No.1に推させていただいた『パンとバスと2度目のハツコイ』も今泉力哉監督作品です。こちらも是非ご覧になってみてください!
    2019年09月21日 00:08
  • ノルウェーまだ~む

    >にゃむばななさん
    >
    「パンとバスと~」って映画知りませんでした!早速探してみます♪
    肉まん関白亭主!(爆)彼肉まん食べてましたっけ?

    実際劇的な出会いに憧れてた人が劇的に出会った場合、基本的に長続きしないというのが私の見解です(笑)
    それはその人たちが「劇的な出会いを愛している」から。
    そう言う人ってその後も「情熱的な愛」みたいなのを求めすぎるんですよね。その人と『出逢えたこと自体が劇的』なのに☆
    2019年09月22日 09:13
  • ふじき78

    サンドイッチマンがボクサーのセコンドで一言もない役と言うのが、近年にないとてもよいゲスト出演で感銘を受けました。
    2019年09月29日 01:45
  • ノルウェーまだ~む

    >ふじき78さん
    >
    ですよね~!?私もそこは感銘を受けました。
    仙台出身の友情出演ですね☆
    2019年09月30日 00:34
  • ノラネコ

    出来過ぎて漫画っぽい話なんですが、登場人物に嫌味がなくて素直に応援したくなりました。
    公開中に女優陣の結婚ラッシュという幸せなオマケもつきましたし。
    今泉監督は今恋愛映画撮らせたら最強かもしれません。
    2019年10月06日 18:11
  • ノルウェーまだ~む

    >ノラネコさん
    >
    本当にタイムリーに結婚ラッシュでしたよね♪
    どちらの女優さんもぐっと美しさが増したと思ったら~~(笑)
    今泉監督の女心完璧把握説が合っているかどうか、これから少しずつ映画を拝見して研究してみたいと思っています。
    2019年10月06日 23:42

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