30年越しの犯人「殺人の追憶」☆現実とのリンクに驚愕

昨日のニュースを見てビックリ!
韓国の史上最悪の「華城(ファソン)女性10人連続猟奇殺人未解決事件」の犯人が30年越しに特定されたと言う報道。
まさに韓国映画を見ようかな~とチェックしていた作品だっただけに・・・


<ストーリー>
ソウル近郊ののどかな田園地帯で若い女性が次々と惨殺される事件が起きていた。
地元刑事のパク(ソン・ガンホ)は拷問に近い取り調べで犯人を挙げ、誤認逮捕が続いていたがその間にも事件は続いていた。
対立するソウルから来た敏腕刑事(キム・サンギョン)は冷静に犯人と思われる人物へ迫っていたのだが・・・

殺人の追憶検証.jpg
韓国映画と言えば(整形?)美男美女が時にPOPに時にどろどろと繰り広げる恋愛ものか、汚職と暴力と血肉飛び散るグロくて激しいものの二極化にあるという印象。

こちらの映画は史実をモデルにした猟奇殺人の話なのだけれど、実はあまりグロイ映像はなくて、例えば現場で警官があまりの惨状にゲロッていることで「猟奇的」であることを示唆する程度に抑えてあり、反対にこれコメディ映画だった?と思うくらい、前半は笑ってしまうシーンも多い。
例えばさっきまで拷問していた容疑者とご飯を食べるこちらのシーン⇩
殺人の食事.jpg
自白を引き出そうと飛び蹴りしたり殴ったりしながらも、少し頭の弱い容疑者と和やかにご飯を食べている!
昭和の刑事ものあるあるな「厳しい」取り調べとパク刑事のとぼけた表情はコメディとしか思えない可笑しみがあり、悲惨な事件を題材にしているのについ声を出して笑ってしまうのだ。
殺人の追憶写真.jpgいい加減で冤罪おかまいなしのしれっとした捜査を当たり前のようにしてきたパク刑事も、警察をあざ笑うかのように続く事件に次第に身を粉にして事件へ取り組むようになっていく。
反対に冷静沈着だったソウルの敏腕刑事は、感情を押さえられないほど犯人に翻弄されていく。

この映画の凄い所は事件云々ではなく、彼ら刑事たちが次第と変化していく内面を見事な演技で引き出しているところなのだ。
特に韓国映画ならこの人ソン・ガンホの演技が見事!!!
この表情の為にこの映画があると言っても過言ではない。
殺人の追憶畑.jpg題名の「殺人の追憶」はラストのほんの数分間のためにある。

最後のシーンは刑事も辞めてしがないセールスマンとなり、すっかり白髪頭のパク元刑事が、最初の死体発見現場をのちにぷらりと訪れると、通りかかった女子児童に「この前も違うおじさんがここを見ていたよ」と話しかけられるのだ。
犯人は今も平然と近くに生活しているのだと知り、「どんな顔だった?」と問い詰めるパクの目がみるみる刑事の鋭い眼光に変わっていく瞬間は必見!


実際の事件は2006年に時効が成立してしまったので、その頃のDNA技術では犯人が特定されなかったのかと思うと残念でならないけれど、こうして事件を追憶してそれが解決に繋がったのだと思うと感慨深いものがある。
映画と現実がリンクした瞬間、思わず鳥肌が立ってしまったのだった。

この記事へのコメント

  • セレンディピティ

    まだ〜むさん、こんにちは。
    ファソン連続殺人事件を知らなかったので
    思わずWikipediaをチェックしてしまいました。
    羊たちの沈黙を思い出しましたが
    実在した事件をモデルにしているのですね。
    しかもちょうど2日前に犯人が捕まったばかりということで
    余計にリアリティをもってご覧になられたことと思います。
    韓国映画は残酷な場面も容赦がないというイメージがありますが
    猟奇的なシーンを抑えてあるというのは個人的には助かります。^^;
    刑事のバディものとしても見応えがありそうです。
    2019年09月22日 14:15
  • ノルウェーまだ~む

    >セレンディピティさん
    >
    これがまた丁度見ようかな~と思っていた作品だっただけにビックリしたのです。
    仰る通り韓国の残酷な描写は容赦がない事が多いのですが、少なくともご遺体に関しては直接描写はほとんど有りませんでした。
    バディというかこの映画は三者三様のトリオ刑事で、皆それぞれにアクが強いのも面白かったデス。
    2019年09月22日 15:23

この記事へのトラックバック

人気記事