新聞のお客様感謝上映に友達が誘ってくれたので出掛けてきたyo
「家へ帰ろう」 公式サイト
子供たちに家を売り飛ばされ老人ホームに入ることになったアルゼンチンに住む仕立て屋のアブラハムは、70年前に友人と交わした約束を果たしに突如家出をしてポーランドへと旅立った。
かつてホロオーストから逃れた過去があり、なんとかドイツを通らずに故郷ポーランドへ行きたいが、途中でお金を盗まれたり体調を崩して入院したりと災難続き。遂に元住んでいた家へたどり着くと・・・
突然思い立って、友へ渡す約束のスーツと小さなスーツケース一つで旅に出たとは思えないほど、なかなかにアブラハム爺ちゃんはお洒落さん♪
手渡すスーツの他に、自分の着替えのスーツ・Yシャツ・お洒落なスカーフ数種類に下着類?良く入ったな~~(笑)
伊達男なので、御年90近いのにバーでも女性から熱い視線が贈られる!
「頑固爺ちゃんな性格」は途中イラッとしないこともない。
辛い過去があってどうしてもドイツの地に足を付けたくない気持ちは判るけれど、それ以外にも年齢相応の頑固さが旅の弊害になっているのが歯がゆい。
特に音信不通だったけれどもずっと想い続けていた故郷の親友との関係に焦点を当てているからというのもあるけれど、昔追い出した娘との関係が縮まらなかったのは、ちょっと不満な部分。
旅先で様々な人に助けられていくうちに、少しずつ頑なな部分が融解していく。
クスリと笑えるシーンも時々あって、ほっこりさせられるのも良い☆
意外にもこちらが期待しているほどは助けてくれないのもミソ。それがかえって物語にリアリティを与えてくれるのだ。
実は邦題の「家(うち)に帰ろう」とあえて、『うち』と読ませたのは、目指した故郷ポーランドの街がウッチという場所だったからなのね?(ダジャレ?)
故郷なのに『ポーランド』という言葉すら禁句だったアブラハムの一家。それはどうしてなのか?というのは多くをこの映画は説明していない。
勿論、誰もがポーランドにアウシュビッツが存在する事は知っているし、ホロコーストの死の行進から逃げ出してウッチにある自宅へ戻ってきたけれど、その時既にかつて使用人だった家族が自分たちの家に住み着いていて追い返そうとする嫌な思い出があることが判明するわけだけれど、それ以上に複雑な歴史があることを我々はキチンと知っておくべきなのだ。

こうしたことを思いながら観るとより一層、ラストのシーンは溢れ出る涙が止まらない。
70年の時を経て、ひたすら待ち続けていた親友の何とも言えない表情が、それを全て物語っている様に思えたのだ。
この記事へのコメント
隆
本当は言葉にして伝えたいとか、大切にしたい「ひとつのもの」があっても、中々素直になれない、というのは、老人の切なさかも知れません。なんか、奪われた分だけ、優しく為れるというような事があって、悲惨な戦禍の記憶であっても、どこかで自分の中で消化吸収して、納得出来ているんじゃないでしょうか。
ノルウェーまだ~む
>
実はアブラハム爺ちゃんはアウシュビッツにいたわけですから、ドイツにもポーランドにも寛容になれないために、大切な友との約束を70年も果たせずにいたんですね。
連絡を取ることもしなかった彼が、最後に本当に大切な友と再会するために、様々な人と出会って少しずつ自分を納得させていく様が自然体で描かれていました。おススメ映画ですよ。
zooey
頑固でがめつい爺さんに最初はちょっとイラつくのだけど
次第に応援したいと我々に思わせる手腕は見事なものです。
音のないラストシーンも感動でした~!
ノルウェーまだ~む
>
あの一見がめついようなシーンは、ユダヤ人の堅実さをよく表していましたね~
彼らは実にコツコツと商売をして、あの財をなすのだから凄いですよね(笑)
ラストは号泣でしたよ☆
セレンディピティ
この作品、公開された時に見たいと思いつつ
見逃してしまいました。
予告を見た時から、彼がアウシュビッツ体験者であることはわかったし
物語もある程度想像できましたが
それゆえにきっと私の好みの作品だと思っていました。
いずれ是非見たいです。
ポスターのおじいちゃんの表情がいいですね~
ノルウェーまだ~む
>
そうなんですよね~私も公開当時見逃してしまっていて。そう言うのってDVDになってからも忘れてて、ずっと見ないままになる事ありますよね…
今回は運よくスクリーンで見る事が出来てとても良かったデス。
注意深く見るとホロコーストで生死を分けた体験をしたことが判るのですが、あえて映像では見せないので「死の行軍」が何なのかとかキチンと知っておくことが大事ですね☆
隆
これはアブラハム爺さんの単なる旅行記ではなくて、まだ心の中で溶け切らないものに対して、色々なものと戦っていたのですね。肉体の衰えは、そうした戦う意志を削ぐかも知れません。ドイツ人も含めた若者達との事もあると思いますが、無くてはならなかったのは、やはり親友との再会ですね。
冗談の通じない時代であったからこそ、若返る事によって、自分やその周囲との関係は良くなるのでは無いでしょうか。それによって、初めて、戦争被害者というのは、次世代に希望を見出し、その経験を語る気になる人も居るかも知れません。ユダヤ人であれば、いわんや痛みから立ち直る事から、始まると思います。
ノルウェーまだ~む
>
早速ご覧になられたのですね~
70年間も頑なだった心が、この年齢でようやく勇気を出して立ち上がったことで、痛みから立ち直ることができたのですよね。
身体は反比例であちこち痛いのですけど、そこがまた良かったデス。
まっつぁんこ
ノルウェーまだ~む
>
そうなんです!!
旅先で出会う女性はみな天使のようでしたね☆
ある意味、娘たちと心が離れ気味だった主人公が、心のよりどころにしやすかったのかもしれませんね。
keith
70年間待っていた友達の再開の表情。今思い出してもグッときます。
ずっと心にあったことを人生の最後に果たせたこと。いろんな思いがあったと、多くを語らないけれどかえって胸に響きました。
出てくる女性もたくましく美しくてよかったです。
でも家に(うちに)が、ウッチとは!
それに気づくのはさすが!
ノルウェーまだ~む
>
良い作品に誘ってくれてありがとう~!!
そうそう、最初は気付かなかったのだけど、あえて邦題を(うち)とつけているのが不思議だなぁと思っていたところ、司会の人が「いえじゃなくてうちなんですよ。」と紹介したのでおや?と思ったの。
そしたら劇中でウッチに帰るって話していたからほほう!ってなったのでした(笑)
多くを語らないところ、そこがまた良かったよね♪