「フロリダプロジェクト 真夏の魔法」☆まばゆいパステルの影にあるもの

とても評判が良かったのに見逃していて、前からずっと見たいと思っていた映画。
ほとんどが無名の役者ばかりなのに、自然体で実に見事!
特に子役の圧巻の演技は、それを引き出した監督の手腕にも大きな拍手を送りたい。

「フロリダプロジェクト 真夏の魔法」
フロリダポスター.jpg
フロリダのディズニーワールドの近くの安モーテル「マジックキャッスル」に住んでいるヘイリーと6歳の娘のムーニーは、詐欺まがいのその日暮らしをしていた。
同じ貧困層の悪ガキ仲間と悪戯ざんまいの日々を過ごしていたが、ある時近くの空き家で火事を出してしまう。
それまでつるんでいたスクーティのママから絶縁されたヘイリーは、いよいよお金に困りモーテルの自室で客を取るようになるのだが・・・

フロリダ親子.jpg
下着で踊る姿をインスタに挙げてスカウトされた新人女優のブリア・ビネイトは、全身に散りばめられたタトゥーも自前のもの。
正に等身大のヤンママをそのままの姿で演じている。
彼女を発掘したことがこの作品の成功の鍵の1つとも言えるのではないかしら。

パステルカラーの家々と青い空・美しい夕陽に囲まれてまるで夢の国(=うその世界)に彼女の華やかなタトゥーとカラフルな髪の色がマッチして、ふわふわと漂って現実と向き合わず夢の世界に生きている母娘の姿と合致する。
フロリダ子供.jpg
天才子役のブルックリン・プリンスちゃんが他の子供たちと撮影と関係なく(?)普段通り遊んでいる姿を、ただひたすら追っているだけなのでは?と思わせるほど、ごく自然な子供たちの姿が撮影できている。
なのに必要な台詞はちゃんと言っているし、子役も凄いけどそれを引き出せる監督も本当に凄い!
特にラストのお友達に別れを告げる号泣シーンは史上最高の天才子役の冠をあげても良いのでは?
ちなみにスクーティ君は実際に長い事モーテル暮らしを経験していたというのも驚き。
フロリダ管理人.jpg
やんちゃな子供たちと、厄介なモーテルの住人たちを時に厳しく時に大きな愛を不愛想な顔の下に隠して接する管理人にウィリアム・デフォー。唯一?の大物俳優だけど、ほとんど新人の俳優陣を食ってしまう事なく、抑えた演技でこのパステルの世界を締めている。
のんきで陽気な若い母娘の振る舞いにうっかり忘れそうになるけれど、実際この映画の本質は非常に重く悲壮であるはずで、彼がそれをちゃんと思い出させてくれるのだ。

いくら安モーテルでもずっと宿泊していたら高くつくでしょうに・・・と思うけれど、家を借りる事もできない多くの貧困層が車やキャンピングカーに寝泊まりしているのが現実なのだそう。
更にコロナで打撃を受けた人たちが彼女たちの様な隠れホームレスになるのかと思うと、暗澹たる気持ちになる。
そんなときだからこそファンタジーの世界に駆け込むしかないのかな・・・

この記事へのコメント

  • ごみつ

    こんばんは。

    「フロリダ・プロジェクト」公開当時話題になってましたよね。あと、ちょうど「万引き家族」も公開になっていて比べられてたのもよく覚えてます。

    記事の写真を見てるだけでも、色彩の美しさに目をひかれますね。

    マジックキャッスルというモーテルの名前と、まだ~むさんの最後の一文は、夢の国ディズニーワールドと現実との格差をこの映画は象徴として使ってるのかな・・と想像しました。

    いずれ必ず観てみたいです!
    2020年09月01日 21:55
  • セレンディピティ

    まだ~むさん、こんばんは。
    ディズニーもどきの安っぽいパステルの世界が
    ファンタジーになりきれない、現実の世界をまざまざと見せている
    と感じました。
    無邪気に遊んでいるように見える子どもたちも
    きっと心のどこかで、ここでの楽しい毎日がかりそめだということに
    気づいていたのではないかしら。
    ウィリアム・デフォー演じる管理人はこの映画の唯一の良心でした。
    彼の抑えた演技がこの映画を引き締めていましたね。
    2020年09月01日 23:38
  • ノルウェーまだ~む

    >ごみつさん
    >
    きっとごみつさんお好きだと思いますよ~☆
    リゾート地のど真ん中に住んで可愛らしい建物に囲まれてるのに、貧困層から抜け出せない人々を対比させることで、より象徴的に描いているんですよね。
    同時にどこか夢の世界でふわふわとしたまま、現実を見据えていない現代の若者も象徴しているような気がしました。
    「万引き家族」はテーマは似ているけど、ぐっとウェットだなぁと感じました。
    2020年09月02日 00:16
  • ノルウェーまだ~む

    >セレンディピティさん
    >
    まさに仰る通りですね~
    まがい物の幸せの国の日陰の部分で生きていく彼らを、モーテルの階段下の暗い所で遊ぶ子供たちで表している様に思いました。
    子供は敏感ですものね。ムーニーちゃんの号泣がそれを端的に表していて、監督凄い!って叫びそうでした☆
    2020年09月02日 00:20
  • zooey

    これはよかったですね。
    マナーも常識もあったものじゃない元ストリッパーのヘイリー、
    下品な上に性格が悪く、あの管理人ボビーにいさめられた時に逆切れして取った行動は、同性として口にするのも憚られますが…
    それでもムーニーのことは愛しているんですよね。
    「マジック・キャッスル」というモーテルの名前がなんとも皮肉でした。
    2020年09月04日 22:17
  • ノルウェーまだ~む

    >zooeyさん
    >
    若気の至りをちょっと通り越したところがありますよね。
    母親と言う感覚はなく、まるで友達の様に一緒に下品ワードを連発してはしゃいでいる様子は、目に余るところもありましたが、最近の子供を車に乗せたままはしご酒をしたり、口に砂を突っ込むような鬼畜親に比べたら、ずっと娘を愛している点で良いお母さんだと思ってしまいました。
    2020年09月05日 12:07
  • にゃむばなな

    子供の笑い声に勝る魔法などありませんよ。
    でもその笑い声が増えるのも減るのも、その子供の周りにいる大人次第。
    管理人のボビーのような「厳しい愛」も与えることの出来る大人でないと、子供の笑い声は守れないのでしょうね。
    2020年09月10日 23:43
  • ノルウェーまだ~む

    >にゃむばななさん
    >
    本当にそうですね。
    この場合、ボビーから見たらヘイリーもまだまだ子供。
    しっかり叱って、彼女のこれからの行く道を見守っていって欲しいですね。
    2020年09月11日 16:10
  • latifa

    ノルウェーまだ~むさん、こんにちは!
    感想書いた後、こちらに来て検索していたの。でもヒットしなくて・・・。
    その理由は「フロリダ・」の点が、あるか無いかだったみたい! こういうの有るのよね。
    でもお声かけて下さって嬉しかったです♪ありがとうございます。

    カラフルな壁のお家が並ぶ地区カワイイですね。
    子役の子も、おかあさん役の人も(役者さんが演じてたわけじゃないのね、こちらで知りました)ピッタリでした。

    あの少女、今はどうなってるのかな?って先ほど検索してみたら、芸能活動はしていて22年の映画にも出てるみたいなんだけど、今の画像が見つけられなかった。
    2023年10月14日 13:00
  • ノルウェーまだ~む

    >latifaさん
    >
    何度も探して下さってありがとうございます〜
    私自身、自分のブログ内検索が上手く出来ない時多くて…困りますよねぇ。
    主役の彼女、昨年も映画出てるんですねー?雰囲気のある女の子だったから、ハリウッドの世界に潰されることなく活躍していって欲しいですよね☆
    2023年10月14日 14:21

この記事へのトラックバック

人気記事