狂言誘拐をめぐって事態がどんどん悪い方へ転がって行ってしまうサスペンスブラックコメディ「ファーゴ」
コーエン兄弟の映画版に着想を得て作られたドラマのシーズン1は、2006年を舞台にかなり映画に近くブラックな笑い満載だったのが、シーズン2ではその27年前を舞台にテンポはややゆっくり目、色味も変えて70年代っぽい音楽と時代を風刺した内容でぐっと違う雰囲気になっている。
勿論、今回も製作総指揮にコーエン兄弟が名を連ねている。
「ファーゴ」シーズン2
1979年(映画「ファーゴ」の8年前の設定)勤めている肉屋を買い取ってオーナーになり、子供も儲けて幸せに暮らしたいエドは、自己啓発セミナーにご執心の美容師の妻ペギー(キルスティン・ダンスト)がうっかり轢き殺してしまった、ファーゴを取り仕切るギャング ゲアハルト一家の三男ライの死体の処理に困っていた。
なんとか店の挽肉器で処理したものの、直前にライがレストランで起こした皆殺し事件の関連で捜査線上にあがっていた。
一方ライの行方を追っていた一家は、その頃買収話を持ち掛けてきたカンザスシティの巨大ギャングの仕業と思い込み・・・
物語をかき回す中心人物はなんとあのキルスティン・ダンスト。女性の社会進出と当時流行り始めた「自己啓発セミナー」が物語の軸となり、地下室一杯に積み上げられたファッション誌が何より大切で、夫の夢を『自分の我が儘』でどんどん潰していっているのに人の話に耳を傾けようともしない愚かな妻をとぼけた感じに演じている☆
夫役の人は太ったマット・デイモンみたいだけど別人のジェシー・プレモンスという俳優で、困った妻に振り回されるけど怒りもせず途方に暮れる感じが秀逸。
コーエン作品には珍しいイケメンは、実はシーズン1で唯一まともだった警官モリーを陰で支えていた父親のルー(パトリック・ウィルソン)
シーズン1では足を撃たれて警察を引退しカフェをしていた設定なので、今回ギャングの抗争に巻き込まれて撃たれるものだと思ってずっと見ていたら、最後まで撃たれなくて、最終回で「撃たれんのかーいっ!」と思わず口を突いて出てしまった…
シーズン2でモリーは6歳の女の子。
無敵の黒人ヒットマン マイク・ミリガンと双子の手下はゲアハルト一家を潰して自分がファーゴのギャングを束ねようとするも、時代の流れに押し流されて都会のギャングの経理係になっちゃうラストがシュール。
今回はやたら登場人物が多くてやたら混乱してくるシーズン1に対して、都会のギャングと田舎のギャングの権力争いなので話としては単純だし、ラストも少し悠長なかんじがする。その分シーズン1との繋がりを見つけ出すのも面白い☆
結局家族間の揉め事で崩壊していくゲアハルト一家に仕えるインディアンのハンジーは端役かと思ったら途中からどんどん重要な人物となっていく。
エドとペギーを最後まで追い詰め指名手配犯となるも、逃げおおせた終盤では、のどかな公園で子供がキャッチボールをしているのを眺めている何気ないシーンがあるのだけど、なんと!この少年たちを育て上げて後のシーズン1の殺し屋として送り込む人物が、このハンジーだったのだとさり気なく匂わせているのだ。
シーズンを通して必ず最初に「これは実話である 実際の事件は1979年にミネソタ州で起こった 生存者の希望で人名は変えてある 死者への敬意を込めその他は忠実に描いた」とご丁寧に毎回テロップが出るけれど、これもコーエン兄弟の遊び心というブラックさがまたニクイ。
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この記事へのコメント
セレンディピティ
ファーゴシリーズ、次々とご覧になられていますね!
キルスティン・ダンストは好きな女優さんです。
70年代のクラシックな雰囲気も似合いそうですし
ファッションも楽しめそうですね。
オリジナルのファーゴへのオマージュが
随所に感じられるのも心憎いです。
ノルウェーまだ~む
>
直ぐ脱ぎたがる彼女が、「何処にでも良そうな普通の女性」を見事に演じていて素晴らしかったですよ~
最初は毎日2エピソードずつ見ていたのが、どんどん加速度が増して、シーズン3は二日で見ちゃいました(爆
今調べてみたら、キルスティン・ダンストとジェシー・プレモンスの間に2018年第1子が生まれたみたいですよ☆