Netflixオリジナル映画「ROMA」アカデミー賞外国語映画賞他☆ネトフリだけじゃ勿体ない!

息子のお陰でネトフリを見られるようになって、ますますステイホーム配信映画三昧な私。
劇場公開の際に見逃して以来、ずっと見られずじまいでいたのだった。
しかーし!普通の劇場映画なら他の配信でも見られるチャンスはあるのに、これは生涯ネトフリでしか見られないなんて、勿体なさ過ぎる!!

全編モノクロで物悲しい話なのかと覚悟をしていたら、ぽっと温かみと色までも感じるラストに生命の力強さとささやかな希望を貰えるそんな素晴らしい映画だったのだ。
「ROMA」(2018年)メキシコ・アメリカ
2019年アカデミー賞外国語映画賞・監督賞・撮影賞受賞
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メキシコの中産階級の医者の家で住み込み家政婦をしているクレオ(ヤリッツア・アパレシオ)は、厳しい奥様のソフィアと、やんちゃな4人の子供たちの面倒をみていた。
家政婦仲間とWデートをして知り合ったフェルミンと恋に落ちるが、妊娠を告げると彼は姿を消す。
長期出張へ出て帰らない夫のアントニオを心配するソフィアからたまに八つ当たりされるも、妊娠を相談すると優しく気遣ってくれ、間もなく生まれてくる子供のためにベビーベッドを購入しに連れて行ってくれたが、そこで偶然フェルミンに再会し・・・

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1970年代、
とにかくOPの中庭を掃除するシーンから秀逸。何度も水を流しているうちにできた水溜りに、上空を飛ぶ飛行機が映るところからもう画面にくぎ付けになる。
一つ一つのシーンに無駄がなく、冒頭じっくりと家の中を舐めるように映し出すのには訳があって、これがラストと対になっている。
洗濯物を干すシーンでもゆっくりとターンして屋上の景色を見せることで、どの家でも同じ様に先住民族(?)の女性が家政婦として働いていることを一瞬で見せるなど素晴らしいとしか言いようがない。
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ただならぬ雰囲気で長期出張の夫を送り出すソフィア。やっぱり妻は薄々気が付くんだね・・・
不必要にデカい車を神経質に駐車するアントニオに対し、いつも運転手任せだったので自分で運転すると車を擦りまくるソフィアが印象的。
ある程度自立しているようで、夫に頼り切っていたソフィアが少しずつ自分の足で大地を踏みしめていく過程が染みてくる。
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医者とは言え中産階級の家庭で家政婦を二人も雇っているなんて、相当安い賃金で働かされているのだろうと思うけれど、クレオは子供たちからとても愛されていて、彼女自身この仕事に誇りを持っているのが見ていて判る☆
この子供たちの温かさが全編を通して、その後起きてくる困難(悲劇)から彼女たちのみならず我々も救ってくれるのだ。
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登場する男はおしなべて皆、愚か。
日本の武道を習ってビシッと型を決めるフェルミン他スラム街に住む男たち。
特別講師の先生が教える「精神の鍛錬」のヨガのポーズを誰一人出来ないのに、見学しているクレオだけがぴたりとそのポーズをしているところにも、男どもの幼稚な精神性と母なる大地を思わせる女性の偉大さを見事に対比させている。
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エンドロールは生命の尊さを実感し、残された女性たちで子供たちと生き抜いていこうという母の強さと、困難を乗り越えて一歩前進したクレオの心を象徴するような広い青空が静かに映し出される。

同じ中庭から見える空なのに、冒頭の四角く切り取られた小さな空に象徴される窮屈な世界から、まるで精神的に解き放たれたように、どこまでも青い空が広がっているのが何とも清々しいのだった。

この記事へのコメント

  • セレンディピティ

    まだ~むさん、おはようございます。
    この作品、私も劇場公開の時に見に行きました。
    静かながら心に染み入る、そして芸術性の高い作品でしたね。
    モノクロームだからこそ、想像をかきたて
    多くのことが伝わってくる作品でした。

    クレオが愛おしくて。。。
    そしてソフィアとクレオが階級を超えて
    心を通い合わせるシーンには心をしめつけられました。
    おっしゃる通り、出てくる男たちはことごとく愚かで
    監督の育ててくれた女性たちへの、感謝の思いが伝わってきました。
    2021年05月27日 08:42
  • にゃむばなな

    男性目線としては、アルフォンソ・キュアロン監督のクレオに対する様々な感情、憧れだったり、愛だったり、優しさだったりが溢れている作品だと思いました。
    一人の女性の中で目覚めた母性。一人の女性が家政婦ではなく、もう一人の母親になったラスト。
    何とも優しく幸せな気持ちにさせてくれる作品でした。
    2021年05月27日 23:08
  • ノルウェーまだ~む

    >セレンディピティさん
    >
    劇場でご覧になられたのですね~?私も大きな画面で観たかったです・・・
    とはいえ、配信ならではで、冒頭の家の中の様子とラストの家の中の様子をじっくり比べてみたりすることが出来ました。
    そうすると、どんな家具を持って行ったか?がリアルに分かって、より一層ここの家長たるべき男の小ささが伝わってきて面白かったです。
    監督が子供の頃を思い出して作った作品というだけに、家政婦との温かい交流が愛に満ちていましたよね♬
    2021年05月28日 14:02
  • ノルウェーまだ~む

    >にゃむばななさん
    >
    監督が子供の頃に体験した、母ではないけど母のような存在を、とても大切にとても愛おしく感じているのが伝わってくる作品でしたよね。
    だからこそ、酷い男たちが登場してもラストは温かくわずかではあっても希望が見えて、優しい気持ちになったのだと思います。
    2021年05月28日 14:09
  • Nakaji

    こんにちは!!
    最近、動画配信のみとかおおいですよね。私もネトフリはいってからなおさら家にこもってました(笑)
    2021年06月04日 23:02
  • ノルウェーまだ~む

    >Nakajiさん
    >
    次々見たいものが出てきちゃいますよね~
    ドラマは見始めたら大変!
    でも最近息子に勧められたアマプラ専用ドラマも面白そうで、ますますステイホーム楽しんでます☆
    2021年06月05日 00:29
  • まだ〜むさん、お久しぶりです。

    古いですが、「バグダッドカフェ」における、女性の美しさを理解、言葉にする才能に対して、恋愛対象にはならない品性も態度も大ガラな若い男性達の病者から、恋愛をするから一所に留まり、家族を持つ事が出来るとか、イケメンな見かけだけで無い、愛を分かち合うから、異性が異性を活かし合う大事さが観える気がしました。
    2021年06月12日 12:59
  • ノルウェーまだ~む

    >隆さん
    >
    お久しぶりです。
    異性とだけでなく本当に大事な関係は、同性とも築くことが出来るんですね。というより、同性とのほうが人間の本質的な部分で大切な事に目が行きやすい気もします。
    人間としての尊厳が重要な気がしました。
    2021年06月12日 22:13

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