イっちゃってる園子温監督とイっちゃっている俳優ニコラス・ケイジがタッグを組んだら、もうヤバい匂いしかしないよね?
正直、園子温監督の振り幅が大きいのは解っていた。
彼の作品は全部見たわけではないけれど、「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」「ヒミズ」「恋の罪」「地獄でなぜ悪い」はどれも傑作だし、彼の唯一無二の作風は強烈に印象深く忘れられない。
しかし「ラブ&ピース」や「リアル鬼ごっこ」あたりから超失速し、以来私も作品から遠ざかっていたのだった。
「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」Prisoners of the Ghostland公式サイト
銀行強盗で捕まったヒーロー(ニコラス・ケイジ)は、サムライタウンを牛耳るガバナー(ビル・モーズリー)に爆弾スーツを着せられ、遊郭から逃げ出したバーニー(ソフィア・ブテラ)を連れ戻すよう命じられる。
常に時間を止めて、そこから出ることが許されないゴーストランドへ辿り着いたヒーローは、人形に閉じ込められたバーニーを見つけるのだが・・・
ニコラス・ケイジもとかく振り幅が凄い事では有名。オスカー俳優でありながら多額の借金の返済のため作品を選ばず出演するので、駄作映画・・・いやイっちゃってる映画に出演しがちな印象も強い。
今回唯一カッコいい用心棒ヤスジロウ役のTAKの、その場で刀がかち合う音を拾っている?殺陣のシーンは実に見事。彼がアクション監督をしているだけあって、本格的な忍者たちのアクションも素晴らしい。
とにかくなんちゃって日本が凄いのである。日本人監督が描くのに?(⇧この場合、花魁なのに舞妓はん)
冒頭の保安官詰め所のお尋ね者のポスターにルパン三世を見つけたときは、意外と面白い映画なんじゃないかと思っていた。
サムライタウンもあえてのなんちゃって日本っぽいってだけでなく、ニコラス・ケイジが無様に金〇マを吹っ飛ばされて失神した時に見た夢では、黄色い横断幕に「納税みんなでつくろう明るい未来」と書かれていたり増税反対!のプラカードがあちこち置かれていたり・・・とエスプリの効いた小物に期待が高まっていたのも事実。
イっちゃってる邦画といえばクドカンの「真夜中の弥次さん喜多さん」を思い出すけれど、なんちゃって日本を超えて摩訶不思議な世界観に挑んだのがハリウッドで吉と出たのか凶と出たのか?
少なくとも日本での評判は散々なようで・・・
何しろ映像は斬新にみせているけど、ストーリーは使い古された定番の展開が下敷きとなっているのだから。
幽霊が行く手を阻む廃墟の町ゴーストランドで栗原類が自由を得たはずのバーニーに人形のパーツを貼り付けるのだけど、そこに何か意味があるのか?
時を止めてまで必死に食い止めていた爆発で起きたキノコ雲は、実は物凄く不謹慎な演出であるのに、あえて使ったことに深い意味があるのか?
過去の戦争被害や原発事故などの亡霊にとらわれ過ぎて身動きが取れない一般市民をメタファーとして描いているのならまだ格好がつくけれど、ニコラス・ケイジをママチャリに乗せたのがただのおふざけなら、ハリウッドで巨額の製作費を貰って派手に爆発させて喜んでいるだけの「ガキ使」映画になってしまっていると言わざるを得ないのだ。
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この記事へのコメント
ここなつ
あーん、坂口拓のこと褒めてくださってありがとうございます!(笑)
まあ私にとっては、ニコラスケイジと彼とのタイマンチャンバラが見どころの作品でした。
…内容は…言及を避けます!(笑)
ノルウェーまだ~む
>
タイマンチャンバラ凄かったですね~
絶対ヤスジロウの方が強いのに・・・な結果でしたが、物語的にはそうならないとで(笑
これからジワジワと何か発見があるのやもしれませんょ☆
ふじき78
ノルウェーまだ~む
>
確かに~発見は難しい気もしますが、そこを乗り越えると案外イケルのかも?
ただ、私は日本人女優の演技が下手過ぎて、2度目を見る気にはなれなかったです。