今回はジャンルにとらわれず色々なタイプの映画をご紹介。
「しとやかな獣」(1962年)川島雄三監督
しとやかな獣 - 若尾文子, 伊藤雄之助, 山岡久乃, 川畑愛光, 浜田ゆう子, 高松英郎, 小沢昭一, 船越英二, 山茶花究, ミヤコ蝶々, 川島雄三, 新藤兼人
団地に住む前田一家は、芸能プロダクションの金を使い込む息子から金を引っ張り出して優雅に暮らしていた。娘が愛人となっている小説家の先生からも多額の借金をして平気な顔をしているが、遂に愛想をつかされて娘が出戻ってきた。
息子は使い込みに加担していた経理の美しい未亡人(若尾文子)から別れを切り出され、彼女に注ぎ込んだお金を返せと迫るが、彼女は身体で返したと言ってすました顔。そのお金で旅館を経営すると言って去っていくが・・・
娘が急に見たいと言ったのでアマプラでレンタル。
登場人物全員悪人!(あれ?どっかで聞いたことある・・・)
当時の最先端でもあったでしょう「団地」を舞台に、ワンシチュエーションで撮影していたり、突然前衛的なシーンが挟みこまれたりと、かなり尖った作品になっている。
上品な言葉づかいで真っ当な事を言っている様に思えて、実はやっていることは「使い込み」に詐欺まがいの「たかり」女は身体を張って男を騙して当然というトンデモ映画なのが実に奇妙で面白い。
あれ?どっかで最近見たことある・・・眞子様の・・・?無事ご結婚なさっておめでとうございます!
「惑星ソラリス」(1972年)ソ連 アンドレイ・タルコフスキー監督
惑星ソラリス [DVD] - ナタリア・ボンダルチュク, ドナータス・バニオニス, ユーリー・ヤルヴェト, アンドレイ・タルコフスキー, スタニスラフ・レム, フリードリヒ・ゴレンシュテイン, アンドレイ・タルコフスキー, ナタリア・ボンダルチュク美しい湖畔の家に住むクリスは、次々と乗組員が失踪する宇宙ステーションソラリスでの調査の銘を受ける。
かつてのクルーだった人物にその危険性を指摘されるが宇宙へ旅立つ。
理性を持つソラリスの海と雲に影響を受け、居るはずのない人物がうろつく船内でクリスは10年前に自殺したはずの妻と出会い・・・
寒い雨の日にぴったりとパパンが勧めてくれて秘蔵のDVDを一緒に鑑賞。
非常に哲学的。宇宙と何ら関係のない自然豊かな美しい映像に心奪われる。途中まで(いやほぼ最後まで)実は宇宙に行ったと思ったのはクリスの幻想で、精神的に追い込まれた彼が人生をやり直すための病院?が舞台なのだと思いながら見ていたけど、事実SF作品だった(笑
日本の首都高を近未来都市として延々と使っていたり(劇場公開ではほぼカットされていたらしい)、SFらしからぬセットでの会話劇も多いので見ているこちらも次第に翻弄されてくる。
原作者のレムがSF感を強調したかったのに、主人公の内面の葛藤に終始したタルコフスキーと大喧嘩になったという逸話も。
ジョージ・クルーニーでリメイク作品(ソダーバーグ監督)もある。
ソラリス (字幕版) - George Clooney, Jeremy Davies, Viola Davis, Natascha McElhone, Ulrich Tukur, Steven Soderbergh
見たような気もするけど記憶から消し去っているような?
「ロブスター」 公式サイト(2015年)
ロブスター(字幕版) - コリン・ファレル, レイチェル・ワイズ, レア・セドゥ, ベン・ウィショー, ジョン・C・ライリー, ジェシカ・バーデン, オリビア・コールマン, アシュレー・ジェンセン, ヨルゴス・ランティモス, エド・ギニー, リー・マギデイ, セシ・デンプシー, ヨルゴス・ランティモス, ヨルゴス・ランティモス, エフティミス・フィリップ
妻を失い独身者となったため罰として「ホテル」へ身柄を送致されたデヴィット(コリン・ファレル)は45日間でパートナーを見つけなければ動物にされてしまうと告げられる。足の悪い男(ベン・ウィショー)は親友と来ていた女性と無事パートナーを組み次のステップへ進むが、デヴィットは虚しく時を過ごしていた。
いよいよ期限が迫ったので森で狩りをして期限を延ばすことに精を出している冷酷な女性に声をかけ無事ダブルベットの部屋へ昇格する。しかし彼のおざなりな態度に女はデヴィットの連れていた「犬になった兄」を蹴り殺すと・・・
不条理映画でお馴染みのヨルゴス・ランディモス監督作品「籠の中の乙女」と「聖なる鹿殺し」や「女王陛下のお気に入り」を見てから、ずっと気になっていたこの作品がやっと配信になった。
不条理と言えば「籠の中~」と同じくらいとんでもない話になっていて、監督の斜め上を行く発想力にただただ関心するばかり。
独り身は罰で動物に変えられてしまうとか、ホテルから森へ逃げ出しても、そこで加わった「独り身を尊重するレジスタンス」では冷徹なリーダー(レア・セドゥ)によって恋愛した者におぞましい罰が与えられるなどの設定は特別「異常」にみえるけれど、俯瞰で見るとまさにこの世の中を象徴しているような気がしてくる。
結婚していないと非難され、独り者を楽しもうとしても生き辛い、そんな社会的不条理を描いたのだとしたら・・・?
その奇想天外さはオモシロイと言うよりかなり不快感が先立つので(映画として正しい見方)覚悟が必要だけれど、本物の愛は?と問いかけながら見るのも悪くない。
あのコリン・ファレルがでっぷりとお腹の出た情けなさそうな男を見事に演じているところは必見!!
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
ごみつ
面白い映画たくさん鑑賞されましたね。
私、最近、全然アマプラ見れてないんですよね~。面白そうな作品、たくさんアップされてますよね。
この中では「惑星ソラリス」は見ましたが、私、この映画大好き!なんですよ。ヴィルヌーブがタルコフスキーっぽいっていうの、感じられますよね。
「デューン」もホントにタルコフスキーっぽい!と思いながら見てました。
若尾文子は若い頃、きれいですよね~。この映画は未見ですが面白そうですね。
「ロブスター」も面白そう!これ何気に豪華キャストですね。「聖なる鹿~」が未見なのでそっちを見たらこれもチャレンジしたいです!!(^^)!
瞳
プライムの面白いの、参考になります~(*^-^*)
>寒い雨の日にぴったりとパパンが勧めてくれて
パパンさん、なんて素敵なの~♡
ソラリス、リメイク版しか観ていないのでタルコフスキー監督版、観てみたいです。主人公の内面っていうところも気になります。
「ロブスター」、なんじゃこれーー!っていう世界ですが、すごく印象に残ってます。
ヨルゴス監督作品は見逃せない~!!
独身者にはあくまで厳しい世界でしたね。
ラスト、どうなったの~!!と気になりました。エンドロールに移るまでの一瞬のブラックアウトが怖い!!
ノルウェーまだ~む
>
「惑星ソラリス」はごみつさん好きそうだなぁ~と思っていました!夫は昔から大ファンなんですよ。
今回のデユーンに通じるところがあって、より二日続けて3時間タルコフスキーちっくSF三昧となりました(笑
あとの二つも絶対ごみつさん気に入られると思います。
「ロブスター」は少々不愉快になりますが、最後に大きく俯瞰で見るとストンと落ちますょ。
情けない感じのコリン・ファレルも必見です!
ノルウェーまだ~む
>
なんと!「ロブスター」ご覧になっていらっしゃるのですね~ヨルゴス監督好きなんて!!
最近気が付いてきましたが、結構映画の好み私と似てるかも!?違っていたらごめんなさいっ
ブラックアウトと言う点からいうと、きっとえいやっ!としたのでしょうね。
二人共になると生きていくのは大変でしょうけど…
ここなつ
「ロブスター」…私、ヨルゴス・ランティモス監督の作品の中でもこれがすっごく好きなんです。
不条理に次ぐ不条理…後味悪すぎるけど、そこがまた堪らない。
鑑賞して何年も経つのに、いまだにくっきりと印章に残っています。
そういえばこの作品のラストは「春琴抄」に似ていると言っていた方がいたような…
ノルウェーまだ~む
>
さすが、ここなつさん!ヨルゴス作品でこれを推されるとは!
なるほど~春琴抄ね~
そう言う意味では、かなり日本人テイストに繊細なラストと言うべきかもですね。
実際、設定が奇妙奇天烈ですけど非常にデリケートな作品なんですよね☆
それにしても春琴抄もそうですが、失明したらお世話も出来ないのに…と思っちゃいました(笑