てっきり西部劇を舞台にしたヒューマンドラマと思って観ていて、いったいどう着地するのかしら??と、そのゆったりした展開に多少不安を感じていたら、なんのなんのヒリヒリとした駆け引きが緊迫する極上のサスペンスだったYO!
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」 Netflix配信
イエール大卒で語学も堪能、容姿にも恵まれカリスマ性のある牧場主のフィル(ベネディクト・カンバーバッチ)は、可愛がっていた弟(ジェシー・プレモンス)が最近自分から離れていくのが不服だった。弟のジョージは宿屋を営む未亡人のローズ(キルスティン・ダンスト)と恋に落ち連れ子と共に農場へ連れて来る。二人の結婚が気に入らないフィルは冷たい仕打ちを繰り返し、ローズはアルコール依存症になってしまう。夏休みに牧場へ戻って来た連れ子のピーターは、そんなある秘密を知ってフィルに興味を持ち、フィルもピーターを可愛がるようになっていく・・・
とにかく大自然が美しい。アメリカにはまだこんな広大な自然だけの場所が残っているの?と驚くばかり。
荒くれ物の兄にカンパーバッチがなんとなくそぐわないような気がしていたけれど、何か国語も話せてエリートだったということが明かされてから、街でも有力者の息子で大牧場主と言う設定なら確かに納得。でもイメージとしてはクリスチャン・ベールのほうが合っているような?
風呂にも入らない男くさいカーボーイスタイルを貫き通す兄に対して、いつも小綺麗な弟にジェシー・プレモンス。TVシリーズ「ファーゴ2」でも夫婦役で、実際の夫婦でもあるキルスティン・ダンストと、ここでも夫婦の役で登場。
二人はニコイチで売り出すことにしたのかな?
ローズの連れ子ピーターは繊細で、美しいものが好きな美青年。
ピーター役のコディ・スミット=マクフィは実は「ぼくのエリ 200歳の少女」のアメリカ版「モールス」の主役だった男の子!!こんなに成長したのね~
しかもか細くデリケートなイメージはそのまま。時にナイフのように鋭くどこか冷たい印象は「少年は残酷な弓を射る」のエズラ・ミラーみたい♬
唐突に訪れる驚きのラストで、「パワー・オブ・ザ・ドッグ」の意味が解ってくる。これ、邦題にしたら結末が判っちゃうからそのままにしたの正解ね☆
車で連れていかれる前にせっかく仕上げた皮のロープを投げ捨てるフィルを遠景で撮影したところが秀逸。必見の映画!
最近、劇場公開の映画より配信のもののほうがずっと面白い気がするのは気のせいかな?
パワー・オブ・ザ・ドッグ (角川文庫) - トーマス・サヴェージ, 波多野 理彩子
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この記事へのコメント
セレンディピティ
極上のサスペンスと呼ぶのにふさわしい作品でしたね。
主要4人の演技がそれぞれにすばらしかったです。
あちらこちらに伏線が散りばめられていましたし
結末を知った上で、もう一度見てみたくなりました。
ノルウェーまだ~む
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なんとこちらの映画、アメリカの批評家が選ぶ「今年の映画」の第1位に選ばれてましたね!
良い作品をご紹介くださって、本当にありがとうございます。セレンさんのおかげでよい映画治めになりましたよ♬
夫と見終わった後、あれこれと話して余韻を楽しみました。
瞳
うわ~~!!まだ~むさんもご覧になったのね。
これめちゃめちゃ気になってます。
来年こそはネトフリ入ろうかな!(^^)!
他にもネトフリの面白そうなのをいろいろ紹介されてて、あぁ~、やっぱりこれは入るしかない(笑)
今年お邪魔させていただいていろいろお話しできて、とても楽しかったです。
来年もどうぞよろしくお願いします。
ノルウェーまだ~む
>
ネトフリ良いですよ~最近、私的には劇場されている映画より、ネトフリオリジナルの作品のほうが良い映画に出会える気がしてます。
こちらこそ今年色々とやり取り出来てとっても楽しかったです♬是非来年もよろしくお願いいたします!!
ノラネコ
コロナ前だと「ROMA」がそうでしたが、コロナの今だと余計アート作品の興行が成り立たなくなってるんだと思います。
残念ですが、この流れは加速してゆくでしょうね。
ノルウェーまだ~む
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確かにそうですよね。
ただ、忙しくて劇場に足を運べないことも増えているので、私としては有難い傾向です。
大衆向けの凄いアクションなどは劇場の大きなスクリーンで観た方が楽しいし、胸に響くヒューマンドラマはじっくり家で観たい気もしますし。
にゃむばなな
別にこの映画の登場人物に我々の声が届くはずなんてないのだから、黙っておかなければなんて思う必要なんてないんですけど、何かそう思っちゃう。
この演出が個人的にはちょっと好きですわ。
ノルウェーまだ~む
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確かに!
この私たち(観客)だけが知りえた真実を、そっと箱に閉まって森の奥に隠さなくてはと思わせるラストでしたね☆
今年のアカデミー賞はかなりこの作品が有力な気がますますしてきました~
SGA屋伍一
ダンストさんとプレモンスさんがご夫婦とはアカデミー授賞式まで知りませんでした。映画のように引き続き仲良く活躍していってほしいですね
カンバーバッチさんはこの映画も熱演でしたが、去年の同じころ公開されてた『クーリエ』の方が好きかなー
ノルウェーまだ~む
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ここのところカンパーバッチは正義感の強い「善人」の役が多くなってきてましたよね。もとは結構悪の強い人を演じていたという印象があったのですが、今ではすっかり良い人というイメージです。
クーリエは見てないから判らないけど・・・
ダンスト&プレモンスは仲良し夫婦の役が多いというのが面白いです。