「声もなく」☆敬虔な犯罪者

珍しく新聞評を読んで「この映画観たい☆」とパパンが言うので一緒に行くことに。韓国映画を一緒に観るのは初めてかも。
これがとっても面白くて!!

哀しみと可笑しみが自然体で同居する、愛と切なさに満ちたヒューマンブラックコメディ。韓国映画のわりにグロいシーンがないのもGOOD☆
「声もなく」 公式サイト
韓国の映画賞を総なめ。ホン・ウィジョン初監督作品にしてこのクオリティー。女性監督ならではの「愛」が確かにそこにある気がする。
普通にイケメン俳優なのに坊主頭で挑んだユ・アインの演技も素晴らしい!
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口がきけないティン(ユ・アイン)は子供の頃から面倒見てくれるチャンボクと鶏卵販売のあと、貧しさ故犯罪組織の下請け仕事をして生計を立てていた。
午後死体を埋め終わると、自転車に乗り換えて暗くなるころ帰りつく家には、ティンの妹がお腹を空かせて待っていた。
ある日誘拐した子供を預かる事になったのだが・・・

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ティンが子供の頃に着ていたカッパを着るチャンボク。
彼らは父息子のように見えるが実は赤の他人で、子供の頃からずっと彼を世話してきた二人の関係性がさり気なくこの一瞬で表現される。
これから力を合わせて(?)裏家業の人たちが拷問を行った後の後始末をするのだ。ここでてっきり細かくするのが仕事なのかと思ったら、丁寧に包むだけで森に『北枕で』埋めてあげる。勿論お祈りはかかさない。
ティンに教会の説法のテープを買ってあげて、毎日聞くように諭すなど、貧しくても敬虔なクリスチャンであることも見えてくる。
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仕方なく誘拐された子供を預かるティン。
親が身代金支払いを渋ることで、預かる期間が長引いていき、次第に打ち解けて仲良くなっていくのはある程度予想の範囲内。

監督のインタビューによるとティンは口が利けないというより、『利かない』のだそう。
子供の頃からチャンボクが面倒見たということから、ティン兄妹が親に捨てられた?か何かで、PTSDになっていると想像できる。
親に捨てられた青年、家庭で冷遇され身代金も払って貰えない少女、そして心温まる疑似家族。そこに哀しみがあり可笑しみがある。
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ここまで観ると当然ながら主人公のティンに肩入れしてしまうのだけど、そうして観ているとラストでガツンとやられてしまう。
そうだ、これは韓国映画だった!
私利私欲が無いのに犯罪の片棒を担ぐことになってしまう、真面目で優しく信心深い犯罪者。そこここに笑いがあり、そして哀愁が漂う。

結局、神様は全部見ているってことなのかな☆

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