久しぶりの試写会はフランスの映画「エール!」のリメイク作品。
ダムがいきなり決壊するように泣けたオリジナルの作品を既に見ていて、結末を知っているせいかそこまで感動の嵐というほどではなかったかな・・・
ただオリジナルを観てない人なら必ず泣ける!
「コーダ あいのうた」 公式サイト(1月21日公開)
朝3時起きで聾唖の家族の漁を手伝うルビー(エミリア・ジョーンズ)は、学校では居眠り、恋に奥手な女の子。新学期に気になる男の子が入部した合唱部に入るも、人前で歌うことを恐れていた。
彼女の才能を見出した音楽教師は音大の受験を勧めるが、自分以外全員聾唖の家族の為に通訳をしなくてはならず、レッスンもままならない日々だった。
受験を諦めたルビーだったが、合唱部発表会で歌う姿を初めて見た父親は・・・
オリジナル作品ではフランスの農場経営の家族で、マルシェでチーズを売るようになる話。
こちらはアメリカの漁師の一家で漁協に安く買いたたかれていたのを、自分たちで直売するために通訳のルビーが必要だったという設定。
どちらも明るい本当に良い娘で、魚臭いと同級生からいじられても文句も言わず、家族のために早朝から夜まで働きづめ!こんないい子っている!?
デュエットのお相手マイルズは「シング・ストリート 未来への道」のフェルディア・ウォルシュ=ピーロ。
なんと7歳からソプラノ歌手として活動してきた彼が、『歌が上手い』けど親の期待に応えるために音大を受験して結局は落ちてしまう普通の青年を絶妙なさじ加減で演じている。だって、本来ならもっと上手く歌えるはずなのに~~
妙にセクシーなメキシコ出身の先生も、なかなかのキャラクター。
ルビーの家族を演じる役者は本当の聾唖の役者さんたちなのだそう。
よく考えると現代ならSNSを活用すれば、聾唖であっても上手くネット販売などで成功しそうだけれど、田舎だからなのか少し前の時代設定なのか、娘が通訳をしてくれるのが当たり前になっていて、どっぷり家族がそれに甘えている。
健常者であるがゆえに聾唖の家族を支えなければと幼い頃から刷り込まれてきたコーダ(⽿の聴こえない両親に育てられた⼦ども)の苦労がひしひしと伝わってくる。(筆談すればよいのに・・・)
そんなコーダという境遇であってもくよくよせず、夢を諦めてでも家族のもとで家業を手伝う道を選択することに何のためらいもないのは、この家族がたとえ「手話」であっても何でも言い合える良い関係を築いてきたからに違いない。
ルビーが外の世界に一歩踏み出す勇気を得ると同時に、ルビーを介してでなければ健常者と関わってこなかった両親が、自らの力で殻を破っていくラストは『人は何歳からでも変わることが出来るのだ』と教えてくれる。
唯一フランス版よりも少々下品な所があるのがオリジナル版よりもマイナス部分だったかな・・・
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この記事へのコメント
きさ
まだ1月ですが今年一番愛すべき映画だと思いました。
『エール!』のリメイクですが、元を見ていないのでこれは見たいと思います。
お話もとてもいいのですが、とにかく主演のエミリア・ジョーンズが素晴らしい。
歌がとてもうまいですし、繊細な演技に魅了されました。
彼女が最後に歌う「青春の光と影」には涙を禁じえませんでした。
聾啞者の家族を演じる俳優が聾唖というのもスゴイ。
ノルウェーまだ~む
>
聾唖の役者さんたちが等身大の家族を演じているのが、とっても良かったですよね。
ある意味作り物ではない真実味があったと思います。
今年一番の愛すべき映画!確かにそうですね~
Nakaji
原作のほうが好きだったけど、こっちのも好きだったな~
>ルビーの家族を演じる役者は本当の聾唖の役者さんたちなのだそう。
なるほど~だからすごくリアルだったね~
ノルウェーまだ~む
>
私もオリジナルのほうがドバーっと泣きました。
実際に聾唖の方だからこそのリアリティがあったよね。
ノラネコ
「見えない目撃者」と同じで、オリジナルでダメだな〜と思った部分がことごとく潰されているのが快感でw
主人公はどっちの作品でも素晴らしかったのですけどね。
最後の歌には泣けました。
ノルウェーまだ~む
>
確かにオリジナルは余分なところが多かった記憶があります。その分、ラストの意外な展開に感動したのかも~
ノラネコさんはこちらの方がお気に召したのですね☆
私はちょっと性にあけすけすぎてドン引きました。
ここなつ
私は元の「エール!」を観ていないので、特に比べることもなく、すっと作品の世界に入っていけました。
>ルビーが外の世界に一歩踏み出す勇気を得ると同時に、ルビーを介してでなければ健常者と関わってこなかった両親が、自らの力で殻を破っていくラストは『人は何歳からでも変わることが出来るのだ』と教えてくれる。
これ、本当におっしゃる通りですよね…。
特にお兄ちゃん、カッコ良かったなぁ。
ノルウェーまだ~む
>
兄妹ならではのぶつかり合い、でも何でも言い合える仲なのがとっても良かったですよね。
案外妹に全て甘えっぱなしだったことに、家族全員が気付き始めて、おにいちゃんが一番自立しようと頑張ていましたよね☆
親友と恋仲になったのも嬉しかったです♬
にゃむばなな
何でもないセリフなんですけど、『ラスト・サムライ』の福元清三先生の唯一のセリフの時みたいで、ちょっと涙目になってしまいましたよ。
ノルウェーまだ~む
>
そうなんです。あのさり気なさがかえって涙を誘いますよね。
自然体で実に良かったと思います。
ふじき78
しかし、よく考えると父ちゃん、娘が船に乗るまではどうしてたのか?自分の船じゃなく雇われていたのか?じゃあ雇ってた人とはちゃんと意思の疎通が出来たのだよな。そいつはもういないのか?ずっと安全性を無視して聾唖者だけで漁してたのか?
みたいに真剣に考えると割と設定が崩れてくるような気がする。まあ、筆談しろよ、だよな。それで済むような事はいっぱいある。
ノルウェーまだ~む
>
ですよね~?
多分設定が少し前の時代なのかしら?今ならSNSひとつで産直で発送もできるし、フランス版にしてもアメリカ版にしても、娘に全部頼る前はどうしていたの?って確かに思います。
娘を便利に使えることで依存するようになった・・・共依存から抜け出して親元から巣立っていく物語という事なのでしょうね☆
SGA屋伍一
こちらのブログで「ほぼ予想通り」みたいなことを書きましたが、仲良く大学に行くものかと思ったら彼だけ落ちてしまったのはなかなかサプライズでございましたw ともあれアカデミー作品賞おめでとうでしたね
ノルウェーまだ~む
>
彼だけ受験に失敗するというあたり、ハッピーエンド過ぎなくてサジ加減も良かったですね☆
それにしても子供の頃から英才教育の彼が受験失敗して、ほんの1年前くらいに歌い出した子が合格と言うのも、芸術の世界ってホント才能ありきってことなのかな・・・
いずれにしてもこんなにいい娘なのだから、合格しなくちゃ…ね♬
瞳
コメントありがとうございました。
>なんと7歳からソプラノ歌手として活動してきた彼
そうなのね~!!知らなかったーーー。
加減して歌ってたのかな。彼の繊細さ、とっても良かったなーー。若い二人にキュンとしちゃったわ。
>ルビーを介してでなければ健常者と関わってこなかった両親が、自らの力で殻を破っていくラストは
そうでしたよね。
ルビーの旅立ちは、他の家族の自立でもありましたよね!そこがとっても良かったです。
ノルウェーまだ~む
>
オリジナル作品のほうも、健常者の娘に頼りっきりで自立しようとしてなかった家族が、少しずつ他者とも関わろうとしていってましたね。ルビーの旅立ちは家族の自立!!まさにその通りです!
そしてこれって今で言うヤングケアラーですよね~
こういう子供も実際多いのかも・・・
若い二人がとってもピュアでキュンキュンしちゃいました~♬
ボー
ものおぼえの悪いボーとはいえ、オリジナルの話はだいたい覚えていますよ。こんなエッチ話系はオリジナルにあったっけな?と思いましたけど(覚えてないじゃないか!)
まあ、いい話でしたー。(あっさり、まとめたな)
ノルウェーまだ~む
>
オリジナルの方でもご両親はオープンな感じでしたが、ここまでお品のないかんじでは無かったと思います。
それでちょっと私は印象が良くなかったかな・・・
結構リメイク版の方が好きな方も多いようですけど、詳細は忘れてしまっても感動の大きさはオリジナルの方がガツンと来たような気がしました~~