「ウエスト・サイド・ストーリー」☆今だからこそそのまんまリメイクが正しい

リメイクでもストーリーも曲も設定も年代も何もかも同じなのに、こんなにも胸躍る。変なアレンジが一切ないからこそ、あの曲もこの曲も見事に蘇って鳥肌が立つほど感動する。
60年も前の映画をほぼほぼ同じにリメイクする…というより再現することに実は意義があるのかも。何しろ60年経っても人間は何も変わってないのだ。

「ウエスト・サイド・ストーリー」 公式サイト
ウエストサイドテラス.jpg
1950年代。NYマンハッタンには多くの移民が集まっていたが、若者の縄張り争いが絶えずヨーロッパ移民の「ジェッツ」とプエルトリコ系の「シャークス」は一触即発状態だった。
刑務所から出て謹慎中のトニーはかつての仲間のリフにダンスパーティに誘われ、出掛けて行くとそこで出会ったマリアと一瞬にして恋に落ちる。しかし彼女は敵対するシャークスのリーダーベルナルドの妹だった。
決闘の晩、マリアに決闘を止めるよう懇願されたトニーは仲裁に入るがもみ合ううちに親友リフはベルナルドに刺され、怒ったトニーはベルナルドを刺してしまい・・・

ウエストサイドボクサー.jpg
ミュージカル苦手な私が唯一好きな映画と言えば「レミゼ」と「ウエスト・サイド・ストーリー(1961年)」
流石に生まれる前の映画なのでTVの再放送で何度も見ては、ジョージ・チャキリスのクールな歌とダンスに痺れてしばらく指パッチンの練習をしたものだった。
ウエストサイド街.jpg
スピルバーグの今作は50年代風に映像はセピア色でまとめ、ミュージカル舞台を意識したオリジナルの薄暗い倉庫っぽいシーンばかりでなく、プエルトリコを思わせるような青空の下の開放的な屋外のシーンと、スラム街を解体している巨大な街が画面いっぱいに広がって清々しい。
ウエストサイドダンパ.jpg
おなじみの曲がほぼ何のアレンジもなされずそのまま流れることがこんなにも嬉しいとは!やっぱり名作の名曲は何度聞いても素晴らしい☆
ウエスト・サイド物語 オリジナル・サウンドトラック(期間生産限定盤) - オリジナル・サウンドトラック
ウエスト・サイド物語 オリジナル・サウンドトラック(期間生産限定盤) - オリジナル・サウンドトラック
と感動していると、ふと「ウエスト・サイド・ストーリー」は「ロミオとジュリエット」が下敷きになっているのだと想い出す。
そもそもロミジュリの自分勝手な純愛に抵抗のある私。
民族を超えて禁断の恋をするのも良いでしょう。愛を貫くために家族を捨てるのも有りでしょう。恋人が死んだと思い込んで「自分を撃ってくれ!」と叫ぶのもロマンチックよね。
ただどうなの?自分の血を分けた兄を殺した相手と一緒に逃げて、それで幸せになると?兄の恋人にその恋人を殺した相手への伝言を頼むマリアって!?その無神経さを置いておいて、それでも愛を貫くのが美しいと描いている映画なんて!
ウエストサイド喧嘩.jpg
劇中でも薬局のおばあちゃまが言ったように「愛よりも大切なのは命なのよ。」
ラストのトニーの亡骸を双方のグループの皆で担いでいくシーンが胸を打つ。

ウエスト・サイド物語 [DVD] - ジョージ・チャキリス, ナタリー・ウッド, ジェローム・ロビンス, ロバート・ワイズ, ナタリー・ウッド
ウエスト・サイド物語 [DVD] - ジョージ・チャキリス, ナタリー・ウッド, ジェローム・ロビンス, ロバート・ワイズ, ナタリー・ウッド

この記事へのコメント

  • ノラネコ

    これたった二日間の話なんですよね。
    ミュージカルという歌い合えばなんでもあり、のフォーマットだからなんとかなりますが、現実にありえない展開の連続。
    まあそれがミュージカルの魅力でもあるんですけど。
    2022年03月02日 22:12
  • セレンディピティ

    まだ~むさん、こんばんは。
    本作、すごーくよかったですよね。初日に見に行ったのに、まだ感想が書けないでいます。忘れないうちに早く書かなくちゃ。
    楽曲もストーリーも旧作とほとんど変わらないのに、とても新鮮に感じられました。ひとつには音楽のすばらしさ、そして世界最高水準の歌やダンス、今の時代にも通じるメッセージ性もあるのでしょうね。俳優たちも魅力的でした。

    見た時はものすごく興奮していたのですが、冷静になってよくよく考えると、たしかに出会ってすぐに死ぬか生きるかの大恋愛に発展してしまうのは少々無理があるかも。でもそれゆえに、戦うこと、憎み合うことのむなしさ、無意味さがより強く伝わってきたようにも思います。
    2022年03月02日 22:55
  • ノルウェーまだ~む

    >ノラネコさん
    >
    二日間!と聞くと改めて短い!!って思います~
    一瞬で燃え上がった恋は一瞬で消え去るのがかえって美しいのでしょう。
    ミュージカルならではの展開でもありますね☆
    2022年03月03日 11:26
  • ノルウェーまだ~む

    >セレンディピティさん
    >
    さすがセレンさん熱く語ってますね!?
    ずっと楽しみになさっていたはずなのに、レビューがないなぁと思っていたのでした。
    実は私さんざん感動に打ち震えていたくせに、途中から急に冷静になっちゃって(笑)
    美男美女の能天気な純愛に多少アレルギーがあるので、私純愛だったら「シラノ」派なんですよww
    2022年03月03日 11:41
  • にゃむばなな

    わずか2~3日間で結婚まで意識する2人も凄いですけど、たった2~3日間で命が奪われるほどの悲劇が起こるという現実も恐ろしい。
    恐らくスティーブン・スピルバーグ御大が描きたかったことは、そこもあると思いました。この分断された現代アメリカを見ていると。
    2022年03月04日 00:20
  • ノルウェーまだ~む

    >にゃむばななさん
    >
    本当に恐ろしい事ですよね。
    ただ2~3日の間に事態が悪化して騒動に発展したのではなく、分断した人々はこのキッカケを待っていたんですよね。
    人々の命を奪う程の大きな騒動に、いとも簡単に発展してしまうという人間の愚かしさ。
    60年経っても人間は成長できないなんて情けないばかりです。
    2022年03月04日 11:13
  • ごみつ

    こんばんは。

    拙ブログにコメント、有難うございました。

    ところで、私、こちらにコメント入れた気になっていて、おじゃましてなかった事に今気が付きました。
    すっかり遅くなってしまいすみません。?

    やっぱり、ご覧になった方、皆さん、楽曲の素晴らしさに感動されてて、あらためて凄いミュージカル映画だったんだな〜と感動をあらたにしました。

    「マリア」とかはポピュラースタンダードにもなってて、ボーカルもので歌はよく聴いていたのですが、こうして作品のパートとして聴くと感動もひとしおで涙が溢れてしまいました。

    確かにラストあたりは、マリアの行動がちょっとどうなの?っていう感じはありましたよね。
    2022年03月07日 02:35
  • ノルウェーまだ~む

    >ごみつさん
    >
    いえいえ、私もごみつさんのレビューにコメント入れた気になってまだ書いてなかったのを昨日気付いたんです(笑
    ダンスと楽曲に完全に心を持っていかれて、若い二人の暴走のに目がいかなかったりしますけど、とんだ愚か者ですよね~
    とはいえ、ちょっとしたボタンの掛け違いで争いは起きていくもので、いかにも「舞台的」ではありますが、ラストの争っていた双方の若者たちが全員でトニーの亡骸を担ぐところは意味のある演出だと涙が溢れました。
    2022年03月07日 10:32
  • ふじき78

    トニーとマリアの愛も自分勝手全開で、その近くにいたチノがとっても不様でよかった。ダンスも踊れるし、彼に足りないのは「外見」。きっつー。
    2022年03月08日 23:51
  • ノルウェーまだ~む

    >ふじき78さん
    >
    チノは何だか気の毒でしたよね・・・
    真面目で誠実な青年なのに恋が叶わぬのが昔から物語の常だというなら、美男美女のカップルの話なんて!!って思っちゃいますよ。
    チノには「自信」も足りませんでしたけど。もっと自信もってほしい~~
    2022年03月11日 18:10
  • ボー

    わだすは、ウエストサイズ物語が心配です。
    2022年03月12日 17:59
  • ノルウェーまだ~む

    >ボーさん
    >
    >わだすは、ウエストサイズ物語が心配です。

    同感です!!
    2022年03月12日 18:10
  • ここなつ

    こんにちは。

    正にミュージカル映画の基本中の基本という感じでした。
    名曲は永遠ですしねぇ。
    主演のお二人よりもサイドの方たちが良かったかもです。
    2022年03月19日 13:09
  • ノルウェーまだ~む

    >ここなつさん
    >
    唯一大好きなミュージカル映画「レミゼ」でも、主役の二人より脇キャラのほうがぐっと共感できるし、良い役者の場合が多いですね。
    そういう意味でも王道どストレートなミュージカルでした☆
    2022年03月19日 18:34
  • latifa

    こんにちはー!
    配信ですが見ました。
    過去版はTVで子供の頃見ただけでした。

    私もミュージカルは、あまり好みのジャンルじゃないのですが、でもこれは面白く見れました。(61年版も)

    >ふと「ウエスト・サイド・ストーリー」は「ロミオとジュリエット」が下敷きになっているのだと想い出す。

    そうなんですよね! 61年版をすっかり忘れていたので、見ながら同じ事を思いました。
    内容は、結構とんでもないんですねー。
    ダンスや音楽は楽しかったです。
    2022年07月14日 10:10
  • ノルウェーまだ~む

    >latifaさん
    >
    ベースはばっちりロミオとジュリエットですものね。それ自体が古典的で古臭いんですけど、そういう意味では50年代を舞台にしたままなのは良かったですよね。
    その分結構とんでもない話でww
    昔からの「究極の愛」の代名詞ロミオとジュリエットが「愛と誠」となり(笑)そして今や禁断の恋といえばBLですものね。時代は移り変わっているので、古さをそのまま生かしたのが逆に良かったのかもしれません。
    2022年07月14日 22:57

この記事へのトラックバック

人気記事