「死刑にいたる病」☆死んだ魚の眼VS覚醒したギラ目

なるほど、日本のハンニバル・レクターという訳ね。
知らない間に人の心にするりと入り込み、操作し、そして精神を破壊させていく。
瞳に光のない阿部サダヲの死んだ魚の眼が、レクター博士のような底知れぬ恐ろしさに繋がっていく。

「死刑にいたる病」 公式サイト
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祖母の葬式で実家に戻った雅也(岡田健史)は、24人もの猟奇殺人で収監されている榛村大和(阿部サダヲ)から届いていた手紙を見つける。拘置所へ会いに行くと立件された9件のうち、最後の1件だけは冤罪であると言い雅也にその調査を依頼する。
裁判記録を調べ何度も会いに行くうちに、人柄の良い榛村の言葉に触れ次第に心を寄せ、真犯人と思われる人物にいきあたるのだが・・・
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連続猟奇殺人犯といえば、愛想が良く優しく、そして頭が良い・・・というのが定説。
ニコニコ優しいパン屋さんの表の顔と、実は恐ろしい殺人犯の顔を、さすが阿部サダヲだからこそピッタリといった感じに怪演している。
そんな殺人犯に翻弄される雅也を演じる岡田健史も負けじと見事な演技で、特に初(?)エッチの後の1分以上瞬き無しのギンギンに眼を見開いたまま覚醒したかのような姿は、連続殺人鬼なみの恐ろしさだった・・・
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あまり多くの劇場でやっていないせいか、大箱の劇場はなかなかの満席。
岡田健史クン目当ての若い女の子やら、カップルが多かったけどこんなにグロくて大丈夫だったのかな?

すっかり年齢を重ねた感のあるミポリンが何事も自分で決められない母親を演じている。
抑圧的な母親のせいでそのような性格になり、さらに引き取られた先でも他人に操作され続けてきた生い立ちが垣間見られる。
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「三度目の殺人」でもそうだったように、拘置所のガラスに映る相手の顔が、当初半分重なっていたものが、完璧に重なり、また次第に離れていき、ついにはガラスを超えて直に触れる心象風景で、殺人犯が心へするりと入っていく様を表現している☆

しかしどうもストンと腑に落ちない。
人を自在に操れることに対する喜びと、獲物をいたぶる事に快感にを覚える所業がどうしても繋がっていかないのだ。
時間をかけて手懐けた少年少女なら、拷問などせずに心理的に自宅に監禁する・・・といった方がずっとしっくりするような?
死刑金山.jpg
今まで見てきた連続殺人もののどんなグロイ映像も平気だった私も、今度ばかりは耐えがたく・・・というのも、「痛がらせる」映画は私の唯一NGな分野なのだ。

収監されてからも手紙で人の心を支配する榛村が用意周到に企てていたラストの衝撃展開で、充分この映画の怖さも魅力も伝わるはず。
勿論殺人鬼の心理など理解は不能なのだけど、『殺人の理由』が育ての親に感化された「他人を上手く操る事」なのだとしたら、残忍な拷問シーンなど無くても充分怖かったのではないだろうか?

この記事へのコメント

  • 風情☭

    こんにちは♪

    拷問シーンは観ているときはそれほど違和感を覚えなかったん
    ですが、時間が経つと、多くのレビューを目にすればするほど、
    確かに人心掌握とうまくつながってこないと思えてきました。
    その辺の乖離に気づけないってぇことは、少なからず 榛村 に
    同調してるってぇことなのでしょうか?

    ボクは 浅香唯 派だったんで、それほど 中山美穂 に思い入れは
    ねぇんですが、さすがに オバちゃんになったなぁと、軽いショ
    ックを受けました… (^_^;ゞ
    2022年05月20日 11:01
  • ノルウェーまだ~む

    >風情☭さん
    >
    ええーっ!??榛村に同調ですかぁ???ブルブル・・・
    まあ、いたぶって楽しい人の気持ちは100万年かけても理解出来ないですが、そもそも中学生の榛村が女の子を踏みつぶしたりしていたことを考えると、元々の嗜好がが「いたぶりたい」人で、逆に人心掌握術はあとから習得した手段の一つだったとも言えなくもないですね・・・
    2022年05月20日 11:32
  • ここなつ

    こんにちは。
    真のサイコパスって、いかにもな人ではなく、一件人当たりの良いフツーの人なのだなぁ、とこの作品を観て改めて感じました。

    「痛がらせる」映画、もう感覚的に辛いですよね。今回盛沢山でしたが…
    2022年05月20日 12:03
  • ノルウェーまだ~む

    >ここなつさん
    >
    実際、いかにもなコワモテの人には最初から警戒するのが人間の本能なので、案外事件に発展するようなサイコパスにコワモテっていないのかも?
    歴代の(?)連続殺人鬼で有名な人たちもイケメンだったり、優しそうだったりしますものね。
    怖いこわい・・・
    2022年05月20日 14:16
  • にゃむばなな

    この殺人犯、じっくりと被害者を弄ぶように見えたんですよね。
    しかもターゲットを選んでは、弄び方も変えている感じ。
    そういう犯人に共感するのが灯里というラストは個人的にはちょっと腑に落ちなかったですね。
    何となく灯里の存在感が薄く扱われているような気がしたので。
    2022年05月22日 00:21
  • ノルウェーまだ~む

    >にゃむばななさん
    >
    じっくりと何年もかけて弄ぶ犯人、怖かったですよね・・・
    灯里に関しては、元々が存在感の薄い女の子で雅也の母や他の人たちと同様に「自分で決められない」タイプに見えたので感化されやすかったのかな?って思って見てました。
    なのでそういう人ほどどっぶり榛村に影響を受けやすいのかと・・・
    2022年05月22日 09:06
  • ふじき78

    「母さん決められないから」なんてセリフが一番の防衛線だとは思わなかった。決められない中山美穂が子供を産んでいる決断が、今の父なら美談だが、阿部サダヲだとホラー度が増すと言う。
    2022年05月24日 08:13
  • ノルウェーまだ~む

    >ふじき78さん
    >
    決められない母と、優柔不断と言ってステーキも食べる元同僚が一番安全だったわけですね。
    子供は決断を迷っている間に、おろせなくなるから生むしかないんですよ・・・そこは阿部サダヲじゃなくても怖いんです。
    2022年05月24日 11:56

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