キラキラな青春は、今どきの胸キュン映画みたいに『絶対に普通しないでしょう?』な壁ドン的シーン皆無で、本気の「初恋」を描いているからこそより眩しく、より清涼感があって、より甘酸っぱく、そして疾走感に満ちている。
ちなみにリコリスって真っ黒で甘くもなくめっちゃマズイお菓子なんだけど、なんで題名がリコリスピザなのかな??
「リコリスピザ」 (7月1日公開)公式HP
何か賞を取ったポスターらしいけど、私は二人が走っていく写真の方が好きだなあ~
70年代のハリウッド近郊。15歳のゲイリー(クーパー・ホフマン)は学校の証明写真撮影のアシスタントをしていたアラナ(アラナ・ハイム)に一目ぼれ。猛アタックするが10歳も年上の彼女からは子ども扱いされてばかり。
しかし母親の事業を手伝って、自らもずば抜けたアイデアで起業するゲイリーと過ごす日々が楽しすぎて、アラナも彼から次第に目が離せなくなってくる。
お互い気になりながらも素直になれない二人。アラナは選挙事務所で働き出し、すれ違いの日々が続くのだが・・・
警察署から走り出す~15の昼!!眩しさと疾走感に溢れてもう爽やかそのもの!!あまり恋愛映画を観ない私だけれど、これは好き♬
70年代のセピアな色使いやファッションセンス、初恋ならではの初々しさとたどたどしさ、絶妙な光の遣い方によるキラッキラな眩しさと、どこか礼儀正しいお行儀の良さが非常に心地よい☆
主役のゲイリーを演じるクーパー・ホフマンは46歳で自死したオスカー俳優のフィリップ・シーモア・ホフマンの息子だそう。
正直物凄くイケメンというわけでもないし、ポッチャリしていて映画的にはハイスクールでいじめに遭ったりする役をやりそうなんだけど、15歳だというのに天性の才覚で次々と事業を興し成功させていく姿を見ると、次第にその姿に魅了されて、彼がまだ保護者無しでは旅行もさせて貰えない年齢だという事を忘れてしまうのだ。
そうかと思うとアラナに「オッパイ見せて」と頼んだり、子供劇団で悪ふざけしたり、展示品のウォーターベッドで彼女に手を出すことが出来ないようなギャップに母性本能がくすぐられ、見ているこちらもすっかり彼の虜になってしまうのだ。
脇を固めて大物俳優が続々出演しているのも見所。ショーン・ペンがバイクを疾走させるシーンは、まるでぶつ切りのエピソードで二人に関係なさそうに見えるけれど、せっかく火の枠繰りをして見せているのに、見向きもせずにバイクから落ちたアラナにゲイリーが駆け寄るところは大切なシーンでもある。
随所で笑いが起こるシーンも多く、そのうちの見所の1つ、ブラッドリー・クーパーがハチャメチャなハリウッド俳優役で登場している。実はこの映画は監督が子供の頃の思い出を映画にしたものらしく、エピソードに登場する人たちは実在のモデルがいたそうな。
互いに別の相手とデートしているのに、お互いが気になって仕方ない二人。
試写会では若手監督の内山氏が登壇し、ライターの方とポール・トーマス・アンダーソン監督について熱く熱く語っていたけど、監督を「PTA」と呼ぶほど詳しくも、そんなに彼の映画を観たことない私にとっては、何一つ判らなくて・・・
70年代の空気感、石油ショックのあおり、高度成長期の何でもありな商売が成り立つ時代感覚を知らない君たちに、この映画の本当の良さは半分も伝わるまい。
加えて彼等はこの映画を「ボーイミーツガール」ものと称していたけれど、私は彼女が彼を見つけたのだと思っている。将来の夢も特に持たず、親の希望に沿った彼氏を見つけなければ・・・という閉塞感で日々過ごしていた彼女が、心から「生きている」を実感できる相手を見つけ出す。こんな爽やかな映画は久しぶり~♬
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この記事へのコメント
ごみつ
これは良さそうな映画ですね。公開になったら是非観てみたいです。
ポール・トマス・アンダーソンは「マグノリア」だけ観ました。変わった映画でしたけど、心に残る映画でした。
何だかこの「リコリスピザ」の作品のテイストもちょっとわかる様な気がします。是非、劇場でウォッチして確認しなくっちゃ〜。
ご紹介有難うございます。(*^^*)♫
ノルウェーまだ~む
>
「マグノリア」トム・クルーズですね!?
私は残念なことに一つも見てなくて・・・今は配信でも有料なので、ほとぼりが冷めたころ(?)ポチポチとRTA作品を見て行こうと思ってます。
「リコリスピザ」は恋愛ものに拒否反応を起こす私でも、とっても気に入る良い映画でしたよ♬
二人のじれったい感じもザ・青春!ってかんじでした☆
ご覧になったらまた是非感想お聞かせください~~
セレンディピティ
リコリス・ピザ、気になっている作品なので感想楽しみにしていました。
こういうリアルなアメリカを描いた作品が好きですし、レトロな映像にも惹かれます。
主演の男の子はなんとフィリップ・シーモア・ホフマンの息子さんなのですね!
ホフマンも大好きな俳優なので、ますます期待してしまいます。
この監督さん、フィルモグラフィをチェックしたら
(先日ちょこっと話題にのぼった)ゼア・ウィル・ビー・ブラッドと、ファントム・スレッドは見たことがありました。
どちらもダニエル=デイ・ルイスが主演ですね。
ちょっとひとひねりした作品になっているのでは?と想像しています。
ノルウェーまだ~む
>
絶対セレンさんがお好きな映画と思います!!これは間違いないっ
お話に毒が無いと物足りない私でも、この清涼感にすっかり虜になってしまいましたよ♬
PTAの作品は残念ながら何故か一つも見たことなくて・・・
無料で見られるようになったらいくつか見てみようと思っています。
「リコリスピザ」ご覧になったら、感想お聞かせくださいね☆
瞳
リコリスピザ!タイトルからして気になります(笑)
トーマス・アンダーソン監督の作品は「マグノリア」と「パンチドランクラブ」しか見ていないのですが、前作が「ファントム・スレッド」(こちらも未見)だったので、本作すごく意外な印象でした。
70年代!!おおっ!!ジャストミートです(笑)
爽やかで、笑いもあって・・・これはぜひ観てみたいです。
ノルウェーまだ~む
>
終始笑えるほどではないのですけど、ブラッドリー・クーパーのあたりは笑えます!
とにかく爽やか、しかも70年代の雰囲気をほどよく描いているのが良いですね。
瞳さんもきっとお好きだと思います~♬
にゃむばなな
でも劇中に一度も登場しないところを見ると、この映画自体がPTA監督にとってのリコリス・ピザだったのでしょうね。
そう思うと、もし自分がPTA監督の立場ならどんな楽曲を選ぶだろうかと考えると、ちょっと楽しくなっちゃいますよね。
ちなみにPTA作品なら『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』が一番見易いかなと。『マグノリア』は最後にひっくりカエルんで、それはそれでお楽しみに♪
ノルウェーまだ~む
>
レコードチェーンの名前だったことを私は映画の後に調べて知りました。あの黒くて長くてゴムチューブみたいなものを巻いて売ってる(?)ことからそういう名前のレコード店ができたなんて・・・ノルウェーでは長~くだらんと真っ直ぐ置いて売ってたんですよね(笑
確かに想い出の音楽を沢山使って、きっとPTA監督は楽しくて仕方なかったんじゃないでしょうか。そういった雰囲気が充分に伝わって、見ているこちらもワクワクしてきましたね。
おすすめの映画有難うございます。近々見てみます~♬
ノラネコ
相変わらずクセはあるけど、芯の部分では普遍的な恋愛ドラマでしたよね。
主役の二人が初々しくて、キュンとしてしまいました。
ノルウェーまだ~む
>
ほんと、二人の初々しさには心から応援する気持ちが湧き出てきます。こういいうキュンなら大好きです~
ポール・トーマス・アンダーソン映画は観たことが無かったので、これから少しずつ見ていきたいデス~~
瞳
これとっても良かったです。
なんじゃこれーー!?的な横道それたようなエピソードの数々も最高でしたね。
主演二人にこれは胸キュンじゃないな・・・と思っていたのに(笑)きゅん!としちゃいました。
>私は彼女が彼を見つけたのだと思っている。将来の夢も特に持たず、親の希望に沿った彼氏を見つけなければ・・・という閉塞感で日々過ごしていた彼女が、心から「生きている」を実感できる相手
ああ~!!なるほど~!!
確かにそうでしたね。謎の自信に満ちたゲイリー、彼から目が離せませんでしたね。
ノルウェーまだ~む
>
ね〰️?胸キュンに作ってないのに、グッと心惹かれるものがありますよね🎵期待してなかった分きゅんしちゃう➰
そして自信に満ち溢れてるけど、鼻につく感じじゃないのは、ひとえに主役の彼のキャラクターが大きくて、それで余計親近感沸くんですよね⭐
とっても素敵な映画でした。