2019年に公開されていた舞台「魍魎の匣」がfuluで配信されているとねえねからLINE。
小学6年の頃、大人も読めないような画数の多い漢字の羅列と格闘しながら、右手に1冊千ページ以上ある「京極堂」シリーズ、左手に広辞苑を抱えて歩いていたねえねは、京極夏彦の作品をこよなく愛し過ぎていたために、アニメ化や映画化に殊の外口うるさかったものだけれど、そのねえねのお墨付きと言うだけあって本当に素晴らしかった!!
舞台「魍魎の匣」 公式サイト
美しい14歳の少女加菜子は列車に轢かれてしまう。駆け付けた母親はかつて女優をしていた柚木陽子だった。現場にいた同級生の少女は黒い手袋の男を見たと証言する。しかし運び込まれた美馬坂教授の謎の研究所の皆が見ている前で加菜子は忽然と消え誘拐されてしまう。
最近相模湖や武蔵野で見つかった箱に入れられたバラバラ死体を調べていた小説家の関口は、謎の宗教家「御筥様(おんばこさま)」へ行きつくも謎は深まるばかり。
いつものように京極堂へ助言を求めると、3つの事件が繋がることに気が付き、そこには箱に死体を詰める話を書いていた人気小説家の久保竣公の影がちらついていた・・・
まず印象としては原作に忠実だということ。原作を読んだのは遥か昔だけれど、その文体といいミステリアスでありながら切ない物語をつい昨日読んだかのようにまざまざと思い起こすことが出来るのだ。
そして場面展開の多いこの物語を、箱型の枠を動かすだけで上手く表現しているという見事さ。加えて映画でも映像化は難しいと思われたともするとグロい部分をまるで見せることなく、完璧に再現してみせた演出は秀逸としか言いようがない。
キャストもなかなかに豪華。
美馬坂教授役の西岡德馬や元女優役の紫吹淳の大御所はもちろん、途方もなく長文なうえに難しい言葉の羅列をとうとうと喋る京極堂役の橘 ケンチも見事だったし、何より映画では端折られてしまっていた木場刑事役の内田朝陽は、原作イメージよりぐっとイケメンだけどある意味舞台「魍魎の匣」はほぼ木場刑事が主役だったので必然的なキャストだったともいえる。
最近はコミックなどが舞台化されて、若手イケメン俳優で人集めしたりする2.5次元ものが人気だけど、その手のものになびかないねえねがいうのだから間違いないだろう
舞台版はこの木場刑事を真ん中に置いて話が進む点で、先ずは大いに評価できる。
何しろ一見猟奇連続殺人がテーマでただ恐ろしい話のように見えて、この物語は『純愛』がテーマなのだから。
登場する人たちは皆全て叶わない恋と知りつつ、愛する人を影から支え続けようと貫き通す。
この原作の真ん中に一本通っている切ないまでの「真実の愛」を正しく描いたからこそ、この舞台は高く評価されたんじゃないかな?
魍魎の匣 - 堤真一, 阿部寛, 椎名桔平, 宮迫博之, 田中麗奈, 黒木瞳, 宮藤官九郎, 柄本明, 清水美砂, 篠原涼子, マギー, 堀部圭亮, 荒川良々, 笹野高史, 寺島咲, 谷村美月, 原田眞人, 原田眞人, 小椋悟, 柴田一成, 井上潔
文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫) - 京極 夏彦
魍魎の匣(1) (カドカワデジタルコミックス) - 京極 夏彦, 志水 アキ
魍魎の匣 BD-BOX [Blu-ray] - 平田広明, 森川智之, 木内秀信, 関貴昭, 浪川大輔, 高橋美佳子, 中村亮介
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