「かもめ食堂」「めがね」など、特に何も起こらないのに登場人物がちょっとだけ笑顔になっていくほっこり映画でお馴染みの、萩上直子監督✕パンのCMや映画で活躍するフードスタイリストの飯島奈美さんの最強タッグ。
今回はこのお二人が登壇する試写会を体験。「内緒でお願いします。」と監督が仰る興味深いお話をいっぱい聞けたYO
「川っぺりムコリッタ」 公式サイト
とある事情で小さな田舎町に移り住んできた山田(松山ケンイチ)は、塩辛工場で働きながら小さなアパートで生活し始めた。
いきなり隣に住む島田(ムロツヨシ)が風呂を借りに来るようになるが、給料日まで食うや食わずの生活だった山田に畑で取れた野菜を持ってきた。遂に給料日がきてお米を炊くと早速島田がやってくる。
そんな時、4歳から生き別れた父の死が知らされ・・・
とにかく図々しいムロツヨシ、いえ、ムロツヨシ演じる島田。
山田が社長からもらったイカの塩辛を大事に2本ずつ白飯に載せている横で、瓶からドバドバと自分のご飯に掛けちゃう~(爆
でも、あちこちへ野菜を配って代わりにご馳走を貰う愛すべきキャラクターとして、生活に困っている割にポッチャリ体形のキープをお願いしたと監督。実際、田舎だと野菜の代わりに野菜貰ったり(笑)お菓子とか赤飯とか物々交換が良く行われるのよね。
ただ、そんな島田も説明はされないけれど何か暗い過去を背負っているらしく、宇宙人の出現に取り乱す姿は何とも言えないものがある。
向かいに住む何か訳アリ気な墓石セールスの父息子が、やっと売り上げで食することになったスキヤキでも、ずかずかと上がってご一緒しちゃう♬ しかもそこの家の幼い息子が白菜ばかり食べているのに、山田と島田はどんどん肉を食べちゃう!!
生きるのに後ろ向きだった山田が島田やご近所さんの影響を少なからず受け、少しずつ「ささやかな幸せを見つけていく」というテーマの裏に、実は『遺された者が死者を送る』という、どこか仏教哲学的な死生観が描かれているのがミソ。
美しき未亡人の大家さんに満島ひかり。彼女は夫の遺骨で・・・
ムコリッタは仏教の時間の単位で30分の1日(45分)のことなのだそう。
元花火師のド派手な葬送の仕方、愛犬の高額な墓石、遺骨をかじる妻、金魚の小さなお墓・・・死を忌まわしいものとして捉えない考え方に目から鱗が落ちた。
私は兼ねがね葬式やお墓は亡くなった人ではなく遺された人の為にあると思っているので、この映画のストーリーに実はかなり共感性が高かった。とにかく白飯を食べて食べて食べる映画。途中でお腹がぐーと言うけど、あんまりずっと食べるので最後はお腹もいっぱい心も満たされる☆
橋の下に住むホームレスに『たま』の知久 寿焼。耳に残る挿入歌を演奏している。
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この記事へのコメント
ノラネコ
最近の「サバカン」もそうでしたが、ご飯が美味しそうな映画って、かなりの確率で名作です。
それだけ真摯に「生(と死)」に向き合ってるってことですからね。
素晴らしかったです。
ノルウェーまだ~む
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本当に塩辛ご飯美味しそうでしたね~
他におかずも無くてシンプルだからこそ、白飯の美味しさが生きてきますね!
食べる=生きるですね。そして生きると死ぬとは同じステージにあるのだと感じました。
しかし今、義母が水分だけで1か月半も頑張ってくれているのを目の当たりにして、「食べる=生きる」じゃないのかも・・・とゆらいでいます。
ふじき78
ノルウェーまだ~む
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ふふふふ・・・ムロさんに最大の誉め言葉ではないでしょうか?
丁寧に丁寧に「変」さを磨くって素敵!!
彼にはこの味をずっとずっと保って、更に磨きをかけていってほしいですね。
latifa
試写会でご覧になってたのね。
監督さんもいらっしゃって、いいなあー!
面白かったです。
あちこち、え!?ってシーンがあって、殺人が―とか大恋愛がーとかじゃないんだけど、ちょこちょこ、おっ・・・ってはっとして。(夫の遺骨で・・も、びっくりしたし、ムロさんのずうずうしさにも驚いた)
また監督さんの映画、これからも見て行きたいです。
ノルウェーまだ~む
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大きな事件が起きるわけではないのに、非日常感がたっぷりあって、図々しいのに憎めない・・・みたいなところも、次第に愛着がわいてくるユニークな作品でしたよね。
試写会で観たのがかなり前でしたけど、今も劇場で掛かっているって凄いわ~~