「雨を告げる漂流団地」廃墟は想い出の扉☆劇場でもネトフリでも

お向かいさんのお嬢さんが「ペンギンハイウェイ」でお馴染みのスタジオコロリドで仕事をしているということで、春ごろから楽しみにしていた作品。
ハラハラドキドキさせる冒険ものであると同時に、わだかまっていたものを捨て新たな一歩を踏み出そうとする思春期の子供たちの成長を描いた、大人にも心に刺さるアニメになっている。

「雨を告げる漂流団地」 公式HP
漂流団地ぽスタ.jpg
小学6年生の夏休み。
祖父のやすじいが他界してから、航祐は幼馴染でクラスメイトの夏芽とぎくしゃくしている。
昔住んでいた団地はこの夏取り壊しが予定されているが、そこへ仲間と忍び込んだ航祐は、度々来ては想い出に浸っていた夏芽と出くわす。
すると突然団地の周囲に海が現れ漂流をはじめた。喧嘩をしながらも協力し合い脱出を試みるが、岸に着く気配はなく嵐までやってきて・・・
漂流団地たたみ.jpg
今、廃墟が熱い。
これから公開される新海誠監督の作品も、廃墟がテーマになっている。
「廃墟」というと幽霊が出るとか、無秩序に荒らす若者たちのせいで治安が問題視されたりすることもあるけれど、片や『軍艦島』のように世界遺産になるものも。
この映画のテーマでもあるように、廃墟は『過去の想い出』として生き続けるものでもあり、『囚われていた過去から脱出し、新しい一歩へと踏み出す』ものでもあるのだ。
漂流団地仲間.jpg
集まったメンバーはステレオタイプでありながら、非常にバランスの整った様々なタイプのあるある小学生ばかり。自分はどのタイプ?
冒頭から3分の1くらいまで主人公と幼馴染が必要以上にいがみ合っていて、何ー?と思うけれど、大人でも言葉に出来ない複雑で不器用な感情ってあるものね。
漂流団地.jpg
絵が非常に美しい。古びた団地や夕焼け、嵐の光と影、そして流れゆく廃墟までが何ともノスタルジック。
楳図かずおの「漂流教室」のように、イライラが募って揉めたりは案外少なくて子供たちは皆大人!! もっと泣き出す子もいそうなのに?
大きな嵐で一体となり友情を取り戻したりと、展開は想像できるところではある。
とは言え、この『夢』でもあり『現実』でもある物語を違和感なく繋げているところは秀逸。
漂流団地嵐.jpg
廃墟の中に仕舞った美しい想い出にちゃんと片を付けて、想い出を大切にしながらも、きちんとさよならを言う。
これはある意味「ちゃんと自分と向き合う」という事なのかも。

古い過去にいつまでも囚われて廃墟の迷路から出られない大人にこそ、是非観て欲しい。



この記事へのコメント

  • ふじき78

    漂流教室の顔だったら怖い。
    廃墟は肝試し映画によく使われるけれど、この団地は最前まで人が住んでいたので、廃墟らしい怖さがない。だから、ノスタルジーが効く。
    ペンギンも猫も良いよ。
    2022年10月16日 22:03
  • ノルウェーまだ~む

    >ふじき78さん
    >
    漂流教室風の表情だと必要以上にビビります(爆
    廃墟は長く使われずに苔むしていても、どこかノスタルジーを感じますね☆
    ちかいうちにペンギンハイウェイも見たいと思ってます。
    2022年10月16日 22:19

この記事へのトラックバック

人気記事