ようやく東京へ戻って大急ぎで用事を済ませてまず最初に観たのがこの映画(笑
A24配給の映画大好き、北欧ミステリー好き、更に羊好きには絶品!
しかしすぐに帰って色々な考察を探してみたけれど、どれもしっくりこない。
先ずは自分が羊になってじっくりと咀嚼してみなくては☆
「LAMB (ラム)」 公式サイトカンヌ映画祭「ある視点部門」受賞
アイスランドで羊飼いをして生活しているイングヴァルとマリア(ノオミ・ラパス)の若い夫婦は、過去に子供を亡くしていた。
出産ラッシュを迎えた羊舎で1頭の羊が「羊ではない何か」を生み、夫婦はそれをアダと名付けて大切に大切に育てることにする。
母羊は度々やって来て子供を連れ去ってしまうが、マリアは母羊を撃ち殺し埋めてしまう。
ふらりとやってきた夫の弟はその子を始末しようとするが、次第に可愛く思えてきてすっかりアダも懐いていた。そんなある日・・・
全編を通して台詞は数えるほどしかない。
雄大なアイスランドの大自然の中で日々の酪農作業を淡々とこなし生きていく様子は、トラクターと草木を踏む音と羊の息遣いだけが聞こえて、まるでNHK自然百景?
私的には雨ばかりの秋や霧が深くて何も見えない春、荒涼とした風景が懐かしく、さすがアイスランドに生まれると遮光カーテンなしでも白夜の明るさでも寝られるのね?と感心したりとしっかり楽しめて退屈することは全く無かった。
「その子」はポスターで顔が見えているように、ヒツジ頭を持つハーフ?
CGや人形も使っているとは思うけれど、実に巧妙に撮影されていてそれだけでも驚愕!
徹底的に流れる不穏な音楽と共に、初めは不気味に感じたその子もどんどんと愛らしくなってくる。
羊たちに表情があるのが凄い!! 実際は犬や猫のようには感情を表さない羊なのに、ちゃんと意思があるかのようにみせるカメラワークが秀逸!!
羊たちに感情を持たせたことによって、母羊から子供を奪ったマリアが罪悪感で夢でうなされるシーンも生きてくるのだ。
それにしても途中で登場する夫の弟がそっくりすぎてww
私なりに考察するとこの映画のテーマは「禁断」
クリスマスの夜に受胎し羊小屋で生まれたアダ、その子を育てるマリアとくればキリスト教がベースと考えて当然。
しかし多くの考察でラストに復讐を果たす『ラムマン』を悪魔と言うのは違うかな~私はどちらかといういうとギリシャ神話に出て来るミノタウロス的なものではないかと。
ポセイドンから預かった美しい白い雄牛を約束通り生贄にせず、自分のものにして別の牛を返したことで怒りを買ったミーノース王は妃に白い雄牛に恋をする呪いをかけられてしまう。牝牛の着ぐるみを着て白い雄牛と交わった妃は子供を産み、生まれたのが頭が牛で身体が人間のミノタウロスだった・・・
夫が子供を可愛がるマリアに隠れて泣いていたのは、実は夫婦関係も冷えていた夫が羊と交配して出来た子がアダだったのではないか?
昔マリアと夫の弟は関係があり、それで生まれた娘が亡くなったアダで、夫は沼地を彷徨う悪夢を見ていたことから、実はその子の死因に後ろめたい何かがあったのかもしれない。
マリアは羊人間のアダを母羊から奪い見せかけの幸せに浸っていたが全てを失う事になる。こうして禁忌を犯したものは一様に成敗されてしまうのだ。
一番ビックリしたのは羊のお母さんを食べないで埋めちゃうんだ!?勿体ない~って思った私。ラムマンさん私を撃たないで!!
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この記事へのコメント
瞳
うわーー!!いいですね!!ノオミさん、大好き。北欧ミステリー大好きで私もとっても気になっていた作品です。
アイスランドが舞台なんですね。
なにやらすこ~し不穏な?ムードも感じましたがいろいろと考えさせられる映画なんですね。
こちらでは今月末からの公開予定みたいなので、まだ~むさんの考察、それまで楽しみにしておきますね。
ノルウェーまだ~む
>
そうなんです、松山だと22日から劇場公開だったと思います。
瞳さんなら結構楽しめる作品と思いますよ。
是非ご覧になられたら、また感想をお寄せくださいませ!
セレンディピティ
毎日お掃除の中、用事を片付けるためとはいえ、しばしの休息ができてよかったですね。
この作品、私も気になっていました!
まだ劇場公開されているのですね?
配信待ちになるかもしれないけれど見たいです。
ちょっと怖そうだけれど、セリフが少ない分
そして説明が少ない分、見る人の感じ方、考え方で
いろいろな解釈のできる作品とお見受けしました。
こういう作品好きです。
それにしても、最後の
>一番ビックリしたのは羊のお母さんを食べないで埋めちゃうんだ!?
まだ~むさんらしい~、ぷぷぷとなりました。^^
ノルウェーまだ~む
>
ありがとうございます。今のうちに!と思い、疲れた体に鞭打って(笑)劇場へ走りました。
こちらはまだ当分やるんじゃないかな・・・公開している劇場が少ないせいか、ほぼ満席でしたよ☆
イメージとしてはセレンさんっぽくないかも~と思いますが、人それぞれに考察が違う所を見ると、「考え方で色々な解釈」っていうのは当たっている気がします。
羊牧場は食肉を出荷する農場なので、それを食べないなんて!って一瞬思いましたが(爆)母羊射殺を隠蔽したい気持ちという大事なシーンでもあるんですよね。
風情☭
>A24配給の映画大好き、北欧ミステリー好き、更に羊好きには絶品!
前 2 項目は同様に大好きですが、羊は取り立てて… ではありますが、これだけ好きな項目が揃ってたら絶品フルコースですね。
それはそれとして、巧く言葉にできねぇのですが、とにもかくにもスゴい作品だったのひと言です。
不思議なのは、話が進むにつれて アダ がただひたすらに可愛く思えてきちゃうところでした♪ (゚▽゚)v
ノルウェーまだ~む
>
そうですね~
初めはどんな姿か見せることなく、不穏な音楽に包まれているので「恐ろしい」ような気持が勝ってそういう目で見てしまいますけど、ヒツジにしても子供にしても小さい頃は可愛いもので(笑)それが合体しているのだから、きっと可愛いんですよ!
ゆるキャラと思いましょう☆
瞳
こちらのレビューにコメントありがとうございます。
説明がほとんどない映画なので、すっごくいろいろ考えさせられました。まだ~むさんの考察、すごい~。
夫婦の「時間旅行が出来るようになった」から始まる会話もあとから思うと、いろんな意味を含んでいるようで印象的ですね。
私が、唯一違和感を感じたのは、ラムマンが銃を使ったことでしたよ~。そこは角とか・・・!?
あまりにも雄大で怖いような自然・・・映画館で観れて良かったです。
ノルウェーまだ~む
>
確かに〰️ラムマンが銃を使うなんて、私も違和感ありましたが、もしかするとそれも何か意味があるのかもしれないですね…
もう一度色々考えてから見直すと、また違った何かを発見出来るかもしれないですね‼️
latifa
おおおー!考察が凄いです。
とても参考、お勉強になりました。
なるほどー。
たぶん宗教的な意味合いがあるんだろうなあーとは思っていたものの、ピンと来ずというか、よく解らなかったのです。
>夫が子供を可愛がるマリアに隠れて泣いていたのは、実は夫婦関係も冷えていた夫が羊と交配して出来た子がアダだったのではないか?
これも全然思い浮かばなかったのですが、そうかも!もしそうだとしたら怖いけど、ありえそう・・・
ノルウェーまだ~む
>
コメントありがとうございます。
私もすぐには咀嚼できなくて、色々な考察を読んだりしながら、やっぱり自分のインスピレーションも大事にしつつ辿り着いたのがこの感想でした。
それぞれが自分の欲望に目がくらんだことで、最終的に成敗されちゃうのだとしたら、ラムマンは悪魔じゃなくて北欧の神様なのかも?って思いました~