賛否両論の物議を醸しているというネトフリオリジナル作品「ブロンド」を鑑賞。
確かに辛い生い立ち、精神的に不安定な状況、性的に搾取されてきた不運などを「気分が悪くなる」と評したくなるのも判るけれど、ファンの方やマリリン・モンローを神格化したい人たちでなければエンタメ界の裏や世界的スターの苦悩の物語として充分見応えがある。
そもそもドキュメンタリーではない訳で、他人の人生をフィクションを含まず描くことなど出来るわけが無いのだから、どこまでが真実かなんて追求する方が酷というもの。ただ、全てが真実と思ってしまうとしたらちょっと気の毒かも・・・
「ブロンド」Netflixオリジナル
精神病が悪化しつつある母親に振り回され7歳から施設で育ったノーマ・ジーンは、施設を出たあと劇団で演劇を学びながらヌードモデルやピンナップガールの仕事をしていた。
社長におもてなしをしたことで抜擢されたあとは、どんどんとヒットを飛ばし大スターとなっていく。劇団員時代の恋人との間に出来た子を堕胎せざるをえず彼等との関係が終わり、傷心の彼女の支えとなった元大リーガーと結婚するも、束縛の強い夫からの抑圧に耐え切れず離婚、脚本家と幸せな結婚をするも流産し、次第に精神がむしばまれて・・・
2時間かけてメイクしていたというアナ・デ・アルマスは、もうどこからどう見てもマリリン・モンロー!正直言うとモンローの作品をあまり見たことが無い私なので、あまり多くは語れないけれど、仕草や表情が彼女そのもの☆
また随所に白黒シーンを入れることで、まるで記録映画を見ているような気になってくる演出がまた巧い。
たま~にアルマス?って時がちらほらと。
それでも「マリリン7日間の恋」のミシェル・ウィリアムズよりぐっとマリリンっぽい。
彼女が幸せを感じているシーンは概ねカラー。それは大概愛した男性と過ごしていた時だ。
チャールズ・チャップリンの息子役を含むイケメン俳優2人とのセンセーショナルな3Pシーンだけでなく、惜しげもなく多くの裸体を披露しているけれど、「あの」セックスシンボルとしてのマリリン・モンローを演じていながら、アナ・デ・アルマスだからこそ?どこか健康的でチャーミングで、不思議とエロティシズムが抑えられているのが不思議。
遂に愛する夫との子を妊娠しても流産してしまう。
母に愛されず、見たこともない父の幻想を負い、繰り返す堕胎の影響か、いざ愛する人の子供も望めないショック。
さらにジョン・F・ケネディから受ける性的虐待など、マリリンを汚すような創作部分が物議を醸しているようだ。
しかし登場人物のほとんどが既に存命ではないのだから、どれが事実でどれがそうでないのかなど誰にも分るまい。
映画「スキャンダル」で描かれたように実際FOXのCEOのセクハラが、最近まで(?)行われていた訳で、そういった部分を非難するのもどうかと思う。
ましてやマリリンのプライベートな部分やその時の本心は、誰にも分からないからこそ神秘的で魅惑的なのだ。
だからこそマリリン・モンローは唯一無二のスターとして永久に君臨し続けるのではないだろうか。
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この記事へのコメント
セレンディピティ
私もこの作品、絶対に見たい!!と楽しみにしていたのですが
なかなか余裕がなくて、うずうずしています。
想像した以上に、過酷な、そして思い切った作品のようですね。
アナ・デ・アルマスの熱演も含めて期待していますが
覚悟して見たいと思います。
ノルウェーまだ~む
>
ネトフリに加入なさったんですものね♬ これは絶対見てください~!
アナ・デ・アルマスが華奢でマリリンほど肉感的でないせいか、過激な描写もさほどエロチックでないし、ヌード写真でさえ爽やかに見えるので毒々しさは無いのですが、既に故人であるマリリンを赤裸々に描写することに抵抗のある人も居ると思います。
ただ、歴史上の人物や有名人は皆そうして良くも悪くも、過去のあれこれを面白おかしく、または悲劇的に描かれるのが常ですものね。是非、また感想を書き込んでいただけたらと思います。
latifa
これ、私も最初の15分くらいまでちょこっと見ました。
結構キツイ内容がこれからもずっと続くと噂に聞いています・・・
もう亡き人の映画って、難しいですよね。全部本当だと思われてしまう危険性もあるから・・。
アナ・デ・アルマスは、凄くなりきっていましたね!
ノルウェーまだ~む
>
ちょこっとご覧になったのですね(笑)
結局はマリリンの謎の死の着地点に向けて、彼女のクスリに頼らざるを得なかった人生をクローズアップしている点で、やや辛いシーンが多いという造りなのだと思います。
ただ、幸せいっぱいのところや、キュートなマリリンの映像も堪能できるので是非最後までご覧になってみて下さいね♬
アナ・デ・アルマスが上手かったですよね~
ボー
ミシェル・ウィリアムスさんのマリリンは、私は大いに満足でした。「マリリン7日間の恋」はブログ記事で数回にわたって書いた、我ながらよくやった渾身の思い出が。
ノルウェーまだ~む
>
マリリンの大大大ファンのボーさんだと、歴代のマリリンの夫たちのように、もしかしたらプンプン怒っちゃうかもしれないですね~
私は今回アマプラの「真相究明!マリリン・モンロー謎の死」とネトフリの「知られざるマリリン・モンロー遺されたテープ」というドキュメンタリーも見たのですが、まあ結果的には真相は判らない・・・って事なので、記事にはしていないです。
ただ、このドキュメンタリーよりはぐっとマリリンに寄り添っているのが「ブロンド」です。
そういう意味でマリリンを冒涜している訳ではない映画だと断言しておきます。