「ベルファスト」☆北アイルランド版『この世界の片隅に』

お正月帰省していた息子と見ようと待ち構えていたら、既に見ているというので本日ようやく鑑賞。年代がちょうどドンピシャのパパンは懐かしいノスタルジーを感じて、いたくお気に入りになった様子。

「ベルファスト」 (2022年)イギリス 公式サイト
ベルファストぽスタ.jpg
1969年、北アイルランドのベルファストで起きたプロテスタント武装集団によるカトリック信者襲撃が発端となり小さな町は分断、仲の良かった住人たちは暴力といがみ合いの生活にさらされるようになる。
小学生のバディは、仕事でロンドンと行ったり来たりの父と、この街を離れたくない母が喧嘩ばかりしているのをいつも見ていた。自分も好きな女の子のいるこの街を出たくはなかったのだが…

ベルファスト洗剤.jpg
ミュージカルのような明るさが一転、大人たちの暴動に巻き込まれ騒然となる冒頭から、もっと悲惨な展開になるのかと勝手に想像していた。何しろあの恐ろしい『北アイルランド紛争』が頭に刷り込まれていたので、激しいテロで多くの死傷者が出たりするのかと恐れていたら、実は最後まで深刻さは薄く、明るく楽し気なシーンも多くユーモアすらある。
暴動にかこつけてカトリックの商店を襲い、そこに紛れてバディが洗剤を盗むことになるターンでは、母に「なんで盗んだの!?」と叱咤され、「環境にやさしいから」と答えたりして、まるでコントのよう(爆
ベルファスト祖父母.jpg
同じ英語圏なのに「言葉も通じないし・・・」とロンドンへの引っ越しをためらう母に、何故?と思ってしまうけれど、確かに50~60年前で田舎町の人ならかなりの決意が必要だったかも。
一足先に旅立ってしまった祖父が、家族にそっと勇気をくれるところがほっこりする。
ベルファスト映画.jpg
なるほど俳優ケネス・ブラナー監督の体験をもとあくまでも子供目線で作られた映画だから、深刻さが薄く楽しい想い出がいっぱいなのだと納得。

先に鑑賞済みだった息子に感想を聞いたら「とっても良かったけど、ラストが好きじゃなかった。」のだそう。
見終わってから彼はラストのどこが嫌だったのかな?残された祖母を独り置いていくところ?それとも、住み慣れた街を離れる事にしたから?
今度聞いてみたいと思う。

この記事へのコメント

  • セレンディピティ

    まだ~むさん、こんばんは。
    不穏な環境においても、ケネス少年の周りには
    楽しいこと、わくわくするできごとがあふれていたのですね。
    日常のひとコマがノスタルジーたっぷりに描かれていて
    心が温かくなる作品でした。
    バディがとりあえず?洗剤を取ってきちゃうところ、かわいかった。
    印象的なセリフやシーンがたくさんありました。
    2023年01月07日 17:33
  • ノルウェーまだ~む

    >セレンディピティさん
    >
    やっと追いついて映画見られました!
    家の外では緊迫している状況でも、家族が仲良く子供らしく楽しく日々を送っているのがとっても良かったですよね。
    従妹?のお姉さんにターキッシュデライトを盗って来てしこたまなじられたので、よーっく考えて盗んだのが『環境にやさしい洗剤』って最高でしたね~
    紛争の最中なのに、とにかく洗剤を返しに行く母もさすが!って思いました。
    おじいちゃんの深い言葉に感服しちゃいましたね。
    2023年01月07日 18:01
  • latifa

    ノルウェーまだ~むさん、こんにちは!
    このところ良い映画、立て続けに鑑賞されていますね♪

    そうそう、私ももっと悲痛な映画なのかな?って身構えて見たのだけれど、子供目線で描いているからかな? 意識的なのかもしれないけど、大変な状況ながらも温かさを感じる作品になっていましたよね。

    ところで、これ、私も気になるー!
    >先に鑑賞済みだった息子に感想を聞いたら「とっても良かったけど、ラストが好きじゃなかった。」のだそう。
    見終わってから彼はラストのどこが嫌だったのかな?
    2023年01月08日 09:09
  • こんばんは。
    早速コメントいただいてありがとうございます。

    ノスタルジーと家族愛、映画愛に溢れた作品でしたよね。
    もちろん、戦うことの虚しさや故郷を離れる辛さもしっかり感じるんだけど、それでも少年には毎日がキラキラしていたんだなあ~と感じますよね。

    息子さん、ラストは好きじゃなかったのね!?
    ひとり残されたジュデイ・デンチのあの表情のせいかな?
    甘めの演出だったのに、あえてさよならや別れのハグとか描いていないのが印象的でしたね。
    2023年01月08日 21:54
  • ノルウェーまだ~む

    >latifaさん
    >
    なかなかLINEをしても既読にならない息子なのですけど、珍しく答えを送ってくれました。
    彼としては「暴動になったあたりから都合のいいことだけ起こして無理やりまとめた感じ」が気に入らなかったそう。
    それが子供の目線であることに、彼はまだ気が付く年齢ではないのかも(笑
    2023年01月08日 22:52
  • ノルウェーまだ~む

    >瞳さん
    >
    北アイルランド紛争に関しては、私たちがロンドンから戻ってすぐの頃にもテロや暴動が起きていたので、もっと深刻にとらえてて、息子もそういった深刻なテーマを予想していて肩透かしだったのかもしれません。
    彼も自分の意思に反してロンドンに転校を余儀なくされた当事者でもあるので、子供目線とは言えポジティブ過ぎる暢気さに抵抗感があったのかな・・・
    2023年01月08日 22:58
  • ここなつ

    こんばんは。
    これは、ノスタルジー溢れる雰囲気もあり、また、当時の世相を暗くなり過ぎずに市民目線から描いた良い作品でしたよね。
    息子さん、そうなのね、ラストがね…。おばあちゃんの決意は、私は何だか判るのよ。だから、おばあちゃんのことで寂しい気持ちになったのなら、それは優しい気持ちからだと思いますが、私はおばあちゃん目線でこれで良し、と思えるかな。
    でもそういうところでは無いかもしれないので、想像でお話ししてしまってごめんなさい。

    作中の彼ら家族は、ベルファストを後にするのは辛いことだったけれど、ある種恵まれた市民だったのだろうな、と思います。
    2023年01月09日 00:40
  • ノルウェーまだ~む

    >ここなつさん
    >
    私も同感です。
    住み慣れて友達も沢山いる故郷を離れるのは、誰でも勇気がいる事ですが、他所の土地に移って、しかも会社が社宅を用意してくれて、ステップアップ出来るのは幸せな事なんですよね。
    紛争が無くても敢えて外界へ出ていく人もいれば、地元でずっと穏やかに暮らす人も居る、まさにケネスの最後の一言でしたね。
    息子は~~ちょっぴり子供目線の暢気さに不満があったようです。
    子供でも充分非常事態は理解できるはず!と思ったのかも。
    2023年01月09日 23:47
  • ボー

    身の危険が迫れば引っ越さざるをえないですよね。
    本作中の出てきた映画を知っていれば、好感度が上がるという、ひきょうな作品(笑)。
    2023年02月12日 10:05
  • ノルウェーまだ~む

    >ボーさん
    >
    時代にぴったりな人にはより一層楽しめたかもしれませんね。
    あまり深刻になり過ぎないストーリーが、逆に新鮮でした。
    2023年02月12日 16:30

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