ブレンダン・フレイザーがアカデミー賞主演男優賞を獲得した本作。
正直「ハムナプトラ」は1つも見たことが無いので、彼の人気も、私生活が原因で彼が表舞台から姿を消していたこともあまり知らなかった私。
でも、間違いなくこの映画の彼は素晴らしい!
「ザ・ホエール」 公式サイト
過去の辛い経験からソファから立ち上がる事も出来ない程に太ってしまったチャーリー(ブレンダン・フレイザー)
世話を焼いてくれる看護師のリズだけが唯一の友だった。オンライン授業の講師として生計を立てていたが、誰にも見られないよう引きこもり、何度も心不全の発作が起きても決して病院に行こうとしなかった。
死期が迫っていると悟ったチャーリーは最後の5日間で8年前に別れた娘に会う事にするのだが、娘は母と自分を捨てて教え子の男性と恋に落ちた父が許せなかった・・・
無償で彼を助けてくれる看護婦のリズが、寝不足の手塚理美に見えて仕方ないww
ひゅーひゅーと喘息の苦しい息遣いが続く、まさにクジラのような体系のチャーリーに、見ているこちらまで息苦しくなる。
バケツのチキンにかぶりつき、毎日ピザを食べている。劇中の人も言うように、何故そんなになるまで・・・しかし彼の心の傷は深すぎて、どんなにピザを詰め込んでもその傷は塞がる事は無いのだ。
娘はそんな父を毛嫌いしている。
母はアル中になってしまったし、父親が男に走って8歳で捨てられたとなると、年頃の娘がそんな父親を許すはずがないのも当然。
登場人物は全員様々な要因で心に傷を負い、何かにすがって心の救済を叫んでいる。しかしピザでも酒でも神でも悪意のあるSNSでも決して救われることは無いのだ。
劇中に度々登場する「白鯨」の感想文(エッセイ)がキーとなっている。
「白鯨」の主人公エイハブは自分の足を食いちぎった白鯨を捕鯨することで、自分が救済されると思い込んでいる。しかし結果的に救われることは無く、周りを巻き込んで遂に撃沈してしまうのだ。
最後の5日間で娘との絆を取り戻す爽やかな話を期待したら裏切られる。
しかし全ての登場人物は救済され、心穏やかな気持ちになれることは間違いない。
人は誰かを救う事は出来ないけれど、正直に気持ちを伝えて勇気をもって踏み出せば、自らの力で救済出来るのだ。
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この記事へのコメント
ごみつ
おお、「ホエール」早速ご覧になったんですね!
記事を読ませていただくと凄く良さそうですね。
ブレンダン演じるホエールは、ここまで肥満だと、「ギルバートグレイブ」のお母さんを思い出しちゃいますが、どんな演技を見せてくれるのか楽しみです。
今さら特に見る必要もないですが(^o^;)、ハムナプトラシリーズは普通に面白いですよ。
あと、ブレンダンの映画だと「悪いことしましょ!」っていう映画がけっこう面白いです。笑えます。
ノルウェーまだ~む
>
うふふふwwwハムナプトラシリーズ他、遺跡から悪霊が飛び出して的映画は、インディージョーンズ以外はことごとく最初の10分くらいで挫折しているので、多分今更見ないでーす(爆
そんな訳で、なにもブレンダンが悪いわけではないのに、彼の映画は今まで見たことなかったんですよ。
そんな巨体のブレンダンはめちゃくちゃ良かったです!
話はちょっと難しい目な所もあるのですが、「どっしりと」して、さすがA24の映画だけあって、小綺麗に仕上げてないクセのある感じも気に入りました。
是非ご覧になったら、また感想お聞かせください!
セレンディピティ
先日「ザ・ホエール」見たいとおっしゃっていましたものね。
早速見に行かれたのですね。
私もハムナプトラは見ていないのですが
本作はフレイザーの復活劇にもなっているようで
彼の過去を知る方たちには感慨深いものがあるのでは、と思います。
私は主人公の肥満した姿に圧倒されてしまって
う~ん、どうなんだろう。。。と腰が引けていたのですが
お話を伺うと、繊細にていねいに作られた作品のようですね。
フレイザーの演技も見てみたいです。
ノルウェーまだ~む
>
はい!新たな仕事が始まる前に~と観てきましたよ☆
ちなみに極度に肥満した身体を持つ人は、だらしなくて太ってしまう人と比べて、精神的にダメージを受けた結果そうなった人が多いと思われますし、そういう点でも実はとても繊細な映画なんですよね・・・
なので姿とは真逆に糸の様に細い心を持った人々が描かれていて私はとても気に入りました。
ただ予定調和で誰にでも感動できるような造りにはなっていないので、ストレートに響く作品ではないかもしれませんね。
margot2005
宗教がらみのドラマは苦手なので、これはなんとも言えない作品でした。ブレンダンは頑張ってましたが...。
娘のエッセイと巨大化した父、タイトルの「ホエール」は良かったと思います。
ブレンダン映画は「ハムナプトラ」シリーズは2作以降はマンネリで、3作でやめて正解でした。
今後のブレンダンに期待したです!
ノルウェーまだ~む
>
宗教的な部分と文学的な比喩の難解さで、スカッとするような映画にはなってませんでしたね。
ブレンダンのファンでいらっしゃったということで、この映画の巨大な姿は肉襦袢としても、ブレンダン自身がまあまあ太っちゃったから、ちょっとショック大きかったのではないですか・・・?
これから復活した彼の今後に期待したいですね!
ノラネコ
なぜ彼がこの戯曲を映画がしたのか、すごく分かりやすい。
痛々しいけど、爽快なラストでした。
ノルウェーまだ~む
>
そうなんです。痛々しいし、決して分かり易いハッピーエンドに仕上げてないのに、なんとも爽快なんです☆
それぞれが罪の意識にさいなまれながら、十字架を背負って自らを傷つけているうちは、どんなに酒や過食に頼っても救われない。
結局自分自身を許すことでしか救済されることはないんですよね。
にゃむばなな
外から見ている観客にとっては息苦しい空間ではないが、当事者の気持ちに寄り添っていくうちに息苦しい空間になっていく。
でもチャーリーが自分自身を救済しようとしたラストで彼の魂がこの空間から出て行くような演出。
自分を救えるのは、やはり自分だけなのかも知れませんね。
ノルウェーまだ~む
>
お久しぶりです!本当にその通りですね~
結局、狭い空間に押し込めて息苦しくしているのは、自分自身なんですよね。
勿論、過去のトラウマや辛い経験は多くの人が体験しているし、その辛さは本人しか分からないから、自分自身で救済の方法を見つけるしかないんですよね。
自分の過ちを責めて自らを痛めつけている様子を見るのは辛かったですが、最後の魂の救済は清々しさを感じました。
latifa
>私生活が原因で彼が表舞台から姿を消していたこともあまり知らなかった
私もですよ・・・。
私はハムナプトラ見た事あったんですが、ちょっとあの手の映画はあまり得意じゃないんですよ(とはいえ、ハリソンのインディシリーズは楽しく見たんだけど)
彼、とてもハンサムで2枚目だったので、びっくりしました。
またこれを機会に仕事に恵まれるといいなーと思います。
監督さんの宗教観については全然しらなかったので、こちらでブロガーさんとのコメントのやり取りとか、参考になりました!
ノルウェーまだ~む
>
私もあの手のハムナプトラ的映画は好きじゃないし、インディで充分だったもんで、まだその後も見てないですww
本当にこの映画から彼が良い仕事に恵まれるといいなと心から思いますね。
イケメンさんは案外、役柄が固定されやすいから苦労しているのかもしれませんね。次はどんな映画に出演するのか楽しみです。