遍路旅からようやく自宅のある東京へ戻り、溜まった用事を済ませ、自身の両親の件で帰省したりと慌ただしかった秋もあっという間に過ぎて、気が付けば間もなく12月!
遍路のレポはまだまだ続くけど飽きるので一旦お休みww
「最後の決闘裁判」 (2021年)アメリカ
多くの人が年間ベストに入れていたような気がして、楽しみにしていた作品。
最後の決闘裁判 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray] - リドリー・スコット, マット・デイモン, アダム・ドライバー, ジョディ・カマー, ハリエット・ウォルター
かつては戦友であった騎士カルージュ(マット・デイモン)とル・グリ(アダム・ドライバー)だったが、要領の良いグリばかり優遇する伯爵ピエール(ベン・アフレック)から理不尽に冷遇され面白くない。命を懸けて前線で戦うも領地をピエールに召し取られ、不満に思ったカルージュが王へ直訴する為フランスへ赴いている間に、グリに妻を乱暴されてしまう。目撃者が無いのを良い事にしらを切るグリにカルージュは正式に決闘を申し込むが・・・
カルージュ目線・グリ目線・妻目線の3パターンで、ほぼ同じシーンが3回繰り返される。割と静かな展開で、立場によってぐっと違うのかと思うとそれほど違いのない状態で3回も繰り返すので正直やや飽きてくるのだけれど、ほんの些細な表情で各人の感情の差を表現する辺り、実は相当に高等なテクニックなのだと最後の方になって気が付くとぐんぐん面白くなってくる。
生真面目で不器用で不細工な男の役をあのマット・デイモンが、最後までムカツク伯爵をベン・アフレックが演じているのも、彼等二人が脚本を担当している点で大きく評価できる。
何しろ史実ではきっと「妻を強姦された騎士が命を懸けて名誉と正義と栄光を取り戻す」美談として伝えられてきたであろう物語を、世の男たちの愚かさとしてシニカルに描いているのだから。
裁判で「勝者が正義」と採決してワクワクと決闘見学を楽しむ若き王も、女遊びと悪政で民を食い物にする伯爵も、イケメンが過ぎて友の妻に手を出す騎士も、妻を愛しているからではなく男の沽券に関わるから決闘を申し込んだ夫も、男はおしなべて愚かなのだ。
結果的に、火あぶりの刑も恐れず最後まで毅然とした態度で名誉を守り抜いたのは「妻」だけなのだ。
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
ごみつ
拙ブログにコメント、有り難うございます。
まだ~むさんも記事で書かれてる通り、この作品の男性中心主義の描き方は本当~に見事でしたよね。
中世という過去を舞台にしながらも、実は現在でも基本的にはそれほど変わっていない・・っていう事実にも打ちのめされる感じがします。
ベンアフとマットの脚本も素晴らしかったですよね。
それに加えて、リドリー・スコットの作劇の上手さには舌を巻きました。
リドスコは明日から(12月1日)から、「ナポレオン」が公開になるのでめっちゃ楽しみです。o(^o^)o
latifa
あ、コメント書けるようになってました♪
>結果的に、火あぶりの刑も恐れず最後まで毅然とした態度で名誉を守り抜いたのは「妻」だけなのだ。
そうよねー。この監督さんは昔から
女性強し、女性リスペクトな感じの作品が多い気がしてます。
そうそう、最近TVでナポレオンのCM始まって、すごいな、ご高齢だけどまだまだ精力的にお仕事されてって思ってます。
イチョウ並木、とっても綺麗ですねー。
お近くで、気がむいたらサクッと行ける距離にお住まいなのが死ぬほど羨ましいですー。都内のいいところに住んでるの、いいなあー!
ノルウェーまだ~む
>
こちらこそお仕事お忙しい中ありがとうございます。
ごみつさんが絶賛なさっていたので、早く見なくちゃ!って思っていた作品なんです。良い作品をご紹介くださってありがとうございました。
そうか~ナポレオンもリドスコだったですね。やっぱりこれは観なくては!
女性やマイノリティーが少しずつ居場所を得て来た現代でも、実はさほど中世と変わってないっていうのを、声高でなく描いたところが本当に見事でした!
ノルウェーまだ~む
>
リドリースコットは女性リスペクトって、今まであまり気が付かなかったけど、確かにそうですね!?武骨な男くさい作品なのに、女性をちゃんとリスペクトしてるのって、それがまた凄いです☆
イチョウ並木の方も見てくださったのね♬
いつもは混んでいるのが嫌いで避けて通るくらいなのですが、この日暖かかったのでぷらりと出掛けてみました~
お陰様で都内でもちょっと歩けば自然があるのが何より有難いです。
瞳
こちらの記事にコメントありがとうございました。
同じ出来事が3人それぞれの側から描かれて、結果的には起こったことは同じなんだけど、双方の描き出した(自分の思う)真実が違ってるっていうの、すっごく興味深かったなぁ。
男たち、ほんと、どっちもどっちよね~~(>_<)
キャストも素晴らしかったですよね!!
モテモテのアダム・ドライバーにニヤニヤしちゃった(笑)
監督の「ナポレオン」も楽しみですね。きっとまた凝りに凝った世界観を見せてくれるんだろうなあとワクワクします。
ノルウェーまだ~む
>
男たちは「どっちもどっち」どころか「どいつもこいつも」でしたね~
ただ、カルージュに関しては世の男性に今でもあるあるなのでしょう、プライドが高く女性に対して気遣いが足りないという・・・(笑)不器用なんですね。世の男性は充分気を付けないといけません。
モテモテのアダムも良かったですね。自分が好意を寄せられて当然といった自信過剰なかんじ上手く出してました。
「ナポレオン」楽しみです!
セレンディピティ
本作、アダム・ドライバーが出ているので気になりながら
そういえば見損ねていました。
近いうちに配信で是非見たいです。
こういう歴史劇の大作は、リドリー・スコットならではですね。
最近、劇場であまり映画を見ていないので
ナポレオンの公開も知りませんでした。早速チェックしてみます♪
ノルウェーまだ~む
>
私もなんです!
ようやく最近劇場へ足を運ぶようになって、予告編も見ると、どんどんあれこれ観たくなりますね~☆
セレンさんのお好きなアダム・ドライバーはなかなかにムカつく役ですよ(笑)
ふじき78
「サイゴンの決闘裁判じゃない!」
ノルウェーまだ~む
>
リンクと楽しいノリツッコミありがとうございます!
スコットランド兵の荒々しさが、なかなかにウケました。