「TAR/ター」 2023年 アメリカ

TAR/ター(字幕版) - ケイト・ブランシェット, ノエミ・メルラン, ニーナ・ホス, ソフィー・カウアー, マーク・ストロング, ジュリアン・グローヴァー, アラン・コーデュナー, トッド・フィールド, トッド・フィールド, トッド・フィールド, アレクサンドラ・ミルチャン, スコット・ランバート
ベルリンフィルで初めての女性主席指揮者に任命されたター(ケイト・ブランシェット)は、天才的な才能と弛まぬ努力で今の地位へ上り詰め、世界でも注目の人物だった。マーラーの交響曲の録音と作曲、娘ペトラのいじめ問題、そして過去に関わった女性問題でストレスを抱えつつ、最高の演奏にするためのオーディションにお気に入りの女性を参加させたことで、様々な問題が発露し・・・
クラシック音楽に関して全く無知な私は、冒頭の対談から置いてけぼり。しかしこれは狙い通りで、ターは才能だけでなく音楽に対して真面目で真摯で博学であること、高い誇りを持って男性社会で舐められない様虚勢を張っていると同時に、強大な権力を誇示していることが示唆されている。
映画を見る前はこうした彼女の傲慢とも取れる振舞いによって後に身を滅ぼしていく事に繋がる話なのだと思ったら(端的に言うとその通りなんだけど)それだけではない。彼女には”妻”が居て、世の男性と同じ様に振舞い、出張先で浮気したり団員に良いポジションを匂わせ関係を持つ。自身がそうやってのし上がってきたのに、旧ジャ〇ーズ的構造で互いの利益を追求してきたことを忘れた為に、最後には牙城を崩されていく。
映画では細かい点でほとんど説明をされないけれど、巧妙に仕掛けられた罠によって一歩踏み外し奈落の底へ転落していく姿は哀れだ。
ラストのモンハン狩猟音楽祭は、彼女がのし上がるために食い尽くしてきた獲物に返り討ちに遭うラスボスを思わせて秀逸。
「search/サーチ2」 2023年アメリカ

search/#サーチ2 - ストーム・リード, ニア・ロング, ヨアキム・デ・アルメイダ, ケン・レオン, ダニエル・へニー, ウィル・メリック, ニック・ジョンソン, ウィル・メリック, ニック・ジョンソン, ナタリー・カサビアン, セヴ・オハニアン
恋人と旅行へ出かけたまま行方不明になった母を探すためにSNSを駆使するジューンだったが、消息がつかめずにいた。現地の何でも屋を雇って証拠を集めるのだが、母が隠していた事実を知り・・・
出張で帰省していた息子が「サーチ1より良かった。」というので鑑賞。なるほど怪しい人物が二転三転するので確かに面白い!
でも本当の犯人は代役を立ててまで母を殺す気があったのなら、何故監禁していたのか?ちょっとラストは納得いかなかった。
でもサーチ1が子供を心配する親目線であったのに対して、本作は尖っていたティーンエイジャーが親を心配し、捜索する中で親の愛を知っていくという物語で、それを「良かった」と勧めてくれた息子にちょっとホッコリしたり🎵
この記事へのコメント
ここなつ
ご主人、お大事になさってくださいね。色々お忙しいでしょうに、寒さが厳しくなるとさらに、ね。
「TAR」ですが、これはケイト・ブランシェットの演技に尽きると思いますが、…純粋に芸術家としてだけ生きて行くのってなかなか難しくて、書かれていらっしゃるように「仕事」として彼女が取り組んだことが、男社会の構造にすごく似た行動に繋がっていて、なんだかやるせないですよね。
ただ反面、自業自得とはいえ、何もかも失って、そういう部分は彼女が性別「女」だから社会から排除されたのかもしれないと思うとこちらもやるせないです。
ノルウェーまだ~む
>
そうなんですよ~
この映画の凄い所はケイト・ブランシェットの絶妙な演技だけでなく、見ようによっては頭角を現して揺るぎない地位を得ようとする女性を、ほんの些細なきっかけでトップの座から引きずり落そうと待ち構えていた人が大勢いたとも考えられるし、また排除しようと機会を狙っていたのが愛憎絡んだ女性だったという点でも、興味深い映画になってました。
ある意味彼女は加害者でもあり被害者でもあるんですね・・・
セレンディピティ
ご主人様、お見舞い申し上げます。
映画館で長時間同じ体勢をとられて、お身体に響いたのでしょうか。
どうぞお大事になさってくださいね。
TARは娯楽性はあまりないけれど
権力の本質を描いていて、私には膝を打ちたくなる場面がいくつもあり、興味深い作品でした。
天才ゆえに、まわりが見えない、理解できない。
そのことで自らが追い詰められていったようにも思いました。
Searchはワンシチュエーションムービー?で
まだ~むさんがお好きそうだなーと思っていました。
私も見たいと思いながら見損ねていたので
まずは1から見たいです☆
ボー
「TAR」を見た時点では、なんの音楽かはわかりませんでした。
人々を楽しませる音楽を指揮するというのは、原点回帰ともいえますね。
「サーチ」って、アングロサクソン系を主役にはしないんですかね。製作陣が違うのかな?
latifa
再度こちらにも。
サーチ2だけ見ています。
>でも本当の犯人は代役を立ててまで母を殺す気があったのなら、何故監禁していたのか?ちょっとラストは納得いかなかった。
そうよねー。
色々はっ!とする展開や、びっくり予想外な処があって、面白かったんだけど、ん?って感じもあるなあ・・・。
>尖っていたティーンエイジャーが親を心配し、捜索する中で親の愛を知っていくという物語で、それを「良かった」と勧めてくれた息子
いいなあー!
息子君と映画を共有出来て、そういう話も出来て。
この映画をおすすめしてくれるのも、なんだか嬉しいですよね。
夫さん、坐骨神経痛可哀想に・・。
このところ凄く冷えるし、映画館の椅子って疲れるのよね・・・。
中々やっかいですが、早く良くなりますように・・・。
瞳
チキン食べていらっしゃるかな。パパンさん、坐骨神経痛、お大事にしてくださいね。実は私も寒くなると出てくるので、気を付けなくっちゃ。
「ター」はプライムに挙がってたので観ようと思っているのですが「聖地には蜘蛛が巣を張る」のあとはどうも軽いのを選んでしまいます。いつか万全の状態で観てみます。
「サーチ2」は前作よりもパワーアップしてましたね。
http://teapleasebook.blog26.fc2.com/blog-entry-1462.html
デジタルネイティブ世代のPC使いの速さに目がついていけないくらいでした。
ただスケールアップした分、ツッコミどころもありましたよね。
でも本作は子どもちゃん目線、良かったと言っておススメしてくれた息子さんにホッとしますね♪
ノルウェーまだ~む
>
「権力の本質」全くその通りですよね~
これはターだけに限った特別な事ではない、ある意味権力のあるあるの構図でもありますね。
それが特に特別な才能があって天下を取ると、周りが見えなくなる・・・
と思うと、大谷翔平は本当に凄い人なんだなって思っちゃいましたww
サーチは是非1から見てみて!なかなか面白いので、是非また感想をお聞かせくださいね。
ノルウェーまだ~む
>
ゲーム音楽をオーケストラで演奏して、コスプレした人たちが聞きに来るモンハン音楽祭は、実際演奏を聴きに来て寝てたりするような人も居なくて、演奏家も鑑賞者もホントの意味で音楽を楽しんでいるのかもしれませんね。
サーチは製作費の関係かもしれませんけど、白人はあまりSNSを使いこなすイメージが無い?のでしょうか?(笑)
ノルウェーまだ~む
>
有難うございます。夫は胸が痛くなったり坐骨神経痛になったりと、なかなかに満身創痍です。書くいう私も耳鳴りが治りません。
瞳さんもお身体お大事になさってくださいね。
サーチのリンクありがとうございます。何度も探したのですけど、瞳さんのサーチのレビューへ辿り着けなくて…
Z世代のPCは凄いですよね~もう本当に付いていけませんでした。
ノルウェーまだ~む
>
こちらにも有難うございます!コメントお返しの順番違ってしまってゴメンナサイ!
普段、昔からほっとんど話すことが無い息子なんですけど、映画の話になると結構話せるんですよ~なので、グログロのホラーとかも一応彼に合わせてみたりもしますww
サーチは息子は1より2が良かったと言ってましたが、やっぱり私は親目線のサーチ1の方がしっくりきました☆
ノラネコ
監督の挑発っぷりはハネケを思わせ、何度も観なければ全貌が解き明かせない作品にどこまで付き合うべきか?を含めて色々考えさせられる作品でした。
面白かったけど。
ノルウェーまだ~む
>
確かに!
サラッと見たらそれなりの映画として楽しめるし、深読みして突き詰めたらどんどん面白くなっていく・・・こういった映画が本当はオモシロイのでしょうね☆
にゃむばなな
実生活でもこういう人はいますよね。仕事熱心なんですけど、努力も人一倍しているんですけど、人として足りないものがあることに気付いていない人。大人になりきれていないということなのかも。
ノルウェーまだ~む
>
仕事ができる人と人柄とが必ずしも同じレベルとは限らないですもんね。天才肌だととかくぶっ飛んでいたりもするでしょうし、仕事熱心でもどこか偏っている場合があります。
いずれにしても完璧な人はいないから、その人の足りないところを好印象として捉えられるかどうかで、印象が違ってきてしまうのでしょうね。特に上に立つ人は得てして「自分の足りない所」を忘れちゃってることも多いし・・・