どう見ても2~3歳の女の子がすぐ前の席で若いパパさんのお膝にちょこんと座って映画を観ていたのだ。
ゲゲゲの鬼太郎が生まれる前日譚。
この一族全員の名前に「時」が付いてただでさえ混乱するややこしい跡目争いの話も、戦中戦後と時が行きかう回想シーン、血しぶき飛び散るおどろおどろしい戦いもあって、はてこれを理解してこの斜め前の女の子は観ているのか?
「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」 公式サイト
昭和31年、血液銀行に勤める水木は政財界を裏で牛耳る龍賀一族の当主の葬式に出るべく哭倉村へ赴いた。その日、のちに目玉おやじとなるゲゲ郎は妻の行方を捜して村を訪れていたが、村人に捕らえられ牢へぶち込まれる。その夜から跡目争いと思わしき一族の殺人事件が起き、一族を調べる水木は禁忌を犯して立ち入ることが出来ない小島へと向かうのだが・・・
のどかな田舎の風景で犬神家の一族的な展開となっていく。
醜い人間の欲望渦巻くドラマに惹き込まれながら、斜め前の女の子が気になっているとなんのなんの最後まで大人しくちゃんと観ているではないの!鬼太郎が登場するとちょっとだけパパにそっと話しかけてる。退屈せずにいられるのは話を理解出来ているってことでは??
そう言えばねえねも赤ちゃんの頃、寝る前にパパンに読んでもらう絵本が「墓場の鬼太郎」だったと想い出す。
「ゲゲゲの鬼太郎」よりももっとニヒルな人間ドラマ感が強かった「墓場の~」シリーズで英才教育を施されていたねえねの今は、この時から作られていたのだと・・・
丁寧に綴られる跡目争いも、三女の婿が何故長女にべったりなのか?一族の血を濃くしようと当主が行った鬼畜の所業の結果が沙代ならば、三女だけがどうしてこんなに病んでいるのか?と、説明不足がやや歯がゆい。願わくは斜め前の席の女の子がエグイ話の部分だけ理解出来なかったことを望むばかりだ。
どろどろした人間ドラマとサスペンス要素もさることながら、しゅっとした目玉おやじと水木のバディ感が大ヒットの要因の一つ☆既に3度も観に行ったねえね。映画館も女性が多かった。
最後は胸が熱くなり涙する。
このしゅっとした目玉おやじが、いつ目玉になるかはエンディングでようやく語られる。しかも「墓場の鬼太郎第1話」をさらりと見せて済ませちゃうww なので出来ればバンダイチャンネル公式サイトで予習しておくことをオススメ。詳細は若干映画と違うけど。
己の欲望に駆られる醜い大人達が、これから生まれ来る子供たちに本当は何を残すべきか?改めて問いかけるているような気がした。
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この記事へのコメント
瞳
なんと~!!寝る前の絵本が「墓場の鬼太郎」!?パパンさんもお好きなのかしら。
本作、とても評判がいいみたいですね。大人向けかしら。
息子は、鬼太郎の漫画も全部読んでて、TVシリーズはもちろん、映画版も全部見ている鬼太郎好きなのですが、今回の映画化はちょっと普通路線?とは違うのに戸惑っているみたい。普通の鬼太郎で良かった・・・なあんて言ってました!(^^)!
ノルウェーまだ~む
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そうなんです~「墓場の鬼太郎」はパパンが結婚前から持っていたもので、今では娘の所に所蔵されておりまする。
息子さんとうちの娘は多分同世代だから、同じ時期の鬼太郎で育ってるんじゃないかと推測します。で息子さんは既にご覧になったのね?
今回の映画は鬼太郎はちょっとしか出てきませんが、逆にぐっと大人向けの深い内容になってて「墓場の~」シリーズに近いんですよね。
最後は泣けるし、是非オススメです!
ノラネコ
そんでPG12なのに、子どもの観客が思いの外多いのにさらにびっくり。
近親相姦のところとか、子どもに質問されたら困るだろうなあと思って見てました。
あのボスキャラは人間のみならず、現代日本の恥部をそのまま具現化したような最悪のヴィランでしたが。
ノルウェーまだ~む
>
ボスキャラ最悪でしたね~?近年まれに見るゲス野郎でした。
そんなラスボスの姿が幼い子供なのもちょっと辛い所でしたよ。これを乗っ取られてるからと言って、どうやって退治するのかしら?と眉をしかめながら見てしまいました。
とは言え、大人が『間違ったことをしている』と言う雰囲気さえ伝われば、案外細かい事は子供は気にせず見るものです。・・・と、願うばかりです。
にゃむばなな
「ゲゲゲの鬼太郎」を見ている時からの疑問でしたが、目玉のおやじにこんな過去があるのならば、それは凄く納得。
水木という友の想いを息子に引き継いでもらいたい。寿命の長い幽霊族だからこそ、寿命の短い人間の水木とはもう逢えないという想いもあってこその、父から子への想いの継承なのでしょうね。
それが何とも美しいこと。
ノルウェーまだ~む
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「ゲゲゲの鬼太郎」を語るうえでそこが一番大事ですものね♪
やはり水木とゲゲ郎の友情がベースにあり、水木に育てて貰った恩もあるでしょう。
原作では水木の母には結構疎まれて、墓場に捨ててこい!って言われちゃうんですけどねww
この映画はその辺を上手く美しくシメているので、とっても胸アツでヒットしたんだと思います☆
ボー
ノルウェーまだ~む
>
確かにそうですよね…
実際、広島県大久野島で、毒ガス兵器の工場跡を見学しましたけど、あまり大っぴらに出来ない、他国を批判しにくいような事も過去にはあったのでしょう。