これが主演のブラッドリー・クーパーの監督2作品目って、素晴らしすぎ!
(最近コメント欄が反映されないようですが、下の方の「この記事へのコメント」のところからだと書けるようです)
「マエストロ:その音楽と愛と」
世界的指揮者で作曲家のバーンスタイン(ブラッドリー・クーパー)は同性愛者でありながらパーティでフェリシア(キャリー・マリガン)と電撃的な出会いを果たし結婚する。
子供も3人生まれ幸せいっぱいに暮らしていたが、名声を得るとともにバーンスタインは男達と派手に遊び、彼氏を家に連れてくるまでになっていた。夫婦間の諍いが絶えなくなって、噂が子供達の耳にも届いていたが…

冒頭の往年のバーンスタインが妻の想い出を語ってTVサイズのモノクロの世界へ誘う辺りは、良くある伝記モノかと油断していると…
幸せな家庭、完璧なキャリアは間違いなく彼の類まれなる才能から来るものと解りつつも、説明がハッキリと示されない会話にフラストレーションが溜り、これが奔放な芸術家あるあるだ!と言わんばかりの夫の愛人関係(男性)に途中まで辟易とさせられることになる。
キャリー・マリガンの自然な歳の重ね方が本当に素敵!
妻目線で散々ムカつかせておいて、実はそこで1曲丸々聞かせる素晴らしい演奏のお陰で、何もかも許してしまうこの演出がニクイ!
他にも娘に本当のことを偽る時の父親としての顔、元恋人が奥さんをもらって家庭を築いていると知った時の表情、完コピな指揮、妻の闘病中演奏会に行けないと電話で話した後など、中盤からこの映画の突出した表現力に驚かされる。

当時は同性愛に厳しかったはずなのに、次々恋人が出来るアメリカって…
ラストのクラブで踊るシーンがあったことで、冒頭のインタビューで語る妻への愛がどうしても薄まってしまうのだけが残念だった。
この記事へのコメント
セレンディピティ
マエストロ、よかったですよね。
人間ドラマとしても音楽ドラマとして楽しめて、私はとっても気に入りました。
モノクロの映像もよかったですよね。
夫婦が子どもたちと取材に応じている場面、私はJFケネディ大統領夫妻のインタビューを思い出しました。
キャリーはこういうクラシックな雰囲気もよく似合いますね。
ラストのクラブのシーン、私はここだけは実はレニーの気持ちが少しわかったの。
その前の指揮を指導している時に、若い指揮者が何度もやり直して、そしてようやくレニーが求める音楽に達した時に、あの二人は一瞬にしてお互いを求めあいたくなったのだと感じたわ。
こういう心理描写もすばらしかったです。
ノルウェーまだ~む
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なるほど!?最後の二人の関係は互いにリスペクトが高じた状態だったのね?確かにあそこでお互いの魂が響き合ったのかもしれないです。
ある意味それって「TAR」と同様、芸術家の感覚なのかも?
あそこで私は彼らが恋愛の方向へいったのかと、ソコだけ気になってたので、マエストロの雄叫びが陳腐に見えてしまったのだけど、あれは本来音楽に生きてる人が、看病で暫く遠ざかっていた音楽にやっと復帰して音楽と共に生きれる喜びを表していたんですね⁉
にゃむばなな
やはり夫婦って家事をあまりしない方が、パートナーはずっと一緒にいてくれると思いがちで、その分自分勝手になりがちなのかなと思いました。
私も妻よりも家事をする方だと思いますが、その分妻に振り回されているような気が、この映画を見てしたもので。
ノルウェーまだ~む
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おや?迷走中ですか??
私は専業主婦時代の人間なので、外で何をやらかしてるか夫の動向を「片目で」見できましたけど(笑) 今の若い人たちは皆さんほぼ共働きなので、その辺りまた違ったパワーバランスがあるのかな?って感心してます。
ブラッドリー・クーパーは実に素晴らしいですよね~
監督としても役者としてもセンスの良さが光っていました。