2024年のアカデミー賞作品賞にノミネートされているうちの1つ。早くもアマプラで見られる~!
「アメリカン・フィクション」(2023年)アメリカ
「作品に黒人らしさが足りない」と言われ続けた売れない作家のモンクは皮肉たっぷりに書いた『黒人小説』が、只今逃亡中の殺人犯が書いた自伝的作品と勘違いされ大ヒットしてしまう。認知症が酷くなってきた母の施設への入所費用を捻出するために、『黒人らしい』人物になり切って作者を演じていると、今度は年間ベスト賞まで取ってしまい・・・
家族は自分以外は医者の家系、海辺の大きなプール付きの屋敷にはお手伝いさんもいて、自身も大学教授でいつも他人を見下した見方をするインテリ。
ただ、肌の色が黒い・・・それがこんな風にアメリカでは風刺されるのかと思うと何とも奇妙なかんじだ。
ちょっと「ドント・ルック・アップ」を思い出すテイスト。
アメリカ人は黒人はYOYO!って言ってラップを歌って、ストリートファッションで挨拶するときは肩をぶつけて「よう、ブラザー」って言う。白人はそんな彼らを差別してきた過去を反省し後悔の念に苛まされている・・・といったステレオタイプな風潮が求められるアメリカの(ハリウッドの)現状を皮肉った作品な訳だけど、主人公モンクの家族の軋轢も描かれて実はちょっとぐっとくるところもある。
医者でゲイでマッチョな兄は、父から理解を得られないまま別れた事を悔やみつつも本当の自分に戻れた今を楽しんでいる。この兄がいかにも医者っぽくも兄っぽくもなくて、見ていて混乱するのだけど、なるほど観ているこちらもステレオタイプの人物像を望んでいる輩の一人だと気付かされるのだ。
『本当の姿』を偽る事の苦しさも、必要性も、そんなものをひっくるめて包み込む包容力も知って成長する主人公。
さすがに作品賞ほどでは無いかな…と思うけど、知らなかったアメリカの一面を知れてなかなかに面白かったのだった。
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この記事へのコメント
セレンディピティ
これは一歩間違えると、炎上してしまいそうなきわどい作品ですね。
スパイク・リー監督の「ブラック・クランズマン」は、私はとっても楽しめたのだけど、はたして本作はどうかしら...。
まだ~むさん的には、なかなかおもしろかったのですね。
見てみようかな?!
瞳
あっ!私もさっき見終わったほやほやです!(^^)!
アカデミー賞にノミネートされてることに知らなかったんだけど(疎い~)お友達のレビューで俄然気になってみてみました。
あちらの実情はわからないんだけど、なんとも皮肉ったお話でしたね。タイトルを途中であんなのに変えちゃったのにOKになったくだりとか、吹き出しちゃいました。
でも主人公のおうちは結構裕福だし、みんなインテリだし・・なんか不思議ですよね。
>主人公モンクの家族の軋轢も描かれて実はちょっとぐっとくるところもある。
そうそう、誰しも家族っていろいろあるよね~~っていうところは、すごく普遍的でしたよね。
最後はえっ!?って混乱しちゃいましたよ~。
いやまさか、あんな捻りが待ってるとは・・・。
あのプロデューサーに飲み物持ってきたアジア系の助手への扱いにも複雑な思いになっちゃったナ~。
ノルウェーまだ~む
>
プライムに挙がっているので気軽に見られるし、是非ご覧になってみて~
これはシニカルにアメリカを風刺しているけど、「ブラック・クランズマン」ほど強烈では無い感じです。
売れる本を書くために、あえて『黒人が差別されてきたこと』を利用している・・・という皮肉がたっぷりで、今のアメリカを良く表しているのかもしれません。
感想楽しみにしていますね~☆
ノルウェーまだ~む
>
なんと!瞳さんもちょうどご覧になっていらしたのね!?
文句の多いモンクさんが、色々に吹き出しちゃう事してくれて、笑ったりぐっと来たりしちゃったわ。
家族の色々は、母親を施設に入れないとならないところとか、身につまされましたょ。
ラストのアジア系助手への態度、酷かったねーっ!海外だと、まああんな感じなのよ。結局白人は白人だって話ですね☆
真紅
コメントありがとうございました。
そうそう、この映画家族の事情みたいなところが普遍的で日本人の心にも刺さりますよね。
正直日本に住んでいると人種差別に遭遇することってないんですが、海外暮らしの長かったマダムさんはいろいろ経験されたのではないでしょうか?
何はともあれ脚色賞にふさわしい面白い作品でしたね☆
ノルウェーまだ~む
>
そうなんです!親の介護の事とか、家族間の問題とか、その辺は人種を問わずに身に降りかかる事として共感できるっていうのもこの映画のポイントなんだと思います。
海外では場所によって色々な思いをしましたが、子供たちにはそういう点でかなり苦労させたと思っています。
そんなアジア系の私達でさえ、「東南アジアの人たちより豊か」とか私の知り合いで「あそこのスーパーは黒人がお魚売り場に居て、彼らが触ったのは買いたくない」とか平気で言う人も居て、身の回りの差別はちっとも無くならないんですよね。