「ビニールハウス」半地下はまだマシは本当だった☆社会問題サスペンス

キャッチーなコピーに誘われて絶対見たかった韓国映画。運よくムビチケが当選したので、早速観て来たょ。
いやはや、この衝撃はハンパない。

「ビニールハウス」 公式サイト
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少年院に入っている息子と一緒に暮らすのだけが楽しみで、盲目の老人とその妻で重い認知症を患っている夫婦の介護をしてお金を貯めているムンジョン。ある日暴れて揉み合っているうちに転倒して死なせてしまった奥様の遺体を隠し、自分の母を身代わりに連れて来る。盲目の老人は自身も軽度の認知症と診断され、一緒に暮らす妻が別人なのか判断に困っているうちに…
これがまさか女性監督の初めての長編映画デビュー作とは・・・
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冒頭から物静かで薄幸の美女が、ただただ真面目に老人たちの世話をしている。それだけなのにまるで手を突っ込まれて心臓をぎゅっと掴まれているように胸が苦しい。
認知症介護の現場はそれほどまでに過酷で、介護する側としてもいつかされる側になる場合でもまるで他人事ではないのだ。
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盲目の夫が認知症の妻にご飯を食べさせる。って、これはもう訪問介護だけでは無理でしょう?
実際私の実家でも足の悪い父を母が世話をしているけど、目の手術をしてあまり見えていない状態だし既に老々介護なわけで、もう現実として何か手を打たなくてはいけなくなっている。実に身につまされる話なのだ。
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グループセラピーで出会った少女に付きまとわれ・・・
貧困層の悲劇と片付けるには、あまりにやるせない。依存体質の人に寄生されるのも辛いし、また「先生」と呼ばれる男に搾取されるのも辛い。息子が何故少年院に入っているのか?先生は誰なのか?細かい説明はなされないが、何とも逃れられない現実だけが目の前に突きつけられるのだ。
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ベッドも冷蔵庫もキッチンもあってなかなか快適? 半地下でさえなく住宅用ビニールハウスに住む人が韓国には実際に居て、その数3,000棟なのだとか。「温室育ち」と言う言葉があるけど、意味を替えないといけないかも?

ラストのやるせなさは他に類を見ない。他人のものを奪って生活しようとしているのではない、ただただ息子と一緒にちゃんとした家に住みたいという小さな望みを持つことが、そんなにも罪だったなんて・・・

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