「aftersunアフターサン」 2022年アメリカ
このあるあるのひと夏の想い出が延々と続くだけのこの映画で、何故こんなにも物哀しいのか？
一言も説明がなく、最後まで正解がなく、明確なものに辿り着けないのに、特別な画角で描かれるシーンの一つ一つに・海を眺める背中に・そして全ての行間に訳もなく涙が溢れる。
映画のカルムはスコットランド出身で故郷には二度と帰らないと語る事から、一切触れないけどLGBTQでは？と思われる。少年時代は両親との『良い想い出』が無く時代的にも彼が故郷に帰り難い人生を送っている事が大きなポイント。
カルムの姿はテーブルに映る影だったり、ビデオやガラス越しのピンボケだったり、ポラロイドすら影が薄く常に「死」の影が付きまとう。
幼かった時には気が付かなかった父の苦悩を、大人になって想う彼女の足元には、父が全財産をつぎ込んで(?)遺してくれた850ポンドの手織りの絨毯がある。
ギブスをはめた父には肩にも腕にも傷があった。11歳の彼女ではその傷より大きな父の心の傷を癒すことが出来なかったと思い至った大人ソフィが、クラブで父を抱きとめるシーンで激しく胸は揺さぶられ滲む涙が抑えられなくなるのだ。
この映画に正解は示されない。ただ、この無性に胸を締め付けられ涙が滲む感情こそが「正解」なのかもしれない。
この記事へのコメント
セレンディピティ
この作品、公開時に気になりながら、見損ねてしまった作品です。
当時、見た方たちの評価が高かったと記憶していますが
それにしてもヤバいくらいの傑作って！！
記事を拝見して、ソフィア・コッポラ監督の
Somewhere という映画をちょっぴり思い出しました。
いつか配信などで機会があったら、是非見たいです☆
latifa
まだまだ暑いですねー。
私もこれ見ています。
見終わった後に、色々考えてしまうというか、見てる最中よりも一度見た後にじわじわ来た映画でした。
全て見終わった後でまた再見すると、各シーンでの彼の表情とか気持ちとか、考えてしまう。
メスカルさん、元サッカー選手だったんですか。
それは知らなかったです。
ノルウェーまだ～む
>
ヤバイくらい傑作～とハードルを上げ過ぎちゃうと、ん～？ってなるかも？明らかに感動的！とか号泣した！とかそういうのとちょっと違うんですよね。この「あとからじっくり考えると、めっちゃすごい映画だったと気付いた」というところに、私的にはヤバイ傑作！に感じたんです。
何も情報を得ないで見る方がいいんですが、この映画から『死の臭い』をかぎ取れるか？がキーかな…
「Somewhere」は見た事なかったです！今度探して見るわ。
ノルウェーまだ～む
>
そうそう！見終わった後にじわじわじわ・・・と来ますよね？
こういったタイプの映画好きなんです☆私もよっぽど再見しようかと思ったくらい。
ただビデオを再生しているだけかと思ったら、その画面に人影が写っていたり、なぜそういう映し方をしたのか等「？」と思っていた事が、後からそういう事だったのね⁉ってじわじわ来て、実はもの凄い映画なのでは！？って思ったんですよね☆
瞳
ポール・メスカルだし、これは観なくちゃ！と思いながら未見でした。
＞この無性に胸を締め付けられ涙が滲む感情こそが「正解」なのかも
うわ～～、気になるわ。いろいろと想像させられる映画のようですね。
夏休みのバカンス・・だし、今見るのにぴったりですね！！
ノルウェーまだ～む
>
そうです！今見るのにピッタリですよ～
そして切ない気持ちになって、ちょっと気持ちがクールダウンするかも♬
ポール・メスカルは実は私は馴染みが無くて、今回初めて良い役者さんだな～と調べたら元サッカー選手でビックリしたんです。
怪我で引退をせざるを得なかった過去などあるのが、より影をまとっていて作品にぴったりだったんじゃないかな・・・
Ｎａｋａｊｉ
HPの先が変わっていてびっくりしました笑
この映画どこで見れるんですか？めっちゃ気になる！！！
ちょっと探してみようとメモっておりました！！！
ノルウェーまだ～む
>
お久しぶり～！インスタではいつもお世話になっているけど、ブログ更新無いな～って思っていたらPC壊れてたのね⁉
この映画は今はアマプラの配信で見られますよ～すごく良いから絶対見て！