アマプラ配信「シビル・ウォー アメリカ最後の日」☆有り得ない?ありえーるでしょ?

もしトランプが大統領になってなかったら、有り得た未来だったかも?大統領選があった今年に公開されたこの映画が早くも配信になっていたので鑑賞。評判が良かったのも納得の秀作だった!

「シビル・ウォー アメリカ最後の日」 公式サイト
シビル・ウォー アメリカ最後の日 - アレックス・ガーランド, アレックス・ガーランド, キルステン・ダンスト, ワグネル・モウラ, スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン, ケイリー・スピーニー
シビル・ウォー アメリカ最後の日 - アレックス・ガーランド, アレックス・ガーランド, キルステン・ダンスト, ワグネル・モウラ, スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン, ケイリー・スピーニー
戦場カメラマンとして名を馳せているリー(キルステン・ダンスト)が陥落寸前のD.Cへ行くと言うので、彼女に憧れている23歳の新米カメラマンのジェシーは止めるのも聞かず付いてきた。しかし想像を絶する戦地の状況に戸惑っていると…
シビル車.jpg
正直ポスターの感じから言って、てっきり「ディアフタートゥモロー」的なスペクタル映画で、アーミーたちが頑張ってアメリカを救う話かと思って公開当時は敬遠していたのだった。
何しろヒーロー大好きなハリウッド映画にはもうお腹いっぱいだったから…
シビル記者.jpg
ところが冒頭から相当イイ!
何がいいって、あの「天才子役でデビューしてちやほやされてきた」キルスティン・ダンストが、大人の女優への転換期に脱いだり色々して足搔いていたけど、本格的に腹を決めたのが判るこの苦虫を嚙み潰したようなノーメイクの仏頂面!この潔さが良い☆
まるでゾンビ映画のような荒廃した町並みからの、戦乱とは無関係を貫く異様に平和な街、燃え盛るのに美しい森、咲き誇る花々…想像していたようなドンパチばかりの戦争物では全く、こうした情景からアメリカを映し出しているのもイイ☆
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毎度おなじみキルスティン・ダンストのバーター(失礼)夫ジェシー・プレモンスは、赤い眼鏡のイカレタ男を好演。同じアメリカ人同士が戦っている政府軍と西部勢力が見分けがつかないだけに、「どんな種類のアメリカ人か?」と詰問される時の緊張たるや!また彼が容赦なくアジア系移民を射殺したり、途中、立派なお屋敷からの狙撃に対抗している軍人が、誰が狙ってきているか判らないけど撃ってくるから撃ち返す的なくだりは、このシーンだけでアメリカを端的に表していて秀逸☆
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戦場カメラマンの過酷さも描かれ、同時にティーンエイジャーにも見えるような若きジェシーの成長物語にもなっている。
死体の山に転がされあわや!の時にデロデロ吐いていた少女は、遂にリーから教わった精神を貫き「最後の瞬間」も逃さずに記録に残す。
1枚の写真で終わる「これがゴールなのかどうか判らない混沌としたラストシーン」も良き☆今までたった一人でテロと戦ってホワイトハウスの大統領を守って来たジェラルド・バトラーが気の毒なくらい良い映画となっていた。

この記事へのコメント

  • ここなつ

    こんばんは。
    これは「内戦モノ」というよりも、戦場カメラマンの成長譚として観たので、少しだけ観終わった後の感想はまだ〜むさんとは違っていたのですが…(あ、キルスティン・ダンストについては同意ね😛)
    書かれていらっしゃる内容、うんうん、と頷きました。そうなのよね、アメリカのどこまでも続く美しい風景と内戦の悲惨さが対比になってますよね。あれもアメリカだけどこれもまたアメリカ、というような。それに更にワシントンでの攻防が加わると、ホントに暗澹たる気持ちになります。
    2024年12月09日 00:00
  • にゃむばなな

    この西部勢力というのが民主党が強いカリフォルニアと共和党が強いテキサスというのが現実味がないように見せておいて、ジェシー・プレモンスの登場で政党など関係なく出身地で区別する、つまり政治信条ではなく身勝手な感情で差別する、まさに人種差別と同じ怖さをアメリカの白人に経験させているところが本当に怖いと思いましたよ。
    アメリカ映画でよく人種差別に対する映画が作られる理由がよく分かりましたよ。
    2024年12月09日 00:46
  • ノラネコ

    ここまで分断が顕在化すると、もはやこれは絵空事ではないですね。
    アメリカを旅すると分かりますが、地域ごとに文化がまるで違うのが、「アメリカ人」という言葉だけで繋がってる様なものですから。
    案外簡単にバラバラになっちゃうかもな〜と、元住人からすると思うところです。
    トランプが無茶しそうだし。
    2024年12月09日 21:28
  • セレンディピティ

    まだ~むさん こんばんは。
    この映画、私もてっきり荒唐無稽なドンパチ映画だとばかり思ってスルーしていましたが、意外や骨太の作品のようですね。俄然興味がわいてきました。
    キルスティン・ダンストも、実は私は好きな俳優さんです。
    ジェシー・プレモンスと結婚して、ますます見直してしまったのですよね。
    というわけで、この作品是非見たいと思います。
    2024年12月09日 23:23
  • ノルウェーまだ~む

    >ここなつさん
    >
    正にその通りですよね~
    他所の国でももしかしたら内戦は同じような事から始まっていったのかも?と思うと、より一層怖さが増してきます。
    シューティングゲームのように通る人を片っ端から撃って行く人があれば、撃たれない様に反撃が始まって、いつしか大きな内戦になっていくのかもしれませんね。
    あれだけ大きな国で様々な移民の集まりだったアメリカが1つになっていったこと自体が奇跡だったのかも?
    2024年12月10日 23:33
  • ノルウェーまだ~む

    >にゃむばななさん☆
    >
    コメントありがとうございます。
    それですそれです!
    この映画のA24らしい空恐ろしさは、その「政治信条と関係なしに差別する」事にあるんですよね⁉
    今まで理不尽に差別されてきた人と同じ気持ちを、「どのアメリカ人か?」で仕分けられる事で感じさせる恐ろしさ。今まで散々黒人差別の映画を創っても、所詮他人事だったアメリカ人を震え上がらせたと思います。見事でした。
    2024年12月10日 23:38
  • ノルウェーまだ~む

    >セレンディピティさん
    >
    やっぱりセレンさんもそう思いました?ポスターだけ見たら、ドンパチを楽しむ戦争エンタメ映画だと思っちゃうよね?
    骨太…と言われると素直に首を縦に降れないものがあるけれど、そこはA24なのでちょっと斜に構えてくださいまし。
    セレンさんの感想楽しみにしています!
    2024年12月10日 23:56
  • ノルウェーまだ~む

    >ノラネコさん
    >
    トランプが大統領にならなかったら、一足飛びに分断しそうだし、なったらなったで無茶しそうだし本当に怖いです。
    アメリカってそんなに地域ごとに違うんですね?ま、あれだけ広いんだから、今までいろんな人種のるつぼだったアメリカが1つにまとまってこれた方が不思議なのかも?
    2024年12月10日 23:59
  • ごみつ

    こんばんは。

    「シビル・ウォー」、けっこう評判が良かったので気になっていたのですが、見損なってしまいました。
    それにしてももうアマプラで配信はじまっていたとは!

    記事を読ませていただいても映画の緊迫感が伝わってきました。
    どこか絵空事じゃない感じも、昨今のアメリカのニュースをみてると伝わってくるのも怖いです。

    私も是非見てみますね!キルスティン・ダンストの演技にも注目したいです。

    2024年12月13日 00:51
  • ノルウェーまだ~む

    >ごみつさん
    >
    これは絶対ごみつさんお好きと思います。
    何と言うか…よくあるバトルものの荒唐無稽さが、ごみつさんの仰るように絵空事じゃないと思わせる今の現状が現実味を帯びていて、空恐ろしさがハンパないです。
    またそれと同時にジャーナリストの栄枯盛衰や成長物語にもなっていて、そこも見所です!感想楽しみにしていますね☆
    2024年12月13日 10:56
  • ボー

    「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」から30年、キルステンが、こんなになるとは(いろんな意味)。
    2024年12月21日 09:29
  • ノルウェーまだ~む

    >ボーさん
    >
    はい、色々な意味でデルステンがこんなになるとは…でした。私的にはいい意味で🎵
    2024年12月22日 08:14
  • SGA屋伍一

    よくも悪くもアメリカは国土がひろいなあ…ということを思いました。こんだけ広いと一度内乱が起きちゃったら田舎の方ほど治安は乱れ邦題になっちゃうんですかね。一般人が銃を持てるというのも影響がでかそう。アメリカをえんえんと車旅するのに憧れてるので、ずっと平和であってほしいです
    2024年12月22日 16:45
  • ノルウェーまだ~む

    >SGA屋伍一さん
    >
    アメリカ横断のドライブ旅いいですね~
    その頃にアメリカ国内が荒れていない事を望むばかりです。そこにしか道が無いのに物陰から撃ってくるとか、是非止めて欲しいですね。。
    2024年12月23日 10:42
  • 小米花

    この映画、見損なった~と思っていましたら早々アマプラ登場でしたね。
    私も配信で見ました。
    流石まだ~むさんの感想はいつもきちんと的を得ていますね。
    現実味有りそうで少々怖い気もしましたが、蓋を開ければジャーナリストのお話でした。
    キルステンが好演してて良かったです。
    時々お邪魔しててコメントスルーしちゃってますが、また来年も宜しくお願い致します。
    良いお年をお迎えくださいませ。

    2024年12月29日 21:17
  • ノルウェーまだ~む

    >小米花さん
    >
    とってもお久しぶりです~そしてお褒め頂き恐縮です☆ 
    そうなんですよ、戦いの話かと思っていたらジャーナリストの成長物語だし、アメリカの社会問題をブラックユーモアで表現してて、とっても気に入りましたよ。
    時々読んで下さっているのね⁉ありがとうございます~こちらこそ来年もよろしくお願いいたします。次はコメントもね♬
    2024年12月29日 22:51

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