とにかくこれがスクリーンデビューとは思えないトンデモナイ大型新人オーウェン・クーパー君に度肝を抜かれる!!
「アドレセンス」（ネタバレあり）
イギリスでは銃規制が厳しいのでその分ナイフによる少年犯罪が多発していると、私たちが駐在していた頃も常にその話を聞いていた。
ちなみにアドレセンスとは「思春期」のこと。
1話：少年ジェイミーは逮捕された事に動揺して泣きじゃくる。父と弁護士の言いつけ通り事件当夜の件にはノーコメントを貫き…
2話：刑事はジェイミーの学校で同級生に様子を尋ねる。昨夜殺されたケイティの親友の女生徒は自分が独りぼっちになる事を心配するだけ。
3話：精神科の施設を訪ねた臨床心理士に、父親の事を聞かれると話をはぐらかすジェイミー。余裕をかまして薄笑いを浮かべていたが、次第に激高し…
4話：事件から1年近く経ち何事も無かったように50歳の誕生日を祝っていると、車に酷い落書きをされ爆発寸前の父。母の言葉はさえぎられる。そこへ施設のジェイミーから電話が…
何よりほぼ出ずっぱり、喋りっぱなしの少年が凄すぎる！どこかにカンペを隠しているのかな？と思ったけれど、ワンカットで撮影している上に、カメラがぐるぐると廻りくまなく室内を映すのでそんな事も出来まい。となると全部台詞を覚えている上に、揺れ動くその時々の感情をミスなく演じられるこの13歳の子は間違いなく天才だ‼
そうでなければ、この辛く緊張を強いられる場面でアドリブで対応できる程キャラクターの人となりを理解しているとしたら、それは余りに重くこの若き天才俳優の人間形成に重大な何かを残してしまうのではないかと心配になってしまうくらい。
この重要な3話目では、この物語の核となる「インセル」について質問がある。私は初めて聞いた言葉だけれど非自発的な独身者、つまりモテない人の事を言うらしい。今若い子の間で、SNSが「垂れ流す」情報によって異性に好かれるためのステレオタイプの男性像・女性像に振り回されている実態が浮かび上がる。
劇中では好きな男の子に請われて送ったトップレスの写真を校内にバラまかれたケイティが精神的に弱っているから、今がデートに誘うチャンスだと思ったと語る。女性臨床心理士を恫喝するシーンでは『マッチョで強く頼もしい男を女は好きで、強く出たら女は従うものだ』と言った間違った擦り込みがネットによって拡散し、幼いころからそういった情報に触れ飲み込まれていく恐ろしさが描かれる。
臨床心理士が聞き出そうとした「父親」に関しては最終話で語られる。何不自由なく愛され育てられても、子は親を見て育つものだ。「いったいどうしたら良かったんだ…？」と嗚咽を漏らす父。
SNS同様『一般的な好ましい男性像』に育たなければインセルとなるという烙印を、実は父が押していた事に気付くべきだった。しかし多くの親は（私自身を含め）子供の為に…と信じて、気付かない。
ただ最も重要なのは、家族から一言もなかった「被害者とその家族への償い」の気持ち。ここがすっぽり抜けている。最近あちこちで女性の無残な遺体が発見される事件にどこか同じ匂いがすると感じるのは私だけだろうか？
この記事へのコメント
latifa
私もこれ見てます。感想は書いてないけど、4つ★～4つ★半くらいです！
すごかったですよね、内容もぐいぐい引き込まれて見たし、主演の男の子の演技力も恐ろしかった。
「インセル」って知らなくて、本作で知りました。
相手の女性の背景や家族も、もし続編があるなら見たいです。
ノルウェーまだ～む
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あら〜感想書かないのかな？？
これとっても話題になってるし、イギリスではもう教育番組として学校で見られてるみたいね。
そうそう！主役の子の演技力がマジ恐ろしかった〜凄すぎる！
これだけの沢山の社会問題を内包しておいて、良く4話でまとめたな〜って感心しました。
ウンウン女の子の背景も知りたいよね…
真紅
ホント震撼するしかないドラマでしたね。。
正直、自分の思春期にスマホがなくてよかったと思っています。
うちの子はもう中学からスマホにどっぷりでしたが、今ほどインスタはメインじゃなかったし、TikTokも流行ってなかったと思う。
今はもうネット見る人と見ない人とでは世界が違いますよね。
これを分断って言うのかな。なんか話がそれましたが、続編が気になりますね。
ノルウェーまだ～む
>
いや〜子を持つ親としては恐ろしい話でしたよね〜
ただ、子供だけでなく、スマホのみで自分好みの情報だけに囲まれている人は、大人でもその事に気付いてないと認識してない人多いですよね。
今どんどん進んでいくAIに関しても同じで、その便利さと引き換えに大きな問題が見えないところで人間を取り込んでいくことに、早く皆が気が付つかないと大変なことになると感じました。
あと、ジェイミーのお父さんですが、母が沸点高くなった夫に何も言わせてもらえないでしょう？先ずそこから男性上位の家庭であることが描かれてますね。「スボーツ万能で絵を描く男なんか男じゃない」という父の考えをジェイミーは敏感に感じていて父の背中を追ってたんだなぁとそこも震撼しましたよ☆
latifa
GWお忙しくお過ごしなのね。
アドレセンス記事書きました♪
リンクアドレスに入れました。
新しい記事の映画3本とも未見なの。反応できなくて残念です。
ノルウェーまだ～む
再びありがとう〜☆
それがねぇ、庭仕事も終わってする事無くて暇を持て余してるの…混んでるしと言ってGW入ってからは何処も行ってないし。東京より全然人が居ないのにね(苦笑
新しい3本はちょっとlatifaさん向きじゃないかな…強いて言えば「ラストブラックマン〜」をオススメするわ。