映画「国宝」☆悪魔はんと契約して奪ったもの奪われたもの

国宝級イケメン(2018年度)の吉沢亮と人気の横浜流星が、歌舞伎役者のしかも女形を上手に演じて凄い!っていうだけの映画と思っていたら大間違い。まさに作品として国宝級!
映画としての完成度は想像をはるかに超えて高く、絵力の素晴らしさ、画角の捉え方は超一流!何より物語が見事で溢れる涙が止まらない。

「国宝」 公式サイト
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目の前で父親でもある組長を殺された15歳の喜久雄は、彼の才能を見初めた上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎(渡辺謙)に引き取られる。自身の息子と同様に厳しくしごき二人は歌舞伎界で華々しくデビューする。
ある日病に倒れた半二郎は代役に息子の俊介(横浜流星)ではなく喜久雄(吉沢亮)を選んだことで二人の人生は狂い始め…

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先ず冒頭の極道の宴会で起きた抗争のシーンからマジ美しい。ガラス越しに見る父親の死ぬ姿を、こんなにも美しく描く映画が他にあったろうか?思わずここから背筋を伸ばして鑑賞☆
生まれた時から歌舞伎界で修業してきた人と同レベルで演じるなんて、幾ら役者でも無理でしょう?と斜に構えていた気持ちを見透かされたよう。この物語はその『類まれなる才と惜しまぬ努力・悪魔に全てを捧げるつもりで命がけで挑む』役者魂を見せつけてくれるのだ。
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歌舞伎の世界の厳しさ、血筋に関してのシビアさは、物語の様に喜久雄が任侠の出身でなかったとしてもあるのでしょう。実際、歌舞伎の演目を観て、上手な歌舞伎俳優とどんなにベテランでもそうでもない人が居るんだなぁというのが正直な感想。ただ主役を張れるのはやっぱり血縁が重要になってくるのかな?その血筋と才能で苦悩する若者二人がまた胸アツなのだ。
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実際演者の歌舞伎の舞台は素晴らしく「本物」に見えてくる。勿論、女形のしなの作り方はあと少し…ではあるけど、ナタポーの「ブラックスワン」の様にアップ目を多用する撮影方法が功を奏している。横浜流星の、女形にしては骨っぽい骨格も途中から気にならなくなる。
途中転落した喜久雄が場末の温泉宿で『本物の女』と間違われるシーンがあるけれど、これぞ芸の力なのだ!
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物語は8年後5年後…とざっくり時代を飛ばしていくけど、このザックリがまた素晴らしい。事細かに説明せず、でもその間に起きた事苦労した事が全部伝わってくる脚本の見事さに感服する。
大判のハンカチは必須☆是非劇場で画面いっぱいの花吹雪を浴びて欲しい…

この記事へのコメント

  • ふじき78

    森七菜が自然にフェードアウトしてしまったのが哀しかった。そして、田中泯が怖かった。
    2025年06月21日 23:20
  • セレンディピティ

    まだ~むさん おはようございます。
    「国宝」よかったですね。
    今をときめく実力派若手二人の演技を堪能しました。
    二人の演技も鳥肌ものでしたが
    少年時代を演じた二人もなかなかよかったわ。
    人間ドラマとしても見応えがありました。
    舞踏が多かったですが、歌舞伎の舞台や衣装も華やかで
    久しぶりに歌舞伎を見に行きたくなりました。
    2025年06月22日 09:32
  • angie17

    原作は、昨年(一昨年かな?)読んでいて、
    本も上・下刊あったので、長い長いお話しでした。
    映画でどのように描かれているのか、とっても楽しみです!
    来週、観に行く予定ですが、
    すっ飛ばし方も(笑)も楽しみにしておきます~。
    2025年06月22日 16:42
  • ノルウェーまだ~む

    >ふじき78さん
    >
    田中泯さんの人間国宝すごかったですね~
    そして森七菜ちゃんはあの若さで年取った役はさすがに無理があったのでしょうね。
    2025年06月22日 17:42
  • ノルウェーまだ~む

    >セレンディピティさん
    >
    ホント、鳥肌ものの演技で見応え充分でした!彼らが今をときめくかどうかも関係ないくらい見入っちゃってましたょ☆
    うんうん、少年時代の役者さんもめっちゃ良かったよね~♬
    とにかく人間ドラマと、それに加えて映画としての完成度の高さに度肝を抜かれたわ!
    私も久しぶりに歌舞伎を観に行きたくなりました🎵
    2025年06月22日 17:47
  • ノルウェーまだ~む

    >angie17さん
    >
    おおー!原作を読んでいらっしゃるのね?
    なるほど…上下巻の長い部分が5年後、7年後というかんじですっとばされていたのかな?
    私としてはそこをあえて事細かに説明せずにすっ飛ばした感じが非常に良かったなと思いましたよ。
    2025年06月22日 17:49
  • こんばんは。
    私も昨日観てきましたよ~。レイトだったので眠くなったらどうしよう?なんて思ったらトンデモナイ!!目がさえに冴えました(*^-^*)

    あの歌舞伎のシーンをスクリーンで観れて良かったです。
    2人とも素晴らしかったですね。
    お互い良きライバルで相手を蹴落とそうなんて考えてない2人だけに血筋と才能に翻弄される部分がなんとも過酷で切なくて・・・でも二人ともそれぞれ力強かったですね。
    2025年06月22日 19:20
  • ノルウェーまだ~む

    >瞳さん
    >
    そうなんですよ~
    思春期に二人は出会って互いにライバルだったはずなのに、互いをリスペクトし合いながら成長していくところが素晴らしかったわ。
    それもこれも血筋という揺るぎないものがあったからの余裕だっただけに、その後の精神的せめぎ合いが実に物語に深みを与えていたと思います。
    2025年06月23日 09:27
  • ごみつ

    こんばんは。

    「国宝」、予告編を見た時に絶対に行く!と思ってたのですが、まだ行けてません~~。まわりの映画好きの皆さん、ほとんど鑑賞されてるし、大ヒットしてるみたいなので、もうちょいロングランしてくれると良いな~。
    賛否両論な意見も見ていたので「イマイチなのかな?」なんて思ったりもしてましたが、まだ~むさんの高評価記事で、ますます見に行きたくなりました!

    もし行けたらまたおじゃまします。o(^o^)o

    2025年07月01日 20:25
  • Nakaji

    こんにちは!!!お久しぶりです。
    いやーーーこれはすごかったけど、女性のかきかたがいまいちでしたけど。。。そんなことよりも二が素晴らしかったですね。
    吉沢君が本当に素晴らしくてちょっとびっくりしておりました。
    2025年07月01日 20:36
  • ノルウェーまだ~む

    >ごみつさん
    >
    わお!お久しぶりです~
    これは絶対観てほしいわ!賛否の否はどんな部分かちょっと気になるけど、私は否のほうから入ったので逆に高評価になった感じです。
    絶対ロングランにしてほしいよね。
    でも最近良い映画増えてきているから、ちょっと心配…
    ごみつさんのレビュー楽しみにしていますね!
    2025年07月01日 21:49
  • ノルウェーまだ~む

    >Nakajiさん
    >
    とってもとってもお久しぶり~!
    そそそ、女性の扱いが気の毒過ぎるけど、昔は大物俳優・歌舞伎役者・芸人の陰でひっそりと生きる女性いっぱいいたんじゃないかな。
    吉沢亮クン見事だったね~彼の歴史に残る作品になったと思うわ。
    2025年07月01日 21:52
  • ノラネコ

    今年を代表する作品でした。
    主人公がずっと追い求めていて、最後に舞台の上で見る風景が、少年時代のお父さんの最期に重なるのが、意外かつ素晴らしい。
    ヤクザの大親分は、息子にとっては最強の歌舞伎者だったのだと。
    大河ドラマ一年分を観た気分です。
    2025年07月01日 21:53
  • ノルウェーまだ~む

    >ノラネコさん
    >
    まさに仰る通りです。
    彼の出自は歌舞伎界では忌み嫌われていたけど、彼自身はそれを恥と思っていない部分が、この最後のシーンに込められていて素晴らしかったと思います。
    どんな出自でも芸を磨いてトップへ上り詰める事が出来る、その原点があの親分の最後が支えていたというのも出色の演出でした。
    2025年07月03日 09:44

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