急に思い立ってこの日「急に具合が悪くなる」を観に行ったのだった。
3時間16分もあるとは知らず、本気で急に具合が悪くならなくて良かった…
「急に具合が悪くなる」 カンヌ国際映画祭最優秀女優賞受賞作品 公式サイト
フランス・日本・ドイツ・ベルギー合作
パリ郊外で認知症老人施設で施設長をしているマリー(ビルジニー・エフィラ)は、偶然出会った同じ名を持つ日本人の真理が企画する演劇を観に行く。施設の現場で働く看護師のフィラと折り合いが悪く悩んでいたマリーは、演劇を見て胸を打たれ真理とも意気投合する。彼女がステージⅣのガンで余命があまりない事を知ったマリーは…
映画はまるでドキュメンタリーのよう。正直2時間に収める事は余裕で出来たと思うけれど(監督としてはかなり削って最も短くしたらしい)、「ドライブマイカー」の時のように、ひたすら長回しになっている。しかも『あれ?お隣の劇場のアクション映画の音が漏れている?』と最初勘違いするくらい、ほぼ会話劇のバックに施設の隣室で喋る人の声や、街の喧騒があえてそのまま入っているのだ。
つまり物語の介護施設で起きる運営側と看護師側との軋轢も、二人が散歩するフランスの木枯らしも、台詞以外の雑音が入る事で非常にリアリティーが増している。
これがふとしたことで知り合った仏人女性とがん患者の日本人女性が、意気投合し心を通わせ日本まで送って行ったり、最後は彼女の死を看取る事になるくらいにまで仲良くなると言う浮世離れした話に現実味を加えるのだ。
実際は哲学者・故宮野真生子さんと、臨床現場の調査を積み重ねた人類学者・磯野真さんの20通の書簡が原作になっているというのだから、何も浮世離れなどしていなかったのだった。
前半は正直あくびをかみ殺す感じにゆったりしていて、劇中劇の前衛的舞台も内心『全部最後まで演じるんかいっ!』ってなるし、出会ったばっかりなのにホワイトボードで資本主義の構造について延々語るのも、これがラストへの布石となっているので堪えてしっかり見るべし。
実際どの国でも介護士の人手が足りないのは同じとの事だけど、劇中の施設は実に手厚い。
認知症患者1人につき1人が介護をするのはあり得ないしこのような庭の広い自由度の高い施設は皆無でしょう。現実では手が回らず機械的な対応になってしまうと劇中でも語られる。
運営側と現場の人、どちらも高い理想と信念がある事を理解し互いにリスペクトし合うことで和解していくラストから、特に感動的に描かれているわけでもないのにハラハラと涙があふれて止まらない。
患者と看護師&介護士、運営と現場、資本主義と貧民、健常者と精神疾患者、皆がひとつになって足の裏を揉み合うカオスな舞台劇は、混沌とした社会のあるべき姿を表現していたに違いない。
カンヌの最優秀女優賞というのはどうかなぁ?どちらかというと自閉症の少年を演じた黒崎煌代くんが素晴らしかった!
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この記事へのコメント
Take-zee
この映画の話題はさすがの私も知っています。
大きな賞を獲得して日本人として嬉しいですね ヽ(^。^)ノ
ノルウェーまだ~む
>
本当に!比較的カンヌ映画祭では日本勢は頑張ってますよね☆
映画の内容もかなり味方したと感じています。
瞳
この作品、私も気になっているんだけど、なんと3時間16分もあるのね!!
ほんと、まだ~むさんが急に具合悪くならなくて良かったわ(*^^*)
>台詞以外の雑音が入る事で非常にリアリティーが増している。
こういう現実そのままっぽいの、面白いですね。
一人に一人の介護!!そんな手厚い施設って現実ではなかなか無いですよね。義母も認知症専門の施設に入ってたけど、いろいろあったから・・・。
配信になってからになると思いますが、私も見まーす!(^^)
ノルウェーまだ~む
>
ぜひぜひ!これね、かなり余白が多いからダラダラした感じを受けるんだけど、逆にだらだらしながら自宅で見るのが良いかも(笑)
この映画の中心にあるテーマがとても深くて、親を今まで介護してきた方、こらから介護していく事になる方、親でなくても問題を抱えたお子さん、お隣の人、そして自身が死を間近に迎える方にも、誰に対しても優しい気持ちになれるからとってもお勧めです!
shun
「運営側と現場の人、どちらも高い理想と信念がある事を理解し互いにリスペクトし合うことで和解していくラストから、特に感動的に描かれているわけでもないのにハラハラと涙があふれて止まらない。」Niceです。
小米花
長い映画ですよね。。。
私は迷っています。
明日、「黒牢城 」に行きます~。
記事アップは遅れると思いますが・・・。
菅田くん出演なので、珍しく原作読んで控えてます・・・。
ノルウェーまだ~む
>
お久しぶりです。お具合の方いかがですか?
主演女優賞を獲った彼女は末期がんの患者の役で「何も残せない…」と吐露するんですが、映画を観終わるとしっかりと彼女の奇跡が遺されているんです。そういう意味でも素晴らしい映画でしたよ。
ノルウェーまだ~む
>
そうなんですよ~凄く長くて、前半はちょっと生あくびを堪えておりました。
菅田君のファンなのですね?菅田君は大河で半兵衛やって映画で官兵衛やるので混乱してます(笑)
ノラネコ
彼女らの哲学問答には、心地よささえ覚えました。
中盤のあの1時間は、「ドライブ・マイ・カー」のワーニャ伯父さん同様に、映画全体のベースとなっているのですよね。
色んな意味で濱口節を堪能した196分でした。
ノルウェーまだ~む
>
まさに濱口節でしたね~
そこを理解して見ないと3時間はキツい人もいるかも…
でも削れるだけ削った一番短いパターンと監督も言っている様に、無駄な所は無いんですよね。